読書記:「データの見えざる手」(矢野和男著、草思社) (2018.1.26日経産業新聞寄稿)

企業経営における新たなKPI(重要業績評価指標)として、会社の生産性が上がり収益性の向上につながるとされる「幸福度」が注目されている。
本書で展開される幸福度計測のアプローチは、幸せを感じていることをウエアラブルセンサーで計測するものである。これまでの幸福度を測る有力な手法としては、質問書を使ったものであったが、それはある時点の状況を確認することはできても時間ごとの変化を捉えにくいという。
さらに著者はビジネスの成功における重要な要因である「運の良さ」についても、科学的に計測することを試みる。ビジネス上の「理」を自分の持たない能力や情報に到達し、建設的な会話が行われることと定義し、それを紹和型センサーよる接触度と体の動きによって計測する。そして、計測されたデータを掛け合わせ、目的に影響のある要因の候補を自動的に大量に作り出す人工知能ソフトウェアを開発した。
これは最近急速に強くなった囲碁や将棋のソフトウェアと同じロジックであるが、この学習するマシン」は我々の従来の問題解決方法を画期的に変えるものになりそうだ。

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