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コンピテンシー採用面接~科学的手法で絶対に成功する採用面接

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コンピテンシー採用面接とは 「経験」や「直感」に頼った面接は採用ミスを引き起こす。世界のリーディングカンパニーが取り入れる「コンピテンシー面接」で企業と人材のベストマッチングを実… もっと読む
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きょうから実践できる「科学的評価」の極意―このマガジンを読むとあなたの「人材観」が変わる!Vol.1(2/2)

3.採用における五つの問題点さて、採用面接の現場に目を向けると、はたして「ヒト 」を採用するということについて、関係者の方々がどれだけの責任感や問題意識をもっているかということに疑問を感ぜずにはおれません。 長年MSCにおいて、ヒューマンアセスメント(人の能力診断、特に管理職の方々の診断) に携わり、「ヒトの能力を観る」仕事をしてきた者として、企業価値創出の原動力である「ヒト」の採用において、面接官の主観や個別の人材観・価値観が合否判定を左右しているように思えるのです。

「思いこみ・決めつけ採用」がもたらす組織へのダメージ~<こんなはずじゃなかった>ではもう遅い Vol.3(1/3)

1.思いこみ採用の「サプライズ」前章でご紹介してきたような採用面接は、おそらくどの企業においてもかなり一般的に見られる光景ではないでしようか。だからといって、「面接は難しい。短い時間でヒトを見ているのだから」ではすまされません。 いうまでもなく、「思いこみ・決めつけ」による面接5評価・合否判定が続くかぎり、毎回ある割合で採用ミスによる"サプライズ社員。が確実に入社してど、ることになるからです。 その結果、職場の風土や雰囲気が悪くなったり、会社のカルチャーが微妙に変化したり、

「思いこみ・決めつけ採用」がもたらす組織へのダメージ~<こんなはずじゃなかった>ではもう遅い Vol.3(2/3)

5.採用活動におけるゴールの勘違いとコア人材の不足あるクライアントの経営企画室の責任者から、 こんなお話を、つかがいました。 そのクライアントの業界全体では大きなビジネス環境の変化が起こり、 経営者は抜本的な経営変革に向け、それを担う中核組織として経営企画室を新設しました。 「経営企画室で策定したビジネス戦略の内容については、 社長は大いに満足してくれました。だけど、その戦略実施の中心となって、実務的にプロジェクトを推進できるだけのコアとなる人材が、 わが社には不足してい

「合否の理由」を明確に語れますか?~コンピテンシー面接・行動質問のススメVol.4(1/3)

1.役員を採用ミスして組織が崩壊「〈コンピテンシー面接〉を、役員採用にも導入していれば、私が以前働いていた会社もあんなことにならなかったと思います」 ある外資系IT企業の元役員の方(Aさんとよぶことにします)が、しみじみと私にこうおっしゃいました。 この会社はべンチャーから急速に成長した、業界ではかなり規模の大きな会社です。私はそのクライアントに対し、次世代リーダーの発掘と育成のためのアクセラレーションプログラムを、若手リーダ1クラス対象に実施するコンサルティングを担当し

「合否の理由」を明確に語れますか?~コンピテンシー面接・行動質問のススメVol.4(2/3)

4.「コンビテンシー」を採用面接に活用する理由次に、採用面接において、私たちが「コンピテンシー面接」を強く推奨する理由を述べることにしましよう。「コンピテンシー面接」のメリットは何か。それを表にまとめてみました。 ①~③について、その要点をご説明しましよう。 ①の「情報収集の手引きとなる」とは、「自社にとって必要なコンピテンシーとは何か」をリストアップすることにより、面接で収集すべき重要な情報の内容や種類をあらかじめ理解でき、合否判定で必要となる情報収集に面接中専念するこ

「合否の理由」を明確に語れますか?~コンピテンシー面接・行動質問のススメVol.4(3/3)

7.「観念的質問」「誘導質問」から「行動質問」へこうした脚色を回避する方法――それは同時に、面接官の印象評価や主観的評価を回避する方法でもあるわけですが――は、応募者が実際にとった「行動」を尋ねることです。これを「行動質問」とよび、対して「考え・希望・意見」などを尋ねる質問を「観念的質問」とよびます。 ほかにも、「あなたは問題解決が得意なほうだと思いますか? それはなぜですか?」や「あなたは新規の見込み客をどのようにして探しますか?」といった質問も観念的質問に属します。その

行動科学で考える人材採用~偶然を期待する採用からの脱却―「名人芸」から「科学的」へVol.5(2/4)

3.行動情報を複数収集すると真偽がわかるところで、面接において行動事実を聞きだす場合、一つの事例だけではりスクがあると考え たほうがいいでしょう。というのも、応募者は面接官からの行動質問を予測して、一つだけはとびきり上質の行動事実を用意していることが小なくないからです。 最近、「学生時代に頑張った経験について詳しく話をする」ノウハウが流布しているようです。ある人事担当者の方から、「学生時代に最もあなたが力を入れた経験について話をしてください」という質問に対して、すばらしいエ

