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無料の歌唱合成音声で歌唱力おばけを作る方法 ~「Dake」編~

マンモス。9月末に新曲「Dake」を公開しました。
YouTube↓

ニコニコ↓
https://www.nicovideo.jp/watch/sm37577217

この曲は花ぽこの最新アルバムに収録されている曲で、花たんソロの為に描き下ろしたバラードナンバーです。
同時投稿の花たんVer↓
https://www.youtube.com/watch?v=olSe_1bRhFE

聴いてもらえば一目瞭然ですが、とにかく歌唱力と感情で限界まで昇り続ける曲です。
ご存知の通り、花たんといえば圧倒的な歌唱力の持ち主ですが、その歌唱力を活かしに活かしまくった曲を作った上で、それに真っ向から合成音声で勝負するのがまさにライブPの真骨頂。

ということで今回選んだのは、リンではなく最近御用達の闇音レンリ
以前の雪の華の記事でも紹介しましたが、新しい音声合成歌唱の形として非常に扱いやすいライブラリです。
これはSynthesizerVの闇音レンリのみならず、UTAUの闇音レンリも同様に言えると思います。
以前からリンは「Power、Sweet、Worm」3種類の声を混ぜ合わせて使っていますが、今回のレンリは、UTAU連続音の「ノーマル、CLEAR、WHISPER、EDGE」にSynthesizerVを加えた計6種類の声を混ぜて作ってあります。

折角なので、今回どのようにしてこの歌声を作り込んでいったのか詳しく記事にまとめておきます。

1.VSQX作成編

①DAWで打ち込んだメロディデータ(.mid)を書き出し。
②ボカロ編集ツール(VOCALOID EditorとかPiapro Studio)に読み込み。
③歌詞を「ミけてない語変換」などでひらがな化、「お」化したくない「を」箇所を「うぉ」に修正、母音化不要の「っ」箇所を修正、「わ」化不要の「は」を「は」に修正、など。
④ノートに③を流し込み、ミスがないか確認。
⑤VSQXデータ(.vsqx)で保存。

2.SynthesizerV編

①歌唱ライブラリを「闇音レンリ」に設定。UTAUの声質を想定してジェンダーは-0.14。
②VSQXを読み込み、細かくエディット。
③パラメータは「有声無声」「ブレシネス」「テンション」がメイン。
④オーディオ(.wav)で書き出し。

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3.UTAU編

①ライブラリは「闇音レンリ・連続音Ver1.5」
②プラグイン「ImportVSQX」を使用して、VSQXを読み込み。
autocvvcで歌詞を連続音変換。
④EDGE以外の3ボイスを上手く選びながら細かくエディット。
⑤オーディオ(.wav)で書き出し。
⑥ここまでのustを別保存して、エッジボイスが必要な箇所に素材用のEDGEを入力。EDGEは母音のみ、前後のノートは消して、しっかり発音を残せるように長めに発音させる。
⑦エッジボイスをオーディオ(.wav)で書き出し。

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4.DAW編

鏡音リンでもいつもやっている混ぜ合わせの作業です。
DAWはCUBASEを使用しています。
①上記で生成した3つのWAVをレーントラックに並べて、タイミングをしっかり揃える。
②一瞬一瞬ごとに必要な声を選んで切り出し、クロスフェードで繋げる。
③エッジも子音の切れ目に合わせて上手く貼り付けていくが、上手くいかない時はエッジトラックを使わずにSynthV・UTAUもしくはオーディオのピッチツールなどで加工して自前で作成する。(CubaseはVariAudioでも可能)
④UTAU闇音レンリに同梱されているブレスデータを選びながら必要な箇所に挿し込んでいく。
⑤インサートエフェクトにEQ、DeeGain。Cubaseのクイックコントロール機能を使ってMIDIコントローラーでDeeGainの音量パラメータをリアルタイムに動かしてオートメーションを書き込み。その後細かくパラメータを修正して、音量の大小による抑揚をつける。更にコンプをかけてボーカルトラック完成。
※DeeGainを使わなくても、トラックの音量フェーダー自体をオートメ操作して、新規グループトラックにアウト、グループトラック側でコンプをかけるという方法もあり。多分そっちの方が楽。

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今回は声作り1本に全集中してボーカルトラックを作り上げたので、最終的にオケとのミックス、マスタリングは担当のシグナルPに任せました。
過去にも4~5曲ミックスやマスタリングでお世話になってるシグPなので安心して完成を委ねました。


多分上の調声工程を見て、よくわからなかった人は「何かわからんけど、すごい」って思うかもしれませんが、わかった人は「何してんの、頭大丈夫?」って思ったと思います。
ただ、やっていることの本筋は至って直球でして、理屈とかガン無視でとにかく一瞬一瞬の声を自分の好みで選んで選んでかき集めて形にしただけです

ライブPラジオでもたまに言いますが、「出来る・出来ない」を結論にせず、「やりたい」と思ったことを出来るまでただひたすら作り込み続ける、シンプルにただそれだけのことだと思うんです。

「思いつき」と「実行」の2つだけ。

例えば、リンが実際にもし隣にいたら、何をして欲しいですか?

俺は、まずその「リンが実際に隣にいる世界」を作ろうと本気で考えて今その準備を進めています。
描く夢なんてのは意外とそこら中に転がっていて、あとは何年かけてどうやって達成するかだけ。
夢の大きさも数も特に気にする必要はないのですから。思いついたものは片っ端から自分で叶えてしまえばいいと思います。


それ”だけ(Dake)”です。


身近の、何気ない大切なもの、見失わないようにしないとね。



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