「場のコンテンツ」価値

不動産ビジネスに様々な立場でかかってきたことから、最近思うこと。

不動産の価値は、不動産そのものの出来の問題だけではなく、その不動産の立地に影響を与えるコンテンツがより重要になってきたということである。

そういったものを「場のコンテンツ」と呼ぶのならば、「駅チカ」、「都市中心部」、「高級リゾート地」、「タワマンの高階層」などがその価値向上の本質となっている。

こらの「場のコンテンツ」の価値は社会の仕組みの変化によって変わるものであり、最近で言えば、テクノロジーの発達によるリモートワーク、コロナによる働き方の変化、等での価値変容が大きい。

また、「心の時代」を迎え(これはSINIC理論での最適化社会の進展と相まって)、スピリチュアルな「場のコンテンツ」も重要度が増している。もともとスピリチュアルな「場のコンテンツ」は、宗教施設=盛り場としての歴史的発展をみせてきているが、近年においては宗教そのものだけではなく、宗教施設が引き寄せられた本質的な要因である「気」のような理論的には理解・説明できないが何らかの影響を人間に与えていると思われるエネルギーが注目されてきているからなのだろう。

今後のテクノロジーの発達の観点で言えば、自動運転、オフグリッドエネルギーなどが、すでに実用化されているオフグリッドネットワークシステムとの組み合わせによって「場のコンテンツ」価値を変えてしまうとも言える。これは都市中心部の価値を下げるということではなく、都市周辺部の価値を高める要素になるものである。

一般的に不動産価値の低下を招くとされていた建物老朽化等はリノベーションテクノロジーの発達により解消され、よろ「場のコンテンツ」が不動産価値にとって重要な要素となっている。

不動産価値は不動産の価格とも連動はするが、そこがポイントではなく、本質的価値、すなわち使用価値の向上と言える。その不動産がより多くの共感を集めるという観点から言えば共感価値の向上でもある。

「場のコンテンツ」価値の向上は単独の不動産で実現するものではなく、立地する地域の価値向上と関係している。地域の価値は人間が形成する部分が大きく、人が生み出した価値と連動するものである。

例えば、京都という街は、コンパクトな面積内に様々な「場のコンテンツ」を有している。東京都の比較で言えば、東京の有する「場のコンテンツ」の要素が量や質で凌駕しているかもしれないが、所在地が分散していることが価値低減につながる。これは以前はなかったリモート、オフグリッドといったテクノロジーの影響でより強調される。

自然を重視する価値観においても一定の距離については、テクノロジーや社会的価値観の変化で課題解消される。湘南地域の不動産価値が向上することはこういった要素によるし、臨海地域も都市中心部の「場のコンテンツ」へのアクセスが有利であったりタワマンの「眺望」といった「場のコンテンツ」の影響もある。

こういった視点(場のコンテンツ)で不動産を考えた場合、今後の不動産の価値を決定していく要素が見えてくる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?