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眉村ちあきを1ヶ月聴いたのでなんか書いたよ

眉村ちあきさんという、歌手というか何というか、自称「弾き語りトラックメーカーアイドル」なかたがおられるわけです。(まだ)あんまし有名じゃないです。
で、眉村さんのアルバム「ぎっしり歯ぐき」を、どういうわけか、ここ1ヶ月間ほぼ毎日こればっか聴いていて、さすがにこれはおかしい、こんなにも長期に渡って飽きないのはどういうわけだ、納得いかない、と思い始めたので、このアルバムについてなんか書くことにしました。

出会い

仕事が年末進行で多忙を極めていた中、ほとんど逃避のようにスマホアプリを作り続け、年末に仕事もアプリも一区切りし、開放感で変なテンションが続いていた2019年の年始しばらくの頃、音楽聴き放題サービスの新譜リストにあった「ぎっしり歯ぐき」なる意味不明なタイトルとインパクト大なジャケ写に「?」となった私は、とりあえず聴いてみっかと思い、なんとなく再生ボタンを押したわけです。
先入観も知識もなにもない状態で、まっさらな状態で眉村ちあきさんに出会ってしまったのでした。

第一印象

まず流れてくるのは、爪弾くようなギター、演歌ぽい曲調、「酒をしっぽり飲む女‥‥」と始まる歌詞。
アルバムタイトルとジャケ写がおちゃらけてるのに、演歌。「ああ、これから精一杯ふざけるから覚悟しとけよな、のご挨拶曲ね、ふんふん」などと思い、ちょっと聴いて次の曲へ。(ひどい)(よく聴けば歌唱力の高さや、言葉選びのセンスに気づいたのだろうが)
で、次だ。連呼される「ぐずってるおじさん」からの「泥棒の常習犯」「救急車ってどこから来てどこに帰るの」「I was born in Australia」「歯ぐきぎっしり生えてるかい」といった、さっぱり意味と意図が理解できないフレーズの連なりと、それらをつなぐ妙にキャッチーなメロディとが織りなす、独自の統一感(というか不統一感)に溢れた音楽の奔流に押し流され、気づいたら最終曲となり、終わって呆然としたわけです。「なんかすごいの聴いた」「やばい」「なにこれ」。
それからというもの、通勤帰宅時は欠かさず聴き、病気で欠勤していた日はアプリ更新しながら朝から晩まで10時間以上聴き、たまに比較のために他の音楽(電気グルーヴとか戸川純とかマテリアルクラブとか)をちょっと聴いてすぐ戻り、名前でググって深夜のお笑い番組に出てたり株式会社作ったりしていることを確認しつつ深追いはせず、曲だけずっと聴いてました。

で、感想とかが頭の中にぐるぐるこびり付いちゃってるので、何とか吐き出してスッキリしたいと思い、この文章を書き連ねているわけです。

ここでお願い

眉村さんを知らんって方は、まあとりあえず、1曲聴いてみてよ。

どう?

「ぎっしり歯ぐき」感想を簡単に書くよ①

アルバム「ぎっしり歯ぐき」は30曲入り。曲数が多いんで、軽めに書いてく。

1.ハタチの女
アルバム1曲目。演歌っぽく、おとなしく始まるのだが、騙されてはならない。これは「身を縮めるのは高くジャンプするため」という戦略なのだ。油断せず、次曲の衝撃に備えるべき。

2.I was born in Australia.
一転して二転三転する曲調。意味不明なフレーズに混じる、アルバムタイトルを踏まえた「歯ぐきぎっしり生えてるかい」、日常からの開放を謳う「今だけはこの瞬間だけはひょっとして笑いませんか」という歌詞は、タイトルコールかつ ”Follow me!” という雄叫び。安心してついていこう。

3.あごけずりゆうこ
だがしかし、さっそく、まったく意味がわからないおそらく語感だけで連なる歌詞の曲が登場。解釈は諦め、言葉の響きと音楽とが作る快楽に身を任せよう。
ちなみに、眉村さんの会社「㈱会社じゃないもん」の公式ツイッター管理者は顎削り裕子さんとのこと。実在‥‥?

4.スーパーウーマンになったんだからな!
ここでまさかのラブソング。振られたが未練は残り、「週に1度夢に出てくるあんたのことがまだ好きみたい」と言いつつ強がるのだが、ところどころなんかおかしい。ピー音とか入るし。

5.東京留守番電話ップ
働くこと、大人になることへの悲しみや寂しさを歌い上げ、泣かせにかかってきたと思いきや、うんこ。名曲だと思う。かなり好きな曲。

6.どっこいトゥモロー
これもラブソング。好きの空回りとすれ違いの悲しみ、離れていく気持ちに気づきつつ気づきたくない、みたいな。せつなみ。

7.MC マユムラ
眉村さんの音楽にかける本気が伝わってくる、自己紹介的な曲。
ロッチ中岡と菅田将暉が登場。(鼻からうどんを食べるちちゃん、って誰? ほっしゃん。じゃないよね?)

