見出し画像

第5章<成長する>短期の成長課題は急速な準備を可能にする

1.短期成長課題によるリーダーシップ開発の機会と戦略

転勤ができないなどの制約があるリーダー、または長期的な取り組みに就くことのできないリーダー(最近ではよくあることだ)の開発に取り組む際には、短期の成長課題が重要度を増す。1日から数カ月の短期課題は、新たなビジネス状況に集中して対応する機会を提供する。


重要なプロジェクトを率いる、大きなプレゼンテーションを行う、戦略的な計画作成に参加する、組織的な調査や分析を行う、アクション・ラーニングのチームに参加する…などが短期的課題に含まれる。短期的課題に取り組むことで短期間に洞察や知識を得ることが可能だ。リスクは小さいが、当然ながら、ビジネスに与える影響も長期的課題に比べれば、小さい。

短期の成長課題には、時間がかからないこと以外にも多くの利点がある。

・独自の職務上の課題に対処できる(大きなプロジェクトを率いる、大勢の前で話すなど)。
・現職にはない成長機会を得られる。
・高い階層の人やグループに対応することで自信がつく。
・阻害要因(会議中に会話を独り占めしてしまうなど)に対処する行動を実践できる。

短期的課題の計画は、可能であれば長期的課題に関連するアサインメント・サイエンスの原理を使って立てるべきである。だが、最善の課題が不意に現れることが多いので、現れたときにその機会をとらえるのが経営陣の義務となろう。

多くの組織は、短期的課題による多大な見返りを認識している。ある組織の有望な幹部が、普段は見事なプレゼンテーションをするのに、ときどきお粗末になることがあった。問題はスキル不足ではなく準備

不足だった。プレゼンテーションの準備にもっと時間をかけるようにと忠告されていたにもかかわらず、彼女は頑固に自分のビジネスユニットを動かすという目先の仕事のほうを優先した。そうした中、彼女はメンターの提言により、2度CEOのプレゼンテーションのリハーサルに同席し、フィードバックを実施した。CEOがプレゼンテーションにどれだけの時間と力を傾けているかを見て、彼女はプレゼンテーションの重要性と、どうすればうまく行えるかを考えるようになった。

2.アクション・ラーニングの取り組み

アクション・ラーニングの技術は、意思決定スキルと対人スキルの開発に広く使われており、リーダーシップのあらゆる階層に有効であることが証明されている。また、ハイポテンシャル人材にレベルの高い職務上の課題を与えることで、組織の知識を増やすことにもよく使われる。アクション・ラーニングに取り組むのは小型飛行機の副操縦士を務めるようなもので、参加者は、コーチングなどの支援が受けられる環境で、実際の重要なスキルを試すことが可能だ。4人から8人のリーダーが、組織が直面する戦略的な問題や専門外の分野の現実のビジネス課題について、調査して助言する。

✅アクション・ラーニングの取り組みは、例えば下記のような質問に対する答えを探すものである:

・「どのようにして業界内の競争の基本的ルールを変えられるか?」
・「製品Xの市場には新たな参入者が入り込めるか?」
・「われわれは、わが社の製品についての市場の推測を変えられるか?どうすれば変えられるのか?」
・「インドでの業務をどうやって始めれば良いのか?始めるべきなのか?」
・「人事部門はどのようにわれわれのビジネスに価値を加えることができるのか?」
・「どのようにして、新規顧客を獲得する新たな戦略を作るのか?」
・「どの管理業務を外注するべきか?」

アクション・ラーニングのプログラムをどのように構成するかは、組織によってさまざまなバリエーションがある。最善の場合、幅広い人々が関わる高レベルの戦略的意思決定を経験する機会と、数々のコンピテンシーを適用する機会を提供してくれる。プログラムのデザインにもよるが、参加者は以下の事項を学ぶことができる。

・同じアクション・ラーニング・チームの他のメンバーの意思決定スタイル
・リーダーシップスキル(われわれは、アクション・ラーニングとリーダーシップのコンピテンシー開発目標を組み合わせた、いくつかのプログラムに関わってきた。これは非常にうまくいく。チームが実習とフィードバックの機会を提供してくれるためだ)
・小さなグループ内で協力しながら問題を解決する方法
・グローバル感覚(チームのメンバーが別々の国から集まっている、あるいは取り組みが世界的な問題を扱っている場合)
・ネットワーク構築の重要性と、効果的に構築するための戦略
・ビジネスに対する別の見方

取り組みを完了し、チームの他のメンバーやチームを担当する経営幹部からフィードバックを受けることで成功の度合いが測定される。メンバーが機会をとらえて以下を行えば、スキルレベルは飛躍的に加速する。

・行動を単に観察するだけでなく、分析と意思決定に関わる。
・リーダーシップの責任を共有し、可能であれば学習を個人の成長目標に整合させる。
・すでに持っているスキルに頼るだけでなく、新しい管理スキルや技術スキルを試す。人は、自分から申し出て専門スキル(例:財務システムの分析)を発揮することが多いが、それではすでに熟練しているスキルがわずかに向上するだけで、新たなスキルの開発にはならない。
・会議のリーダーシップスキルとプレゼンテーションスキルを開発する。取り組みを始める前に参加者全員を診断してそれぞれのEQニーズを判断する組織もある。参加者は個人のニーズを共有し、フィードバックを与えあう方法を確立する。
・他の参加者や上司、コーチからのフィードバックを求める場合には、インタアクション・スキルを開発する。

3.最後のアドバイス:差し迫ったビジネス状況には価値ある成長課題が含まれている

学習者をゲームに引き入れて使命に送り出すには計画が必要だ。ハイポテンシャル・リーダーはできる限り多くの長期的および短期的成長課題に参加しなければならない。だが注意してほしい。最も強力な能力開発経験の多くは、計画できない。CEOや経営幹部が自分のキャリアを振り返ったとき、自然災害への対応、限られた時間内での大規模な買収の決定、経済危機の乗り切り方の決定など、急なできごとやジレンマに放りこまれたときのことを思い出す。こういったできごとでは、低い階層のマネージャーがステップアップしてより高い階層の意思決定に直接関わるようにさせられることが多い。意思決定に際しては、より大勢が関与しなければならず、時間が重要な意味を持つ中、経営幹部陣が見守っている。このような状況は、理想的な学習機会となる。

もっと平凡な予期せぬできごともある。他国からの派遣団が予告なしに突然来社する、あるいは、会社がチャリティー運動の先頭を行く企業に選ばれるなどだ。経営陣は、常に新たな課題に注意を配り、ハイポテンシャル人材が重要な課題を経験して能力開発目標を達成できそうな機会があれば、すぐにその職務に就けられるようにしておかなければならない

4.アクション・ラーニングについて

✅アクション・ラーニングは:

・学習と実践の組み合わせである。
・解決法および、その解決法の実施の提案に関わるものである。
・たいていは多面的な能力開発計画の一部である。
・多くの場合、重要なビジネス上の問題や機会に対処することを目標としている。

✅アクション・ラーニングは:

・タスクフォースや委員会ではない。
・グループセラピーではない。
・独立した解決法ではない。
・それ自体が目的ではない。
・初級・中級管理職を主な対象にしたものではない。

5.おすすめ人材アセスメントソリューション

6.DDIとは

DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。

◆DDI社の4つの専門分野

DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。

7.会社概要

株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?