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第5章<成長する>優れたエグゼクティブ・コーチのプロフィールとは?

われわれの経験上、優れたコーチの理想的なプロフィールなど存在しない。状況によるのだ。対象となる幹部との相性は、コーチのすべて――スキル、ビジネス経験、性格など――によって決まる。ベテランの幹部ならば、経験とやり方が自分のニーズに合っているコーチに相性や安心感を求めるだろう。一方、経験の浅いアクセラレーション・プールのメンバーならば、フィードバックと能力開発計画の立案への支援を通じて、自身に活を入れてくれる人がコーチとしては理想だ。 

現実的には、組織の中の誰かがエグゼクティブ・コーチングの金銭的スポンサーになると同時に、コーチと個人の仲介役を務めるべきである。通常、人事部門がコーチングについて調べて選択肢を作るが、エグゼクティブ・コーチを使う理由によっては、個人の上司やメンターが選出、あるいはコーチに関する細かい要望を決める。人と人との相性は予測するのが難しいため、社内の仲介者は、学習者の能力開発ニーズ、経験、やり方を考慮に入れて、最善の提案をしなければならない。


1.何を求めるか

DDIの顧客の多くは、コーチの経歴が多様であればあるほど、良いマッチングができるうえに、豊かな洞察がもたらされ、学習したことがコーチ同士でも共有されることを発見した。DDIではさまざまな経歴を持つコーチを雇っている。元CEOや経営幹部(銀行、ハイテク、製造、医療分野)、心理学者(産業/組織、臨床、社会)、ソーシャルワーカー、大学教授、小学校教師、工場長、医師、軍人、法執行機関のリーダーなど。彼らは正式なトレーニングを経て、アセスメント、フィードバック、コーチングツールの活用とその実践を経験して認定を受けており、それぞれ独自の能力を発揮して、リーダーの成長を支援している。

2.社内VS社外

コーチは社内の人間が良いのか、それとも外部の人間が良いのか?これまで議論の種となってきたが、これは二次的な問題だ。最も重要なのは関係の質とコーチのスキルである。秘密保持や信頼性、時間の制約、社内コーチの能力の限界、外部の視点へのニーズなどの問題から、外部のコーチを選ぶ組織が多い。外部のアドバイザーが単に部外者だからという理由で、社内のアドバイザーよりも信頼される場合もあるだろう。

社内の有能な人事のプロにとっては腹立たしいことだが、これが現実だ。公平かどうかはともかく、外部のコーチは偏見がなく、社内の人間より広い視野を持っていると見なされる。ただ、これも実際にやってみて試さなければならない。視点が優れているかどうかは、外部コーチのスキル、洞察の深さ、経験によって決まる。 

社内コーチにも利点はある。コストがかからないわけではないが、直接の支払いは発生しない。また、社内コーチは組織や業界、幹部がやり取りしている人々を熟知している。結局、社内のコーチを使うべきか外部のコーチを使うべきかに、答えはない。定期的にコーチを使っている組織の多くは、どちらかに決めず両方を組み合わせるのが最善の解決法だとしている。

3.価値を付加する

ひとつ誰もが同意する点がある。優れたエグゼクティブ・コーチは「戦略的価値を作り出す」ということだ。言いかえれば、リーダーはコーチとの関係によって改善される。以下は、影響力のあるエグゼクティブ・コーチを観察した結果、わかった特徴である。 

・信頼性…これは、広いビジネス経験、人生経験によって得られる。コーチは信頼感を与え、戦略的でハイレベルの視点を持ち、理論上の話ではなく学習者の世界と直接的に関わる。相手の身になって考えられることが重要だ。学習者の世界に関連する個人的な経験や逸話を共有できることをコーチが示せば、信頼は生まれる。 