8.CRAYON
かなり衝撃的な曲。「私はね ひとつずつ お姫様になる扉を壊して」。強い。歌いっぷりも心に響く。好き。

9.ビバ☆青春☆カメ☆トマト
ここまで5曲、テーマが伝わってくるいい感じの曲が続いていたにもかかわらず、また突き放される。「今のところ訳わからん歌詞だけど、ここからも訳わからんよ」と仰る通り。でもメロディのノリは良い。歌唱力を誇示するかのような高音の伸びが聴いてて気持ちいい。ライブで聴きたい。カラオケでも歌いたいが、JOYSOUNDには無かったな(2019/2/16現在)。
前曲とは白雪姫のモチーフで緩やかにつながる。「こびと」→「世界で一番可愛いのは誰?」

10.サイコパス
みんなずれててみんないい。
(でいいのか?)
イシシ、ノシシは児童書「かいけつゾロリ」シリーズの登場人物で、主人公のゾロリのことを先生と呼ぶ。ドンゲバビーはお笑い芸人ヴィンテージ武井の一発ギャグ。ウンパッパはみんなのうた? ルンパッパは音楽好きなポケモン。

11.宇宙に行った副作用
溢れ出る言葉。
「タイガー!ファイヤー!」等はアイドルライブでのお決まりの掛け声(MIX)ね。むかし、上司のお誘いで秋葉原のディアステージに行ったときに直前に覚えさせられ叫ばされた。今思えばありゃパワハラだ。
ドドンパは音楽ジャンルのことじゃなくて、たぶん富士急ハイランドのジェットコースターのこと。

12.これホンマに眉村さんが作ったの?
出落ち、と思いきや、さらにどんどんと崩壊していく。「サルでーす」じゃねーよもう。好き。

13.お天気お姉さん
「こんなの作っとけば受けるんでしょ」的な曲、なんだけど、自分でネタバレしちゃってる。
この曲含めここまでの5曲は、自己言及的というか、「眉村ちあきとしての私」をメタな視点でアピールするというか、そんな感じの曲たちですな。したたかだ。

14.ちゃらんぽらん
小休止。もともとの曲名は「ちゃら(Chara)」。あのCharaさんのパロディだけど、怒られるから変えたと思われます。かなり寄せてます。一部やりすぎ。

15.リアル不協和音
前曲とは「リズム」のキーワードで緩やかに繋がる。欅坂46「不協和音」を意識しているのかしてないのか。8曲目のCRAYONと似て、the真面目な眉村ちあき、な曲。
ここまでで2枚組CDならば1枚目の終わり。締めるとこちゃんと締める。

さてここでさらなるお願い

もう1曲聴いてみようか。

どうかな。

「ぎっしり歯ぐき」感想を簡単に書くよ②

16.ツクツクボウシ
人生全肯定な励まし系楽曲なんだけど、小ネタが散りばめられていて、照れ隠しなのかなって思わされる。
アフロ→(安室→ムロツヨシ)→お風呂→スライム風呂(YouTuberネタ)→メントスコーラ&ピンポンダッシュ(これもYouTuberネタ)→「意外と何でもやってみるもんだな」のつながりの凄さ。ホッピー→コッシー(NHKの教育番組のキャラ)→オフロスキー(同番組の別コーナーのキャラ)→お風呂、の繋がりもあったりするのかな。

17.コカコ◯ラのスリッパ壊れた
前曲で「好きなことする君はきゃわいいよ」と言っていたが、さて自分はどうなんだ‥‥?と我に返る眉村さんはだがしかし、「私以上に私はいない」と歩き出すのだった。

18.面会
年を取った家族との、20分間のみの面会。硬いベット。絞り出される声。賑やかな隣の部屋。「幸せだね」の呟きが切ない。

19.ナックルセンス
‥からの曲調一転、弾けんばかりのファンサービス的な曲。MIXも入るし。2曲前で「負けるとしたら橋本環奈」って言ってたのにここではさらに「生まれ変わったらリン・チーリン(台湾の女優/モデル)」とまで。
曲名の由来は、男性向けファッション雑誌「メンズナックル」の、独特なセンスのキャッチコピーのことかな。

20.メソ・ポタ・ミア
いろいろツッコミ要素満載な曲名&歌詞なんだが、考察とか無意味。繰り出される言葉に身を任せればよい。ライブでコールしたい。ネコ!ネコ!
さりげなくムロツヨシ再登場。
「無免許運転夢でやってから一生車は乗りたくねえ」と言いつつ、実際には教習所に通っている模様。ユンボだけど。

21.大阪
野望を語るも、さっそく叶っている。もっと売れればいいな。

22.家事
家事が嫌い、ってだけかと思いきや、ラブソング風味だったりもする。
家事をこなすロボットを発明してほしいと名指しで希望されているオガタさんってまさか↓じゃないよね。だれだろう。誰かご教示下さい。

23.(タイトルなし)
「カレーパンに憧れているであろう色黒 クラッチバック持った男」は、もともとは「EXILEに憧れている〜」。配慮したわけね。
敢えて(タイトルなし)としているのは、「皆も私も大量生産人間である」というテーマを無記名性/匿名性にひっかけてうんたらかんたら。

