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私だけが見つけた秘密

「どこが好きだったか教えるときは
もうその恋を片付けるって決めたときだよ
せっかく自分だけが
見つけた秘密だったんだから」

あるドラマ内で刺さったセリフ。
きっともう本人に直接伝えられる日は
来ないと思うから、ここに記します。


少しずつ貴方との会話が増えてきたある日。
遠い距離に座っていたのに
20秒ほどずっと目が合い続けたあの日。
会話があった訳でもなくただただ静かな20秒。
人の目を見ることがあまり得意でない私。
何故かその日は
逸らすタイミングが分からなくて。

帰り際、今日は楽しかったねと
珍しく長いこと目が合ったしと
そう言って笑う貴方を見て私は恋に落ちました。


私が貴方のいる空間に顔を出すと
分かりやすいくらいに嬉しそうな顔をして
ニコニコ近づいてくるのが可愛くて。
周りの人からも気に入られてるよね、と言われて
それが嬉しくて、でも恥ずかしくて。

貴方のことが好きな他のファンの人たちに
目をつけられませんようになんて思いながら
自分の思い違いなどではなく明確に
私に対する態度が柔らかくて
甘いことがただひたすらに幸せでした。

暫く顔を出す期間が空くと
私ロスだったなんて言いながら話しかけに来て。
本当にずるい人だなぁといつも思っていたよ。


今ほど頻繁には会えなくなると分かってすぐ
貴方から連絡先を聞かれたときは
どうしようもなく嬉しかった。

そこからまた一気に距離が近づいて
本当はこっそり私のSNSを覗いてたこととか
意外に執着が強い人なんだということも知った。

お互いの立場も、環境も年齢差も踏まえて
絶対に絶対に言うつもりなんてなかったのに
それはもう強引に
貴方はこちらの気持ちをこじ開けてきて。
そこからはあっという間に
色んなことが崩れました。


男は女性を守るべき的な古典的な考えが強いこと
実は甘えたがりなところ
熱しやすく冷めやすいところ
時間にややルーズなところ
褒められたがりですぐ色々自慢するところ
結構口が悪くて態度が大きいところ
かと思いきやものすごく優しい声と目で
私に擦り寄ってくるところ

あの空間だけでなく
外の空間で会うようになって知った
新しい一面が沢山ありました。
そんな部分を知るたびに私は心を掴まれて
でもほんの少し寂しくて。

こんな時間が長くは続かないことも
いつかは離れる時が来ることも
分かっていたから悲しかった。


でもいつか来る別れ以前にもう既に
お互い、一年前の今頃のような
相手に対する純粋な興味と好意は
無くなってしまったね。

私はそれがとても寂しいです。
でも仕方がないことだと分かっています。
人の感情なんて、変わっていくものだから。

だから本当はね、できたら戻りたいんだ。
丁度1年前くらいに戻ってやり直して
もう少し上手く貴方と接したい。
出来たらもっとちゃんと純粋に
余計なことを言わずに好きだと伝えたい。


でもそんなことは叶わないし
きちんと自分の気持ちの
整理をつけると決めたから。

貴方の好きだったところ、沢山あったよ。
ほんの少しでも私は貴方の記憶に
爪痕を残すことができたかな。

さようなら。元気でね。



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