あらためて広報について・・・広報を知らない人が多すぎる
広報を生業として長くいると自分の感覚が当たり前だと思ってしまう。それはいけない。なぜなら広報なんて全く関係ない世界に生きている人のほうが世の中にはきっと多いのだから。だからあえて本当に広報を知らない人のために改めて広報についてわかりやすく書いてみる。そもそも広報は戦後GHQが持ち込んだ言葉「パブリックリレーションズ ”Public Relations”」の訳語だって知ってましたか?
1.広報=広告じゃない
まずその1。広報は広告ではありません。言葉は似ていますが、似て非なるもの。簡単に言うと、広告は媒体(メディア)のスペースを買って、そのスペース内で好きなことを言うこと。「この商品はこのように優れています。だから買ってください」というようなことを素敵な言葉でカモフラージュしてお客さんに訴えるのが広告。心をグッとわしづかみにされるキャッチコピーに心動かされ、何かを買ってしまった経験って誰にでもあるはず。広告と宣伝はほぼ同義で使われています。対する広報は、さまざまな相手(ステークホルダーなんて言ったりします)との関係構築を目指し、企業の戦略のもと情報発信を行う活動をいいます。
2.広報=プレスリリースじゃない
その2。広報の役割の中に、メディアリレーションズといってマスメディアの記者との関係構築があります。メディアリレーションズにおけるもっとも大事なコミュニケーションツールが「プレスリリース」というわけです。プレスリリースは企業が記者を通じて世の中に伝えたいメッセージ(新製品・新サービス・人事異動・機構改革・イベントのお知らせなどなど)をオフィシャル(公式に)発表する文書のことです。これは”ニュース”ですから「新しい」情報であることが必須です。広告やSNSやウェブサイト等が先行して発表したものを後からプレスリリースすることはできません。そして従来はプレスリリースは大きな企業からだけのものと思われていましたが、最近では個人事業主でもプレスリリースを配信できるようになりました。
3.広報=パブリシティ?
その3。これもよく聞かれる質問です。パブリシティっていうのは本来は"Publicity"という英語からきており「政府や団体・企業などが、その事業や製品に関する情報を報道機関に提供し、マスメディアで報道されるように働きかける広報活動」なんですが、日本においては、少し独自の使われ方をしており、広告の色彩が強くなっています。「ペイドパブリシティ」「ペイドパブ」って言葉をお聞きになった方もいらっしゃるかもしれませんが、これは文字通り「ペイド=お金をはらって」パブリシティをすること。つまり、1で解説したようにお金を払ってその対価として記事風の広告を打つこと、となるわけです。ですから、本来の意味においては広報=パブリシティなのですが、マスメディアに働きかけても掲載にならない場合というのは往々にしてあるわけです。その時、この媒体に取り上げてもらったら効果的だという場合、お金を払ってスペースを確保して記事を載せる、というのも手法の一つとしてあり得るのです。そしてそういう記事は純粋な記事ときっちり分けるために「#PR」とか「これはPRです」という小さな文字が欄外に小さく書いてあるはずです。
4.広報=PR?
これもほぼほぼ同義で使われているのですが、本来の「PR」は”Public Relations”(パブリック・リレーションズ)ですから、社会や時代の声に耳を傾け、自社の目指すべき姿や顧客のニーズを正しくタイムリーにとらえ、社内に届ける「広聴」活動と社外に向けての「広報」活動を含む広い概念です。例えばアメリカでは政府に働きかけて条例を変えさせてしまったりすることもPRの役割です(正確にはGR=”Government Relations”うのは「広報」の上位概念であり、広報はPRの中に包括される一領域ととらえるのが正しい理解の仕方だと思います。
5.広報のメリット
では、広報ってどんなメリットがあるのよ、と思いますね。1.で書いたように、広報=広告・宣伝活動ではありません。広報活動に売り上げを求めるのはナンセンスです。では何を求めるのか?ほかにもたくさんあると思いますが、私は以下の5つが主な広報の担うべき役割だと考えていますし、これらが得られることが広報の主なメリットだと考えます。そして何より「経営者の参謀」あるいは「右腕」として経営活動にも影響を与えるのが広報の大きなミッションでしょう。
今回はここまで。お読みいただきありがとうございました!lisa500mlさん素敵なイラストを使わせていただきました。ありがとうございます。