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コント台本『先生、野球がしたいです。』

三石(男)
高校三年生。中学までは有名なピッチャーだったが高校一年の時ひざのケガで野球部をやめてしまってからずっとグレている。謝ればなんやかんや許されると思ってるタイプ

桜庭(男)
高校三年生。小中高と野球一筋。一年の時出会った三石のピッチングに憧れている。自分を漫画の主人公だと思ってるタイプ

安藤(男)
高校教師。野球部の顧問。教頭先生に頼まれてしぶしぶ野球部の顧問をしている。しぶしぶやっている割には選手に的確なアドバイスをするため多少は慕われている。テレビのニュース等で悲惨な事件がながれていてもなんとも思わないタイプ。

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桜庭、ピッチング練習をしている

そこに不良姿の三石が現れる

三石「おーおー、精が出るなぁ。」

桜庭「み、三石…?!(不良姿の三石に驚く)」

三石「よぉ、桜庭まだそんなダセぇ事してんのかよ。」

桜庭「お前、一年の頃怪我してそれから来なくなって何してたかと思えばそんな…なにしてたんだよ!皆エースのお前に期待してたんだぞ!」

三石「あーそんな事もあったなぁ。なぁそんなダセぇ『野球』なんてしてねぇで今から隣町の女子校のやつと遊ぶんだ。おめぇもこねぇ?」

桜庭「…今のお前が一番ダサいぞ。」

三石「なんだと!俺より下手くそだったテメェが俺がいなくなってエースになれたからって調子に乗ってんじゃねぇぞ!あー、決めた。こんなクソみたいな部活俺がぶっ潰してやる。」

三石、近くに置いてあったバットを持って暴れだす

桜庭「や、やめろ!」

三石「うるせぇ!」

三石、止めに入った後輩を殴ったり蹴ったりした後置いてあるグローブを何度も何度もバットで叩く

三石「こんなもの!こんなものがあるから!!」

桜庭「いい加減にしろ!!(三石を殴る)こんなのただの八つ当たりじゃないか。俺は知ってる。お前が一番…お前が一番野球を愛してたじゃねぇかよ!!」

三石、泣き出す

三石「う…う…、ちくしょう…ちくしょう…。」

安藤、入ってくる

三石「はっ、あ、安藤先生…。」

安藤「これは…。」

桜庭「す、すみません。三石君が急に野球部に戻ってくるなんて言うもんだからエースの座を奪われると思って暴れちゃいました。僕の責任です!」

三石「さ、桜庭っ…?」

桜庭「三石君、先生に話したい事があるみたいです。」

桜庭、三石の方を見て「行け」の表情

安藤「…。」

三石「先生すみません!!俺、怪我して休んでる間に皆がどんどん上手くなっていって…甲斐もすげぇピッチャーになってって…それで!それで俺なんかチームに必要ねぇんだってふてくされて…。本当にすみませんでした!!ううう…。安藤先生、野球がしたいです。」

桜庭「俺からもお願いします!!」

少しの間沈黙

安藤「え?ダメだけど?」

三石「え?」

桜庭「なんでですか!先生!」

安藤「なんでっていや、普通に。(笑)」

桜庭「そんなの理由になりません!」

安藤「なるよ。え?だってこれ三石がやったでしょ?絶対そうじゃん。こいつめっちゃ不良だもん。やだよー。」

三石「え?いや、こういうの結構許されたりするんですけどね…。」

安藤「え?なんでこんなにぐしゃぐしゃにした奴入れなきゃいけないの?こえぇじゃん。」

三石「なんか前から思ってたっすけど全然野球部の顧問っぽくないっすよね。」

桜庭「先生!だ、だからこれは俺が!」

安藤「それだと桜庭、お前が退部だぞ?」

桜庭「う…。」

三石「情ってもんがないんすねぇ。」

安藤、殴られて倒れてる後輩に気付く

安藤「え!うわ、ちゃんと殴ってるじゃん!あーこれはやばい。よくこれでなんやかんや許されると思ったね。え?これやってたら退部どころじゃないよ?え?ホントにこれ桜庭がやったの?」

桜庭、黙って三石を指差す

三石「(桜庭に向かって)ねぇ…。(泣)まぁね、仕方ないよね。」

桜庭「で、でも!!こいつはホントに野球を愛してて!こんな事しちゃったけど!野球をやりたい気持ちは本物なんです!!」

三石「もう多分無意味だって(安藤を指差しながら)あれには。」

安藤「そんな熱量で来られてもさ~、あれだろ?どうせお前ずっと不良やってたから体力無いだろ?試合の大事なとこでバテたりするだろ?いらないよそんな奴。」

三石「(泣きそうになりながら)え?そんな事いう?」

桜庭「それは言い過ぎです!先生!!三石だって反省してるんです!その証にきっと髪だって短髪にしてきますし!」

三石「いや、あんまそういうの切る前から言わないで。切ろうとは思ってたけどさ、ほら、言われるとさ、切りづらいんだわ。」

安藤「あー、もうなんかめんどくせぇな。連帯責任で二人とも退部な。うん、じゃあな。」

安藤、出ていく
三石、桜庭見つめ合う

三石「…二人でサッカー部にでも入れてもらう?」

桜庭「そうだな。(笑)」


おしまい

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