私は自分のやりたいことをやるために仕事しているわけではない
Amazonで「世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方」というタイトルの本が人気だ。
たぶん就職活動か、転職活動か、そういう話題に悩んでいる人をターゲットにしていると思う。趣味の始め方を書いた本ではないだろう。
趣味と仕事って違うんですか
しかし私は最近、趣味と仕事って一体何が違うのかな?と考えている。それはきっと、私にとって趣味であった活動でお金をもらうようになったからだと思う。
今年から、翻訳や絵描きでそこそこお金をもらえるようになってきた。ただ、そういった活動は最初からお金稼ぎを目的としたものではなかった。
最近はこんな仕事をした。上の方が私の英訳で、下の方がAKさんという人の書いた詩である。手話の先生への感謝を表したものだそうだ。それについては別の記事で詳しく書きます。
実を言うと、私は翻訳とか絵の活動について営業活動をほとんど行っていない。別のことをしている途中で、たまたま依頼されたときに作品を書く。
お金というよりは、クオリティと、いい精神状態が作品に現れることを意識している。
ほんとうに見つけたいのは
さっき紹介した本のサブタイトルは「人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド」だ。商品ページにはこんなことが書いてある:
「自分探しゲーム」から解放される方法、教えます。就職、転職、起業、仕事選びでもう悩まない!30年後もメシが食えて、心から納得のいく働き方が見つかる。3つの視点で「自分探し」から脱出できると、「人間関係」「お金」「健康」「仕事」のあらゆる悩みが消えた!「価値観」「才能」「情熱」の組み合わせ方次第であなたの人生は一変する!
どうやら私の想像した内容よりは遥かに幅広いことを取り扱っているようである。なぜ人間関係や健康のことまでカバーできるのか、私にはわからない。しかも30年後に自活する方法まで教えてくれるとは。私も買おうかしら。
商品ページに書いてある「心から納得のいく働き方」がこの本の読者の真の目的かもしれない。私がこういう本に違和感を感じるのは、これが原因だ。
つまり、やりたいことを見つけるのがミッションではなく、最も快適な仕事を見つけることがミッションで、そのために自分自身を知り、やりたいことを見つけましょう、その方法を教えてあげよう、といったところだろう。
しかし、快適な仕事を見つけるためには、自分ではなく自分に仕事を与える側の人間を研究する必要がある。外にあるものを「世界」とするなら、自分ではなく世界を知ることが重要だ。なぜなら、世界の側に他人がいて、他人があなたにお金や仕事を与えてくれるからだ。
自分のやりたいことって必要なの?
そうすると、やっぱり自分の「やりたいこと」なんか知っていても知らなくてもいいような気がする。他人にとってウケのいい趣味を持つことなら有利にはたらくかもしれないね。
きっと、人材を選ぶ側、つまり企業が「あなたのやりたいことは何ですか?」と尋ねてくるのだろう。将来やりたいことは、この会社でやりたいことは...
私も数人の上司にそう尋ねられたことがある。そのとき私がどう答えたかは忘れた。
私は自分のやりたいことをやるために仕事しているわけではないからだ。
じゃあ何のために
さっき載せた詩について、依頼者のAKさんにこの画像を送り、英語版について解説した。そしたらAKさんは涙を流してくれた。偶然だが、「伽藍(がらん)」という部分の私の解釈がAKさんのそれと一致していた。詩の翻訳は初めてだったので難しかったが、とても嬉しかった。
私は自分のやりたいことをやるために仕事しているわけではない。私は他人のやりたいことのために仕事している。