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銭形平次捕物控111「火遁の術」(1940)+映像化作品 紹介と感想


あらすじ

八五郎に誘われ、道灌山で東海坊が行う火伏せの行を見に行った平次。
東海坊は最近話題の修験者で、どんな病もたちどころに治すと評判だ。
火伏せの行が始まるが、床の仕掛けに細工がされており、東海坊が焼死した。
調べを進めると、東海坊は女癖も悪く、幾人もの人に恨みを買っている事が判明する。

感想

死に方が派手で、ミステリー的な興味を繋ぐ描き方をしているため、平次短編の中では謎解きものとして楽しめる一編です。
人の弱みに付け込んで金を稼ぐ山師は、現代にも変わらずいます。
「〇〇が治る!」なんてネット上にも溢れている話です。
被害者の最後は、人の弱みに付け込み、しかも自分の身の丈も考えずに欲張った人間の末路でしかありません。
しかし、騙された人間の恨みは消えるものではなく、そのせいで一線を越えてしまう悲しさがあります。
物語の幕引きは悲哀の強いものでした。お気に入りの一編です。

映像化作品

映像化は一つあります。

大川橋蔵・主演 第12話「狂った火」(1966)

原作と大まかな流れは一緒ですが、犯行に一つ工夫が追加され、それにより主犯が変更となっています。
また、三河島の浅吉の役割が万七へ変更となっており、初期作の中では万七の出番が多い話しでもあります。
最期の立ち回りでは、大川平次では珍しく、長谷川平次のように銭を乱れ打ちしています。
より勧善懲悪な流れになっており、捜査物ミステリードラマとしての空気も強めに出ていて好みの作劇でした。

ゲスト出演者

  大徳屋/織本順吉
御厩左門次/青木義朗
  東海坊/浜田伸一
  東山坊/神戸瓢介 (2年目からは為吉でレギュラーになります)

大川橋蔵版レギュラーキャスト(当話出演者のみ)

 銭形平次/大川橋蔵

  八五郎/佐々十郎
   お静/八千草薫

三輪の万七/藤尾 純
   清吉/池 信一

   お弓/鈴村由美


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