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かつて野に棲んだ詩鬼の残骸をここに記すという悪い趣味です。
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2022年9月の記事一覧

詩132「循環と場面」

「循環と場面」

私はひどく疲れていた
昨夜はぐっすり眠れたというのに
精神はすっかり削ぎ落され
むき出しの心臓がじくじく疼くようだ
横たわる身体から手を伸ばすと
一冊の本を掴んだ
毎晩のように読んでいる本は
いつもいつも
世界が限られていることを知らせる
今宵も指はこの本を開く――

――私はひどく憑かれていた
昨夜はぐっすり眠れたというのに
精神はすっかり削ぎ落されて
むき出しの心臓がじくじく

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