・ビジネス経験と知識…ビジネス課題、優先事項、顧客に影響する市場ドライバーを正確に理解するコーチは、経営幹部の相談相手となる。リーダーシップの効率性に焦点を当てるならば、コーチは自分を戦略の専門家と位置づけてはいけない。それでも、高い階層の幹部の担当となったコーチは、彼らと共鳴し合えるようなビジネス経験(例:組織の戦略転換に加わっていた、新しい取り組みを始めた、組織の変革プロセスの際に重要な役割を担ったなど)を持っていたほうが良い仕事ができる。

高い階層の幹部の担当となったコーチは、彼らと共鳴し合えるようなビジネス経験を持っていたほうが良い仕事ができる。 

・政治手腕…賢明なコーチは、忙しい経営幹部の「防衛レーダー」となって、政治的にうまくやっていくための観察や洞察、道しるべを提供する。この分野におけるコーチの影響力は、政治的問題を認識する持って生まれた判断力と、生き残るためのアドバイスをする能力に直接関係がある。 

・将来に焦点を当てた現在の視点…ベテランの経営幹部は古いタイプのリーダーの典型になって時代に遅れてしまうのを恐れる。彼らは、自分とそのチームが新しくて現実に直結するような視点を持ち続けられるようなアイデアや方法を求める。よって時代遅れになるのを避けるために、現在のリーダーシップ・パラダイムの先端を行く――将来の課題に関連するリーダーシップへのこれまでと違う新しい視点を提供する――コーチは重宝されるだろう。一方で、古くさいツールや推測、方法に頼りすぎると、コーチ自身も時代遅れになってしまう。

・EQ…優秀なコーチは概して内省的であり、そのために個人のモチベーションや組織の力学を、離れていても正確に読み取ることができる。また、考えを口に出すことで、コーチが持つ対人認識力を共有する。このようなコーチのアプローチによって、幹部は周囲の行動を解釈する「レンズ」を手に入れることができるのだ。 

・精神的強さ…コーチは、時に学習者にとって耳の痛いチャレンジングなメッセージを発信しなければならない。これには、それぞれ異なるキャリア、動機をもつ人々の多様性について理解した上で微妙なバランスが取れた率直さが求められる。ほとんどの幹部は自分の仕事ぶりについて肯定的なフィードバックを聞くことに慣れている。有能なコーチは、学習者が心を閉ざすことなく能力開発のフィードバックを伝える方法を理解している。 

・相性…経営幹部は、感情、知性、あるいは社会的レベルで個人的なつながりを感じるコーチのもとに戻るものだ。相性を予測する公式はないに等しく、皆さまざまな方法でつながりを築いている。経営幹部は、刺激的、やる気をかきたてる、あるいは魅力的だと思うコーチに惹かれる。このようなコーチは、興味の幅が広く(または少なくとも、幹部自身と同じようなことに興味を持っている)、人生経験が豊富であることが多い。この他、尊敬に値する知性、補完するスキル(ギャップを埋める)、技術的能力なども、長期のマッチングにつながる。 

・グローバルな視点…今日の環境では、多くのリーダーは過去よりもはるかに幅広い市場、顧客、社会的視野を必要とする。現在グローバルな組織に属しているにしろ国際的な職務を担っているにしろ、グローバル化は多くの意思決定(市場ポジショニング、サプライチェーン、製造の海外移転、提携やパートナーシップ、財務モデル、規制など)に関わる。そのため賢明なコーチが持つさまざまな能力の中でも、グローバルな視点は重要度が高い。 

・創造性…経営幹部にとって個人的ニーズを満たすための創造性は、ビジネスで使う創造性とは多くの場合異なる。創造的なコーチは、幹部の典型的な自己開発の枠組を超えた思考を促す。そのようなコーチは、特に、ビジネス目標、ワークライフバランス戦略、将来のキャリアの方向性といったビジネス上のあるいは個人的な成長に、違った「見地」を提供することができるかもしれない。

4.おすすめ人材アセスメントソリューション

5.DDIとは

DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。

◆DDI社の4つの専門分野

DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。

6.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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