行動科学で考える人材採用~偶然を期待する採用からの脱却―「名人芸」から「科学的」へVol.5(3/4)

6.「考え方」より、まずは「行動」にフォーカスするところで、私たちMSCでは、採用選抜においても、また企業幹部の適性診断においても行動事実・行動事例に基づいてアセスメント(評価)を行っています。私たちのアプローチは、面接やアセスメントセンターから収集した行動情報をつかって、将来の応募者のパフォーマンスを見極める、というきわめて明快なものです。 その一方には、応募者のその行動にどのような考え、感情、意見・意図があったかを推測し、個人が本質的にもつ特性にまでさかのぼるという、心

行動科学で考える人材採用~偶然を期待する採用からの脱却―「名人芸」から「科学的」へVol.5(4/4)

9.「ストレス耐性」をどのような方法で探るか人を内観することにつながる要素、たとえば「ストレス耐性」を面接で見ることを、私はあまり勧めていません。勧めてはいませんが、多くの採用担当者からは、「ストレス耐性」を事前に見極めたいという相談を受けます。 ある大学病院から「どうしてもストレス耐性の有無や強弱を面接で判断したい」という要請を受けて、その方法論を一緒に検討したことがあります。 面接で「ストレス耐性」を見極めるうえでの参考になればと思い、そのときのことを以下にご紹介しま

採用の戦略的視点~採用成功の三つのポイント「正確」「公平」「賛同」Vol.6(1/4)

1.「採用の成功」とは何かさて、本Volでは、採用を成功させるための基本要件についてお話しします。 採用、ことに新卒者の定期採用の成功とは、先にも何度か述べましたが、要員計画に沿って必要な人数を確保できた、ということではありません。もちろんそのことも大切ですが、それは人事部門にとっての狭義の「成功」でしかなく、採用という「企業の優位性を生み出す人材の確保」というプロジェクトについては、もっと全社的な視点で採用の成否を考えていただきたいのです。 企業が採用を行う目的はいろい

採用の戦略的視点~採用成功の三つのポイント「正確」「公平」「賛同」Vol.6(4/4)

9.「コンピテンシー面接」が「思いこみ面接」を排除する次に効用の②(複数の面接官のあいだで同じ評価基準が共有できる)の説明に移ります。 この②を実現させるのも、ターゲット・コンピテンシー一覧を面接官全員に開示し、各コンピテンシーの要素ごとにそれぞれの定義やキーアクションを説明することによって可能となります。 この役割を担うのは人事部門の採用担当の方でしょうが、このとき、前項で述べた「必要不可欠のコンピテンシー」があれば、そのことについて指摘するのはいうまでもありません。

偏見と固定観念を排除した合否判定~システマティックな意思決定法Vol.7(1/3)

1.学生の将来の可能性について学生の採用において、多くの企業が見極めたい要件の一つに、成長の伸びしろ(いわゆる、ポテンシャル)があります。 Vol2.でも触れましたが従来の面接では、「ポテンシャル」の評価は面接官の印象によるところが多く、採用後に結局、期待していた潜在能力はまったく行動として発揮されなかったという例は少なくありません。 コンピテンシー面接では、現在までの行動を判断することはできます。しかし実務経験のない学生は、入社後にどれだけの能力を行動として発揮できるか

偏見と固定観念を排除した合否判定~システマティックな意思決定法Vol.7(2/3)

4.統合会議は集めたデータでディベートする~偏見と固定観念を排除さて、いよいよ合否の最終選考会議が行われるわけですが、この評価会識を「統合会議」とよんでいます。 効果的な採用システムの最後の砦(とりで)となる合否決定は、優れた品質管理プロセスのように勧めていきます。ここでは面接官の偏見と固定観念を排除するとともに、組織が求める採用基準を維持し、公正で正確な選考を保障するようなやり方で進めなくてはなりません。 「統合」という言葉をつかうのは、この会議には面接を終えた複数の面

偏見と固定観念を排除した合否判定~システマティックな意思決定法Vol.7(3/3)

6.意思決定は合計点ではなく応募者の全体像でコンピテンシーごとの評点が決まれば、いよいよ合否判定(1次面接であれば、2次面接に進ませるかどうかの判定)に移ります。このとき各評点をどのように扱うか。 対象となるコンピテンシーはA、B、C、D、Eの五つだとします。評点は5点評価とし、採用の基準となる行動が「3」(求める基準である=仕事を成功させるための基準を満たしている)です。 さて、このとき「A、B、C、D、Eの各評点の合計点数を計算し、その高い順に合格者を決める」という方