Chat GPTが中学生のMathを何度も間違える
最近、Chat GPT(無料版)を算数の宿題の答え合わせに使っています。
息子が、「一緒にMathの問題やろう~」と珍しく誘ってきたので、お付き合いすることに。でも「確率」の問題で苦手分野だったのと、英語の算数(数学)の文章題は見慣れていないので意味もよくわからず。
まずはDeepLに聞いてみることにしました。
問題文はコチラ。
意訳すると、
1つの箱に、1~88までの数が書いてある88個のボールが入っています。
最低●個のボールを取り出すと、最低でも1組、書いてある数の差が「8の倍数」である2つのボールが取り出せます。
さて、●に入る数字は何でしょう?
という感じ。
つまり、「1と9」とか「15と31」とか「40と88」などのように、「2つの数字の差が8の倍数」になる組み合わせのボールを必ず引くには、最低何個のボールをひかないといけないでしょう?
っていう確率の問題ですね。
確率とか統計とかはすっかり忘却の彼方。さっそくChat GPTに聞いてみることにしました。
最初の答えは「17」
Chat GPTに答えを聞くと、「pigeonhole principle(鳩の巣原理)」を使う、という回答。ほう。それは何でしょう。
「鳩の素原理」も知らないので、ググってみると
ということらしい。
へえ、おもしろい、と思いつつ、Chat GPTのいう最終的な答えの数字を見ると「17」。
ん?ほんと?
と腑に落ちなかったけど、用事があったのでそのままにして、とりあえずは用事を済ませに出かけました。
「鳩の巣原理」の使い方を知る
「ほんとに17か?」というのが気になって仕方なく、帰宅後に再度よく回答を読んでみました。
すると、「鳩の巣原理」をどう使うかというと、88個のボールを以下のように8つのグループに分けて考えるのだ、とあります。
Group 1: Balls numbered 1, 9, 17, 25, 33, 41, 49, 57, 65, 73, 81
Group 2: Balls numbered 2, 10, 18, 26, 34, 42, 50, 58, 66, 74, 82
Group 3: Balls numbered 3, 11, 19, 27, 35, 43, 51, 59, 67, 75, 83
Group 4: Balls numbered 4, 12, 20, 28, 36, 44, 52, 60, 68, 76, 84
Group 5: Balls numbered 5, 13, 21, 29, 37, 45, 53, 61, 69, 77, 85
Group 6: Balls numbered 6, 14, 22, 30, 38, 46, 54, 62, 70, 78, 86
Group 7: Balls numbered 7, 15, 23, 31, 39, 47, 55, 63, 71, 79, 87
Group 8: Balls numbered 8, 16, 24, 32, 40, 48, 56, 64, 72, 80, 88
そしてそのあとに説明が続いて、最終的に「答えは17」とChat GPTが結論づけているのですが、それなら答えは17ではなく「9じゃない?」と思いませんか?なんで17個もボールを取る必要が?
ここで、「9個取れば、同じグループの中のボールを最低2個(1ペア)はとることになるから、そしたらそれらの数字の差は8で割り切れるよね?」と聞き返すも、
「確かにそうだけど、それだと『差が8の倍数』ということを証明しているに過ぎなくて、実際に最初の質問の本当の答えを出すには17個」
と論旨がわからないことを言いだすChat GPT。
らちが明かないので、再度同じ質問を新たな質問としてしてみました。
次の答えは「12」
同じ質問を新たに投げかけると、答えはこちら。
え?なんで?
なんで今度は12がでてくるの?
もう一度!
次の答えは「8」
同じ質問をすると、次の答えはこうでした。
え?
だから、それなら「8じゃなくて9じゃない?」と思い、再再再度同じ質問をしてみることに。
すると次の答えがこちら。
ちょっと言葉が難しくなっていますが、同じことを言っていて、結論は「8」。
ここで質問を返してみることにしました。
Chat GPTに逆に説明してみる
そこで、聞き返したのがこちら。
するとChat GPTのお返事はこちら。
じゃあ、あなたの最初の答えは間違ってたってこと?とさらに聞くと、
「I apologoze(申し訳ありません)」から始まり、「混乱させてすみません」「ご指摘ありがとうございます」という内容の答えが返ってきました。
算数なら、AIは間違えないと思ったのに
答えが決まっているような中学生の算数ならAIは間違えないと思ったのに、意外に何度も間違えるChat GPT。文章題は確かにちょっとわかりづらいかな、とは思うけど、こんなに言い張られるとは思わなかったのでちょっとびっくり。
GPT4ならそんなことないのかもしれないですが、多くの人はしばらくは無料版のChat GPTを使うでしょうから、「ご注意を!」とお伝えしたくてここに書いておくことにしました。
算数問題を間違えたりもしますから、過信は禁物です。
Chat GPTを宿題につかっている中高生のみなさん、気を付けてね。
Web上に、類似の、数字の異なる問題がたくさん出ているなどで、それらを混同しちゃっているんじゃないかな、と感じました。
しかし「Z世代」はあざやか
で、やっとChat GPTからも「9が正しい」と言われたので、息子に、「さっきの問題、答えは17じゃなくて9じゃない?」と説明してみると、「確かにそうだね~」と息子がChat GPTに打ち込んだのが、こちら。
「1と9の差って8で割り切れない?」
のひとこと。
それでChat GPTもあっさりと非を認め、「正しい答えは9である」と認めました。
親世代がさんざん時間をかけて「丁寧に」やるところを、息子たちZ世代はチャチャっとやっちゃう。
鮮やかだなぁ、と思わずにいられません。
というわけで、Chat GPTを使うときも、ちゃんと自分でも考えようね、というお話でした。
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