第3話 承認

 通知が止まらない。

 両手で握ったスマートフォンが、数分おきに震える。

 同意、理解、呼応、共感、同情、批判、罵倒、憎悪。

 もっと。もっと。

 今、私を中心にたくさんの人が踊っている。

 賛同の声が集う。非難の声は押しつぶされる。

 声は広がり、さらに多くの人に届く。

 波風が絶えない無秩序な世界。

 そこへ投げ込んだ石が、波紋を作り、小さな波をかき消していく。

 手が震え、皮膚が粟立つ感覚。

 怖い?

 そうじゃない。

 興奮している。

 これ以上、広まっていったら、一体どうなってしまうのか。

 そんなの、決まっている。

 私が、もっともっと満たされる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?