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ぼくのPoetry gallery

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かつて野に棲んだ詩鬼の残骸をここに記すという悪い趣味です。
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#金澤詩人

詩157「雨の散歩道」

「雨の散歩道」

雨は人を急き立てることがある
21世紀美術館から鈴木大拙館へのアスファルトの硬い道程も
街の賑わいとは裏腹に創造のイカロスは飛ばず

雨は人を急き立てることがある
傘を濡らして道をも濡らす

金澤詩人 20号掲載
Anywhere Zero Publication© 2023
Hiraya Akizuki© 2023

詩156「夏の山脈」

「夏の山脈」

碧(みどり)を碧(あお)とも呼べるのは
山並みの万緑が空の青さに溶けて行く
そんな夏の景色の賜物だろうか
熊谷守一が描いた「夏」の思想に
その答えがあったと思う

金澤詩人 20号掲載
Anywhere Zero Publication© 2023
Hiraya Akizuki© 2023

詩155「ひとこと、みこと」

「ひとこと、みこと」

言葉を離すべきじゃなかった
届かなければ伝わらない言葉だというのに
アネモネの花ほどの価値があったというのか
ぼくは負けたくない一心で
放り投げた言葉について話せずにいる

金澤詩人 20号掲載
Anywhere Zero Publication© 2023
Hiraya Akizuki© 2023