24.ピュア
5曲目の「東京留守番電話ップ」と合わせて聴くと良いのかな。
ドンゲバビー再来。
「音楽映画のヒロインになりたい」→なれました。映画「夢の音」に出演。
「ドカンと売れてやる」→たぶん売れる。

25.赤いハート
ハートって、色によって意味が違うのね。いま知った。
赤いハート💓:I love you.愛してるよ
緑のハート💚:U're Funny.あなたって面白い人
Google検索(ハートの意味 色

26.ゴミ女がかいたウタ
なかなかしんどい、恋愛の歌。

27.ひとりぼっちのアイドル
私=アイドル=あたし、という視点と、私=(一個人としての)ちあき=あなた、という視点が交錯する、なかなか複雑な歌詞。

28.She Saw
ちょっと明確な意味が取れない歌詞。公園、遊具という単語はあるが、シーソーについてではなく、She saw(彼女は見た)を言いたいはず。穿ったことは書けなくもないけど控える。米澤穂信「氷菓」のタイトルの真の意味くらい怖い。

29.FUKUOKA
うーん。ライブ向け?

30.Dear My Family
これまでさんざん、意味不明だったりメタな視点でアイドル語ったり振り幅の激しいラブソング歌ったりしてたのに、最後にこれは、ずるい。 泣くじゃん。

まとめ的な

さて、ここまで見たように、アルバム「ぎっしり歯ぐき」にはさまざまなタイプの曲が混在しています。仮に、以下のようにタイプ別に分類をしてみましょう。
(なお行頭の絵文字はなんとなくのイメージです)

🐢タイプA:意味が全く通じない歌詞。楽しいぞ。「メソ・ポタ・ミア」「ビバ☆青春☆カメ☆トマト」など。あるいは、それなりのテーマがあり意味は通じなくもないが、ノリ重視みたいな。「ツクツクボウシ」「コカコ○ラのスリッパ壊れた」など。
🐰タイプB:ラブソングや応援ソングを装っているが、なんかおかしい。うんことか入る。「東京留守番電話ップ」「お天気お姉さん」など。
💓タイプC:真面目。ふざけない。泣ける。「CRAYON」「面会」「Dear My Family」など。
👧タイプD:アイドルソング(一般的なアイドルソングではないけれど)。MIXとか入る。「宇宙に行った副作用」「ナックルセンス」など。

ちょっと全曲をタイプ分けしてみる。

🐰ハタチの女
🐢I was born in Australia.
🐢あごけずりゆうこ
🐰スーパーウーマンになったんだからな!
🐰東京留守番電話ップ
💓どっこいトゥモロー
👧MC マユムラ
💓CRAYON
🐢ビバ☆青春☆カメ☆トマト
🐰サイコパス
👧宇宙に行った副作用
🐢これホンマに眉村さんが作ったの?
🐰お天気お姉さん
🐢ちゃらんぽらん
💓リアル不協和音

🐢ツクツクボウシ
🐰コカコ○ラのスリッパ壊れた
💓面会
👧ナックルセンス
🐢メソ・ポタ・ミア
👧大阪
🐰家事
🐰(タイトルなし)
👧ピュア
💓赤いハート
💓ゴミ女がかいたウタ
👧ひとりぼっちのアイドル
💓She Saw
👧FUKUOKA
💓Dear My Family

うーん、なんか傾向が見えてくるかな。

・CD1枚目は、2曲目から🐢が2連続。その前後を🐰が固める。以降🐢をまんべんなく散りばめる
・CD2枚目は冒頭に🐢あるも、以降ほぼ無し。🐰率も低い。後半はほとんど👧と💓
・1枚目も2枚目も締めは💓

以上から、次のようなことが言えるのではないでしょうかどうでしょうか。

・1枚目の機能は、導入部で「うわなにこれ」と意外性で掴んでおいて、そのままウエーイって続け、最後にさりげなく真面目な面をチラ見せ
・2枚目の機能は、冒頭で同様にふざけ倒しといて3曲目で「えっ?真面目?」とギャップをかまし、後半で個性的なアイドルソングとアーティスト的な曲を取り混ぜつつ、最後に泣きで締める
・全体通して、「変だけどやるじゃん眉村!」という印象を与える構成

・たぶん、メジャーデビュー後は💓メインで、👧をちょい足し、スパイス的に🐰と🐢、という路線でいくのかな(予測)
・個人的には、🐢🐰💓👧を1:4:3:2くらいの比率で聴きたい(感想)

以上です。現時点での「ぎっしり歯ぐき」に対する感想などでした。
コメント・感想・異議申し立てなどは、ここかTwitterにお願いします。

(次の記事で、他のアルバム/シングル/動画についてもなんか書く)
(あと、眉村さん自身のことや株式会社のこととか書くかも)
(メジャーになったらまた書きたい、たぶん印象はアップデートされる)
(株券買いたいが現地に行く暇がない)
(あと、眉村さん好きと繋がりたい)

軽く続き書いたー。つなぎですけどね。
眉村さん関連をどこまでまとめるか問題

(2019/6/10追記)
お試しで、EPUB版をダウンロード可能にしてみた。


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