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銭形平次捕物控65「結納の行方」(1937)+風間杜夫・主演 第4話 紹介と感想

野村胡堂『銭形平次捕物控(六)結納の行方』嶋中書店, 2004, p216-251


あらすじ

商売が上手くいっていない大黒屋常右衛門。沢屋利助からの借金が返せず困っている所、江島屋の倅・良太郎が娘のお関に惚れて、結納として三千両をくれると渡りに船の提案をされる。
しかし、江島屋を出た時には小判が詰め込まれていた千両箱の中身が、大黒屋で確認すると砂利に変っていた。
平次たちが大黒屋へ行くと、今回の騒ぎを聞きつけた沢屋の用心棒・大川原五左衛門がお関を借金の方に貰っていくと騒いでいた。
このままでは大黒屋一家が困った事になってしまう。
果たして平次は、事件の謎を解き明かして、隠された三千両を見つけることができるのだろうか。

紹介と感想

不思議な事件も分かってみれば単純な事件でした。
謎解きの興味はありませんが、展開が良く結構面白く読めました。

最近、銭を投げないと評判の親分ですが、犯人との対決では得意の銭投げが炸裂します。

善意から行われた犯罪も、ふとした瞬間に欲目が働き後戻りの出来ない状態になってしまうため、正直な方法で問題の解決を図るのが良いとわかる話でした。

「不景気と言や、親分、近頃銭形の親分が銭を投げねえという評判だが、親分の懐具合もそんなに不景気なんですかい」
「馬鹿にしちゃいけねえ、金は小判というものをうんと持っているよ。それを投るような強い相手が出て来ないだけのことさ」

野村胡堂『銭形平次捕物控(六)結納の行方』嶋中書店, 2004, p217

風間杜夫・主演 第4話「結納の行方」(1987)

ドラマでは千両箱は2つ、二千両になっているなど、原作から細かな変更点や、ドラマを膨らませるためのエピソードの追加などはありますが、大筋は原作に沿って展開されていきます。
しかし、犯人に関する設定が大幅に変更されており、これにより最終的に原作と印象が変わる話となっていました。

要所要所のシーンから、木場勝巳が演じる八五郎の存在がこのシリーズの魅力の一つであることを実感できる話でもあります。

追加エピソードも程よく、捕物ドラマとして素直に楽しめる良いエピソードでした。

ゲスト出演者
     お関/会沢朋子
    長谷倉/長谷川明男
    大川原/菅 貫太郎
和泉屋常右衛門/福田豊土
    千代松/加藤純平
  江島屋良介/高城淳一

風間杜夫版レギュラーキャスト(当話出演者のみ)

 銭形平次/風間杜夫

  八五郎/木場勝巳
   お静/宮崎美子

 三輪万七/左とん平
   清吉/森川正太

笹野新三郎/中村橋之助
笹野弥三郎/萬屋錦之介

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