上級管理職の能力開発に不可欠なパーソナリティに関する洞察
1.上級管理職としての成功の成否を左右する個人の影響力
マッキンゼーは、ミドル・マネジャー(上級管理職)を「組織の最高経営幹部(Cレベル)のメンバーではなく、一人以上の部下のいる人を管理する人」と定義しています。こうしたリーダーの成否は、パーソナリティ(性格)が左右します。しかし、多くの場合、彼らは自分の個人的な影響力に気づいていません。だからこそ、性格に関する洞察は、彼らの窮地を救うことになるのです。
私は最近、上級管理職を対象とした「EQを高める」コースをオブザーブしました。リーダーは、性格診断を受けた後、自己認識を深めるための分科会で、その結果について話し合いました。
ある年配のディレクターは自分の性格の特徴と、それがどのように自分の助けになるか、あるいは妨げるかを見直しながら、「このレポートは間違っている。これは私ではない」と言いました。彼は自分自身を深く認識できていると信じていました。
同僚は、「そのことについては、また後で話しましょう」と冷静に答え、後日、1on1の話し合いで、彼女は仕事で現れる彼の性格特性について、フィードバックしました。
この知的でベテランのディレクターは、自分自身の盲点を明らかにしましたが、客観的なデータを前にしても、自分の足を引っ張りかねない性格的な阻害要因の意味を理解するのに苦労していました。
幸い、このコースで、性格に関する洞察と、心理的安全性が担保された場で他の受講者からのフィードバックを得ることができました。アセスメントと同僚からのフィードバックがなければ、このディレクターは、自分がリーダーとしての役割において、個人的な影響を与えていることに、十分に気づくことはなかったかもしれません。
2.上級管理職が自身の性格特性を把握しなければならない理由
あらゆるリーダーにとって、自己認識を深めることは有益ですが、上級管理職やリーダーの上司は、自分の性格特性に関する洞察が必要です。その理由は、
組織でリーダーとしての階層が上位になるにつれて、その個人的な影響力は増大します。初級・中級管理職は自分のチームに大きな影響を与えますが、上級管理職は自分の直属の部下だけでなく、そのリーダーの配下にいる部下にも影響を与え、その影響が連鎖的に波及していきます。
上級管理職は、戦略と実行を結びつける過程で、組織の複雑さやチーム間の不整合に直面することがよくあります。このような課題によって引き起こされるストレスは、特に上級管理職が自覚していない場合、コントロールするのが難しい感情のトリガーを引き起こす可能性があります。
上級管理職は将来の経営幹部です。現在、そして将来の役割で成功するためには、経営幹部としての存在感を高め、個人の影響力をコントロールする必要があります。
3.すべての性格診断が同じように作られているわけではない
多くの組織が上級管理職に対し、性格診断を実施していますが、より優れたリーダーを育成するために行っている性格診断が、効果的でない可能性があります。以下は、組織が性格診断で採りがちな誤った方法です。
4.上級管理職が個人の影響力を把握するためのベストプラクティス
①性格は良い、悪い、高い、低いといったものではないことを理解する。
②行動変容に焦点を当てる。
③全体的な視点を保つ。
④有効な話し合いに注力する。
⑤能力開発に性格診断を組み込む。
⑥組織の成果に結びつける。
5.上級管理職が自身の影響力を理解することが、組織文化を変える
上級管理職に性格特性に関する洞察を提供し、自身の性格が与える影響を理解させるこのプロセスでは、一貫して、「組織文化の醸成」や「ビジネスへの影響力」といった最終的な目標を見失わないようにしましょう。
このようなリーダーがより上位職になるにつれ、彼らの役割は、他のリーダーに影響を与えたり、コーチングを行ったり、戦略を成果に変えたりすることのほうが、はるかに多くなります。
言い換えれば、上級管理職は、自分の性格特性(自分がどのような人であるか)を仕事におけるスキルや行動(どのように導くか)に結びつける必要がある存在であると考えてください。さらに、組織横断型チームへの参画を促し、誰もが活躍できる文化を醸成するためには、自分自身を深く理解する必要があります。あるディレクターが別のディレクターの盲点を見つける支援するような文化を醸成することで、行動変容を促し、有意義な成長を生み出せるようになります。
■執筆者:DDI シニア プロダクト マネジャー ベッツィ・ブライテンバッハ氏
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7.会社概要
会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント
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