妨害工作に対応するローカルスタッフ

地球市民の会のミャンマー事業スタッフが書くミャンマーにまつわるエッセイ。第69回はローカルスタッフが執筆し、鈴木が翻訳しました。

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ローカルスタッフの報告

本日は、ローカルスタッフからの報告をお届けします。地域開発の事業は、一筋縄ではいかないことがたくさんあります。普段はなかなか日本までお届けできていない、現場最前線のお話です。

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私はTPAフィールドオフィサーのクンピョーゾワです。私たちは今、ピンラウンタウンシップ、ピントゥン村で、水力発電と生活用水配水のプロジェクトを実施しています。プロジェクトを実施していくにあたり、TPA、建設会社、現場監督、住民委員会が協力していく必要があります。

プロジェクトの中には、環境保全や持続可能性のために、コーヒーなどの植林事業も含まれています。コーヒーを植える目的は、環境保全はもちろんのこと、コーヒーを販売して地域のための基金を稼ぐためと、その基金を水力発電などの維持管理にも使うためです。

このプロジェクトを成功させるため、私は2023年6月27日に、村とコーヒー植林について話し合いをしようとピントゥン村に行きました。委員会ミーティングには、委員会メンバーを中心に村人たちが集まりました。来なかった人も何人かいました。

ミーティングに来なかった人は、プロジェクトにただ協力しないだけではありませんでした。今の村長が皆から誤解されるように、策略をしていたのです。その人は「TPAが準備したコーヒーの苗を、現村長とその仲間がこっそり売ってしまった」と、現村長を責め立てたのです。その人は、TPAと委員会のミーティングのときも、参加したことはありませんでした。

他の村人が「協力しない人が一人や二人いたとしても、プロジェクトをちゃんと実施できる」といいましたが、私は心配でした。なので、私は村の委員会だけではなく、村の僧侶ともプロジェクトについて話しあい、成功するように協力をお願いしました。僧侶は「支援します」と返事をくれました。

そして、私は非協力的な村人の家にも行き、プロジェクトについてしっかりと説明し、「地域のためのプロジェクトなのだから協力してほしい」とお願いしました。最後には、その人も理解してくれ、「協力します」と言ってくれました。プロジェクトが成功するよう、私たちは続けて頑張っていきます。

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頼りになるローカルスタッフ

以下、鈴木より補足説明をさせていただきます。こちらの事業は、外務省のNGO連携無償資金というスキームを利用して実施している事業となります。ピントゥン村は、ピンラウンタウンシップの中でも遠くにポツンと1村だけある集落で、電化される見込みが全くありません。

道路も悪く、雨期にはチェーンを着けたバイクか、村の人が運転する車で行くしかないところです。泥道で滑るので、ほかの村の人はたとえチェーンを着けた車だったとしても、怖くて運転したがらないような場所です。当会スタッフは、バイクで行ってくれています。一人だと途中で何かあったときに怖いので、複数人で行くようにしています。

スタッフの文章で出てきた「妨害者」は、以前、この村の村長でした。村長としての仕事があまりできなかったために退任させられ、今の村長に交代しました。そのときの恨みや妬みの気持ちが、妨害工作につながってしまったようです。このようなケースは、実は国際協力の世界ではよくある話です。(失敗談はなかなか外には出てこないので、知る機会は少ないですが。)

ミーティングに参加せずに、裏で妨害工作をする人がいた場合、それに気づける国際スタッフはまずいないでしょう。今回、このようなことに気づき、すぐに適切な対応をとれたのは素晴らしかったと思います。電波もなかなか届かない村ですから、こちらに相談することもできず、すべてクンピョーゾワの判断で責任をもって対応してくれました。地域の人と同じ言語を話し(ミャンマー語ではなく、パオ語です)、村に宿泊して、同じ目線で話をできるローカルスタッフだったからこそ、今回の妨害工作に気づき、適切な対処をできたのだと思います。

今回の件について報告を受けたとき、クンピョーゾワの成長を感じて嬉しくなりました。現在、日本人スタッフは村への訪問をミャンマー政府から止められていますので、ローカルスタッフの役割がますます重要になってきています。現場の最前線はローカルスタッフに任せ、私は後方支援を頑張っていきたいと、改めて思った出来事でした。


※この記事は、執筆者の個人的意見です。地球市民の会を代表する意見ではありません。

※この記事は、ミャンマーの状況を解説したものであり、政治的な意図は一切含みません。

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【7/28】ミャンマーオンラインスタディツアー〜ローカル市場で食い倒れ!&ミャンマーでお買い物!〜

「コロナと政変で、大好きなミャンマーに行きたいけど行けない・・・」
そんなミャンマー好きの気持ちに応える地球市民の会のオンラインスタディーツアー。7月のテーマは、「市場」です!

人々の生活に欠かせない「市場」。一言で市場と言っても、地球市民の会の事務所があるミャンマーのタウンジーにはいろんな市場があります。

・ほぼ毎日開催されている常設の市場
・5日に1回開催される五日市
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日本人からすると、何に使うのかよくわからないものや、珍しい食べ物など、面白いものがいっぱい!
地球市民の会のローカルスタッフが、ローカル市場の雰囲気をお伝えします♪

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