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たたかう読書

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「自分を守れる自分」を作るための読書。
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2015年6月の記事一覧

大瀧純子『女、今日も仕事する』

大瀧純子『女、今日も仕事する』

大瀧純子『女、今日も仕事する』(ミシマ社)

「ワークライフバランス」「自己実現」「バリキャリ」…どれもピンとこない女性たちへ

と書かれた帯とシンプルな装丁に惹かれて読んだ。

本書は著者の経験・苦労を通して女性の理想の働き方を説いた一冊である。これまで「たたかう読書」と称して自分の生き方働き方を模索するために読書をしてきたが、本書ほど「しっくりきた」ものはなかった。
母子家庭で育ったせいか

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山田ズーニー『人とつながる表現教室。』

山田ズーニー『人とつながる表現教室。』

山田ズーニー『人とつながる表現教室。』(河出文庫)

山田ズーニーさん。あなたに、10年前に出会いたかった!

以前『おとなの小論文教室。』
(https://note.mu/mrn_123_mrn/n/nbad28ba3de5f)
を読んで著者の言葉に魅了された。10年前にウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」上で連載されたものを書籍化したものだが、わたしが高校生の頃に知っていたら…大学生の頃に出会

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金原ひとみ「軽薄」(「新潮」2015年7月号)
成り行きのまま、軽薄に日々を過ごすことができてしまう日本で、どれだけの人が自分の軽薄さを認識しているだろう。強烈な成り行きに流され続けた主人公が生きることを体感する物語。主人公が得た生きる悦びが胸の奥にじわりと響く。 #たたかう読書

金原ひとみ『持たざる者』

金原ひとみ『持たざる者』

金原ひとみ『持たざる者』(集英社)

「蛇にピアス」ぶりの金原ひとみ作品。帯には「『蛇にピアス』から10年。」と書かれていて、「蛇にピアス」を読んだ高校生の時のぞわぞわ感と10年も経ってしまったショックが二重にやってきた。

代表作しか読んでいない自分のミーハー心を戒めつつ金原ひとみ『持たざる者』を読んだ。金原ひとみ『持たざる者』は東日本大震災から四年後、環境や行動を変えて過ごす四人の登場人物の感

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百田尚樹『夢を売る男』(幻冬舎文庫)
出版物の売上は年々減少しているのに、本を出したいと思う人は増えている。人間の自己顕示欲につけ込む出版ビジネスを赤裸々に描いた一冊。noteで"ものづくり"をしている人は読むべき。始終顔を平手打ちされるような衝撃が待っている。 #たたかう読書

月村了衛『土漠の花』(幻冬舎)
海外派遣されたソマリアの地で、とある事故がきっかけで内戦に巻き込まれた自衛隊員達の生死の物語。初めての"実戦"、増える犠牲者、とっくに限界を超え気力で戦う彼らの脳裏にふと浮かぶ富士山…。世界の不条理と自衛隊の矛盾を描いた問題作。 #たたかう読書