自分で自分にかけた呪いを解け!
今から十ン年前、高校生の私はロリータファッションが好きだった。でもロリ服は高校生の私にはちょっと手が届かない代物で(今みたいに安価なブランドやショップってまだなかった)、お金のない私はユニクロのブラウスにレースをつけて、スカートとバッグとヘッドドレスは自分でミシンで作って、なんてしてロリ服もどきで我慢していた。
そしてとうとうお小遣いを貯めて買ったシンプルな黒ロリのドレス。厚底おでこ靴も揃えてメイクもばっちりキメて意気揚々とお出かけ!そこで当時の彼氏に言われた一言が、それ以降の私に重くのしかかったのだった。
「背がデカいから威圧感がある」
ああ、私ってロリータ似合わないんだ…!身長172センチの私はその一言ですべてを諦めてしまい、以降憧れだけを燻ぶらせたままクローゼットにしまい込んでしまった。
それでもやっぱり好きな気持ちは変わらず、時々イベントなど特別な時に思い切って着てみたりもしたけれど、罪悪感のような後ろめたさが纏わりついて離れなかった。
「私にはきっと似合わない」
「私みたいな人間は着るべきではない」
そんな根拠のないセルフ呪いを何重にもかけまくっていた。
そして30歳を超えて再び爆発したロリ服熱。やっぱり可愛いものは可愛いし、どうしても自分も着たい…!そこで理解のある彼氏が一言。
「今が一番若いんだから今着ないでどうするの?でしょ?」
ああ、そうだ。しかもこれ、ちょっと前に自分で言ってた言葉だ。
人間常に今が一番若い。過去になってしまえばもう手出しできないけど、今ならなんだってできる。ああしたかった、こうしたかったと過去を嘆くなら、未来から見て一番若くて手出しのできる「今」やるしかない。
「そうだね、着るわ」
そうして私は十ン年ぶりにロリ服をお迎えした。相変わらずシンプルなデザインのもので、まだ思い切りが足りないけれど、いずれ柄物とか装飾がたくさんついたロリ服も着たい。
ロリータファッションのカリスマ、青木美佐子ちゃんは今年35歳になる。私は今年33歳。美佐子ちゃんの活躍は私の勇気の源になる。
「身長が170オーバーでも、年齢が30オーバーでも、ロリ服が着たい!」
ファッションは自由だ。誰かに許しを請うことも条件を付けることも必要ない。頭でそれを分かっていても実践するには少し勇気がいる。それでも私はその一歩をえいっと飛び越えて、着たい服を着たい。だってもう後悔したくないから。
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