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ささかわの読書感想文
2016年2月28日 20:15
桐野夏生『ハピネス』(光文社文庫)若々しくて、綺麗で、セレブで、おしゃれで、ハッピーなママライフ。桐野夏生『ハピネス』は、女性誌に頻出しているこれらの言葉を体現するような人たちが暮らす、東京都・江東区の五十二階建てのタワーマンションが舞台の物語である。このタワーマンションに暮らす専業主婦の有紗は、娘の花奈と二人でタワマン生活を謳歌している。夫は海外に単身赴任しており、有紗の実家は新潟と
2016年2月13日 15:11
羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋) 羽田圭介『スクラップ・アンド・ビルド』は現代社会の現実と、皮肉と、ずるさを多分に感じられる物語である。「もうじいちゃんなんて、早よう寝たきり病院にでもやってしまえばよか」(11頁)二十八歳の孫・健斗は八十七歳の祖父のこの台詞を毎日のように聞いている。新卒で入った仕事を辞め、アルバイトで食いつなぐ健斗はフルタイムで働く母のサポートのた