シェルター

日本のアニマルシェルター2か所での体験

※2000年頃のお話です。
専門学校では実習を受ける期間が設けられていました。

私は「動物看護士コース」に所属していたので、通常の生徒はほぼ動物病院を探して実習に足を運んでいる中、私はこの期間を使って念願であったアニマルシェルターの2か所で2週間ずつ実習をさせてもらう事にしました。

あすかの一件があってからというもの、里親活動やアニマルシェルター関連の本もかなり読んでいたので、イギリスでは動物はお店では売られず、シェルターから引き取るか、ブリーダーから引き取る方が大半で、そのシェルターも国が支援しているという事を学んでいました。

そのイギリス人の代表が務めるシェルターが日本の大阪にある!必ずそこに行こうと決めました。せっかくなら、その近くにある日本人が代表を務めるシェルターも見てみたい。そう考えて2か所に行くことに決めたのでした。

1.ARKでの体験

認定特定非営利活動法人「アニマルレフュージ関西(通称ARK)」は、代表がエリザベス・オリバーさんというイギリス人女性です。

私は施設内の一角にある共同部屋に寝泊まりさせていただきながら、滞在中毎日犬舎の掃除や犬の散歩、施設内にいる動物たちのお世話をして過ごしました。

スタッフの方はしっかりとその方法を教えてくれましたし、何より施設内が綺麗に整っていたのに驚きました。基本的に犬は一つの犬舎に1頭入っており、個室が与えられていました。お散歩も健康状態などを観察する為に、1頭1頭スタッフが手分けして連れて行きます。

当時私の英語能力は皆無でしたが、日本語の堪能なオリバーさんともお話する機会もあり、施設を一緒に見て回りながら話している時も、1頭1頭の犬舎をチェックしながら名前を呼び、可愛がっている様子が伝わってきました。仕組み化された、とても素晴らしい施設だと感じました。

2.ハッピーハウスでの体験

次に足を運んだのは、そこから歩いて行ける程近い場所にある公益財団法人「日本アニマルトラスト(通称ハッピーハウス)」でした。

そこでの実習が始まってから知ったのですが、なんでもハッピーハウスの代表である甲斐さんは、以前はARKに居たとの事。でも方針の違いから独立し、ハッピーハウスを立ち上げたのでした。

私はここで、外国人と日本人との動物の接し方の違いと、シェルターの運営や考え方に対する方針の違いを目の当たりにすることになりました。

代表の甲斐さんはハキハキした女性で、私にも明るく声をかけてくださいました。彼女は当時、絶対に動物を殺さないという方針をお持ちでした。

※19年も前の事なので、その当時のこととしてお受け取りください。
その為、歳を重ねているこでも、病気の子でも、最後まで面倒をみようと尽力されていました。それゆえに、施設はたくさんの犬や猫を抱えていました。毎日しっかりと掃除も運動もさせていましたが、やはり清潔さを保つのには限界がある状態でした。スタッフの方々は、犬や猫に愛情は注いでいるの目の当たりにはしましたが、何せその数が多過ぎるのです。

スペースにも限りがあるので、もちろん1頭に1犬舎という訳にはいかず、みんながわいわいと共に過ごしているという感じの施設でした。

でもスタッフ同士の雰囲気も良く、私も中に加えていただき、楽しく実習期間を終えることができました。

3.2か所のアニマルシェルターに行って出した結論

上記の2つの施設の方針や管理の仕方の違いついては、こちらのnoteで専門学校で習った授業で学んだことを絡めてその違いを掘り下げています。

それはどちらが正しいとか、間違っているという振り分けが簡単にできるものではありません。間違いなく言えることは、その2つの施設の代表のお二方も、働いているスタッフの皆さんも、一心不乱に動物たちを救おうと活動をされている人たちでした。

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捨てられたり、辛い思いをして心が閉じた動物たちを救い、愛情をかけてまた新たな飼い主を探す活動です。人を信じられなくなった動物たちの信頼を新たに築き、幸せな家庭に旅立てるように本当に努力をされていました。

そんな皆さんが毎日しっかり動物たちのお世話に奔走し、愛情をかけ、毎週末に行なわれる譲渡会で「今日は2頭里親が見つかったよ!」と喜んだ矢先に、施設の入り口のゲートに、犬が詰め込まれた段ボールが積まれていたことがありました。それを目の当たりにした私はひどくショックを受けましたが、施設の方々は慣れていらっしゃるようで、「またきたね。。」というぐらいのものでした。

その時に痛感したのは、アニマルシェルターで自分が働き続けても、捨てられるこ達は減らず、対症療法の状態になってしまうのではという事です。

もちろん、今いるこ達を1匹でも1頭でも多く里親に出す活動は大事なことです。でも、捨てる人がいなくなるように飼い始める方々の意識を高めたり、動物たちの命を無作為に増やす人たちがいなくなるように働きかける必要があるのではと考えました。

でもその当時の私には、それをどうやれば実行できるのかがわかりませんでした。
私の模索はその後もまだまだ続いていきます。

小梅

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