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イーロン・マスクとハードSF

(写真と参考元記事はBusinessInsiderより)

イーロン・マスクは、子どものとき読んだ名作ハードSF
から着想を得ているという。彼のビジネスアイデアはその表層のテクノロジーと目を見張るイベントに囚われて作家の真意を理解していないと批判も多い。
マスクはこれらのSFの表層的な技術やイベントの方向に関心をもち建設的なサイコパスとして猛進したのである。多くのサイコパス的行動者は印象に残った事象を自分の関心事とし行動を起こす。

マスクも大きな影響を受けたというアイザック・アジモフの「ファウンデーション」シリーズ。
宇宙世界に無秩序と技術知識の忘却をもたらす銀河帝国の崩壊に備えその崩壊を遅らせ復活の礎を巡らす様々な知恵と回避手段を銀座全土に巡らす壮大なスペースオペラでありハードSFの最高傑作と言われている。崩壊してゆく銀河社会には、文明の救世主である惑星が伝説として伝わりその存在はどこに隠されているかを探す高度なミステリーも備える。
このSFでの根底にあるものは、数学的な予測手法により様々な事象を予測しそれに備える「心理歴史学」を創設し銀河帝国の崩壊に備えたハリ・シェルダンという科学者の壮大な計画である。
数学的手法による予測とは現在日本でブームとなっているがまだまだ未述な科学であるデータ・サイエンスが近い。いわゆるMachineLearningによるAI推測である。
マスクにする批判はこのアジモフによる心理歴史学という思想を理解していないというものがある。
マスクはAIを聞けば答える召使のようなものとしてしか理解していないという。
AIによる数学的予測は宇宙空間での物理運動と星間引力などまだ解明されていない事実技術が必要となる。
これに生物である人間の心理とその結果行動の予測が必要となる。過去の結果行動が人類の歴史である。
この研究は始まったばかりだ。

私がAIの研究を始めたのは、サイバネティックス創始者ノーバート・ウィナーの『サイバネティックス:動物と機械における制御と通信』を読み数学による物理的生物学的行動を実現することを試みようとしたことから始まった。そしてアジモフのファウンデーションシリーズの心理歴史学とバン・ヴォーグトの「宇宙船ビーグルの冒険」での総合科学という思考方法が現実世界でのイメージとなり、これらのSFをインスピレーションに新しい科学技術と思想を作る方向に関心が向いた。同じ頃フランスのノーベル生物学者ジャック・モノーのカソリック的な絶対神思想が背景にある主張に激怒した。人類以外の生物や文明は宇宙には他に存在しないという実に愚かな思考だ。そんな思考は預言者でもなく神でもないアカイヤ公会議の出席者がのちに勝手に定めたものである。

マスクのSFからのインスピレーションからの現在の即物的対物的行動は非難されるものではない。
やってみないと宇宙ではなにもはじまらない。彼の行動が場当たり的で表層的であってもなにかの礎になりそれを機会に動いていく。SF作家の真意を理解してその通りに行動する必要などないのである。

批判者は、マスクのサイコパス的な側面をその行動の様子を毛嫌いしているのである。




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