2.【理学療法士のアイデンティティ】運動系について
このブログは、MSI(Movement System Impairment)について解説することを目的としています。
MSIについては、こちらをご覧ください。
MSIでは、身体の動きがきっかけで生じた痛みの原因を解明し、改善するプロセスを学ぶことができます。
はじめに
今回は、理学療法士のアイデンティティとも言われる「運動系」についてご紹介します。
理学療法士の専門性はなんですか?と聞かれてパッと答えられるでしょうか?
MSIでは、理学療法士を“運動系の専門家”と定義しています。
運動系とは何か?これを理解することで、理学療法についてより深く理解することが出来ます。
理学療法士のみでなく、身体の治療に関わる各職種の方にとって、運動系を理解することは治療をする上で有効な視点です。
理学療法士の方以外にも、読んでもらえれば幸いです。
運動系とは?
「運動系」とはどんなものでしょうか?
少し聞きなれない言葉だと思います。
ロサンゼルスの理学療法士で日本にMSIを伝える活動を行なっている諸谷先生の文献(徒手理学療法 2022)では、
と定義されています。
少し難しいので噛み砕くと、
運動系とは、”身体を動かすために、さまざまなシステムが協力して動いていること”といえます。
このシステムの中には、筋骨格系、神経系、心肺・代謝系、皮膚系が含まれています。
各システムの詳細はこのようになっています。
筋骨格系:骨、筋肉、靭帯、腱、結合組織
→体を安定させ、動作を可能にします
神経系:中枢神経、末梢神経
→情報を処理し、各部を調整します
心肺系・ 代謝系:心血管系・内分泌系・肺呼吸器などの内臓
→体液の循環やエネルギーの消化・吸収などが含まれます
皮膚系:皮膚
→外傷などから体を守るなどの機能があります
運動系の重要性
運動系とは何かということが少しイメージできたところで、
なぜ運動系が重要なのか解説していきます。
米国の理学療法士協会(APTA)は、2013年に新しいビジョンを発表しました。
その内容は、理学療法士の役割は、「動きを最適化し、人間の体験を向上させることで社会を変革する。」というものです。
つまり、理学療法士の役割は、
・ 身体の動きを最適化する
・ 一人ひとりの活動が向上する
・ 社会の発展に役立つ
と解釈することができます。
運動系は身体の動かすためのシステムの集合体です。
つまり、動きを最適化するためには運動系を最適化する必要があります。
このことから、運動系は理学療法士のアイデンティティであるとされています。
理学療法士と運動系
実際に理学療法士がリハビリの現場で対応する疾患は、運動系に含まれるものがほとんどです。
脳卒中・神経難病:神経系
変形性関節症・骨折:筋骨格系
心不全・慢性閉塞性肺疾患:心肺系・代謝系
などです。
つまり、理学療法士の仕事は、運動系を改善することであるということが出来ます。
理学療法士はリハビリの仕事をする人であると認識されています。
しかし、その専門性を理学療法士自身も言語化できていない場合があります。
何をしているか(行為)でなく、どんな専門知識を持っているか(専門性)で理解してもらうことが、
理学療法士という仕事を明確にするために重要になります。
まとめ
今回は、理学療法士のアイデンティティーとも言われる「運動系」についてご紹介しました。
運動系とは、”身体を動かすために、さまざまなシステムが協力して動いていること”です。
運動系とは何か?これを理解することでは、理学療法士が自身の専門性を考える上で大切な要素になります。
もちろん、身体の治療に関わる各職種の方にとっても、運動系を理解し、身体の動きの改善を図ることは有効な治療につながります。
【9/7-8MSSTOKYO2024】MSIに興味を持った方へ
2024/9/7-8ににMSSTOKYO2024が行われます。
ワシントン大学教授のナンシー先生とMSIを世界で広める活動をしている諸谷先生のお二人から学べる貴重な機会です。
学びを深めたい方に大変オススメです。
アップデートされた最新のMSIについて、実技付きで日本で学べる機会は本当に貴重です。
私も参加しますので、一緒に学びを深めていきましょう。
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