多くの日本人はミャンマーで起きていることを知ってすらいない

地球市民の会のミャンマー事業スタッフが書くミャンマーにまつわるエッセイ。第六回は、ミャンマー駐在の鈴木がチン州を舞台にした映画「白骨街道ACT1」について書きました。

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映画を観て、ミャンマーを知る

2022年4月16日(土)~22日(金)にかけて、「映画を観て、ミャンマーを知るvol.2」という企画が開催されます。藤元明緒監督のデビュー作「僕の帰る場所」と最新短編「白骨街道ACT1」が全国18館で同時公開されます。どちらもミャンマーを舞台とした映画です。映画上映の詳細はこちらをご参照ください。

藤元監督は、国際映画祭でもたくさん受賞されています。一番最近では、大島渚賞を受賞されました(すごい賞だそうです)。素晴らしいスピーチ!間違いなく、これからどんどん有名になっていかれる監督だと思います。

藤元監督はミャンマー人パートナーさんがいらっしゃり、ミャンマーに住まれていたこともあります。

「僕の帰る場所」も「白骨街道ACT1」も、どちらも素晴らしい映画ですし、今見る意味もあると思います。ぜひ、映画館に足を運んでみてください。

地球市民の会(佐賀)のすぐ近くにあるシアターシエマさんでも上映されます。4月16日は藤元監督、当会ミャンマー事業スタッフをオンラインでつないだイベントを実施します。佐賀の方は、シアターシエマのwebページをチェックしてください。


白骨街道ACT1

宣伝はここまでにして、映画を観ての感想をネタバレしないように書かせていただきたいと思います。(私は藤元監督のサポータークラブに入っているので、一足早く「白骨街道ACT1」を見ることができました。)

※映画を見に行く予定の方は、見た後に読まれるほうが良いかもしれません。解釈の幅を狭めてしまうと申し訳ないので。

ミャンマー北西部のチン州。少数民族ゾミ族の一団が、日本兵の遺骨を発掘するため、かつて第二次世界大戦の戦場だった場所に向かう。掘り起こされる争いの記憶を、現地の視点から語るショートフィルム。

https://fujimotofilms.com/myanmar

チン州という場所

映画の舞台はチン州。当会の活動地です。チン州は、ミャンマーの中で一番発展が遅れている地域です。険しい山岳地域で、多くの少数民族が、焼き畑や狩りをしながら生活してきました。あまりの発展の遅れに外国人の立ち入りは制限され、2013年からやっと外国人観光客が行けるようになりました。藤元監督が撮影に行かれたのは、2019年です。そして2022年の今、チン州に外国人観光客が入ることは再びできなくなっています。

映画の中では、インパール作戦のときに亡くなった日本人戦没者の遺骨収集事業の様子が描かれています。チン州のゾミ族の若者たちが、ジャングルの中を、遺骨を探すために掘っていきます。「サボってるとお金をもらえないぞ」と言いながら。16分の短編映画ですし、セリフも多くないのですが、一つ一つのセリフが胸に刺さります。


今、チン州は再び戦場に

戦争時代、日本兵にひどいことをされたと言う語りも出てきます。無謀な行動を比喩的に「インパール作戦」と呼ぶことがよくありますね。日本人から見たら、悲惨で、無謀で、本当に大変だった戦争でしたが、チンの人の目線から見るとまた違った一面が見えてきます。

ゾミ族の人たちは、日本にひどいことをされたという記憶を語り継ぎながらも、日本人のために遺骨収集の仕事をしています。もちろんお金のためでもあるのでしょうが、仕事の前にお祈りをする姿や一生懸命に地面を掘る姿には、誠実な気持ちを感じられました。

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