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車座と想像力と夜8時。

どうもこんにちは、しめじです。

今日は、感染者数が劇的に増えて、(今までと違って)若年層の感染者も増えているなか、「学びを止めない」というスローガンのもと、学校の通常運営を続けた学校の担任の日常をお送りしようと思います。

あくまで全国に何万、何十万人といる教員のうちの、たった一人のケースの話ですから、全然こんなに大変じゃなかった、という人もいれば、コロナじゃなくて過労で倒れそうな目に遭っている人もいます。

また、念のために書き添えておくなら、だから教員が一番大変だ、とか言う気は皆無です。何をどう考えても、医療関係の各方面の方が大変だろう事は容易に想像できますし、各個人に落とし込んでも、家族で自分以外全員陽性、みたいな状況に追い込まれている人の方が大変だろうと思います。

ただ、当然のことながらコロナ対応に追われる教員の取材なんてこないですから(来ても邪魔だし)、まあ、一つのケーススタディとして。

出勤から午前中

ある日、出勤するとなんだか担任室が慌ただしい。教頭も校長も、なぜか朝一で担任室に来て学年主任と真剣な顔で話し込んでいます。
まあ、この時点で察しがつきます。昨日の夜か、今朝早くか、陽性の連絡があったんだろうな、という感じです。

無論、ただの思い過ごしで、全然違う件ならいいな、と思うわけですが、聞き耳を立てる限り(私はそれでもほとんど聞き取れないけれど)、残念ながらやっぱりそういう話のよう。
となると、次に考えることは、自分のクラスの生徒は無関係でありますように、ということです。

ただ、この日は残念ながらがっつり私のクラスでした。
陽性の本人は別クラスでしたが、濃厚接触の疑いのある生徒4人が私のクラスに。
なんでも、前日の昼を車座になって食べたそう。

・・・・・・なんでそんなことするかなあ。

当然のことながら、生徒には黙食、非対面を指示はしています。
文科省がどうとか、教育委員会がどうとかではなくて、単純に、食事中にマスクをとって会話をしていたら保健所は濃厚接触者に指定することになっているからです。もちろん、学校でのお昼なんて友達とわいわい食べたいだろうことなってこっちもわかっていますが、そういうわけにはいかないですからね。
また、高校は小学校などと違って給食指導もありません。また、密を避けるために、という理由で、教育委員会からは各種特殊教室などを昼食場所として開放するよう指示されています。

私たちも、車座になっていないか、大声で食事中に騒いでいないかは廊下を歩いて見回りはしますが、教育委員会のその指示のおかげで、全昼食場所をこまめに見て回るのは物理的に不可能です。また、クラスをまたいでの昼食グループは生まれやすくなります。もちろん、クラスのみに交流を制限することで苦しい思いをする生徒が存在することはこちらも承知していますが、その分、濃厚接触者の指定などが一気に複数クラスの生徒にまたがることもあり得るというリスクは存在します。
そういう隙を縫って、部活の仲間とかで車座になって昼食をとったんでしょう。頼むから、目的を理解してくれ、って思います。

さて、時系列の話に戻ります。
というわけで、この4人、これまでの経緯からして限りなく濃厚接触にしていされる可能性が高いものの、保健所が忙しすぎてまだ明確な連絡が返ってこない、とのこと。

というわけで、事情を説明し、校長の判断でいったん帰宅、自宅待機に協力してもらえるようお願いをすることに。
生徒を呼んで、担任の私と学年主任、教頭から事情を話し、4人とも承諾してくれたので帰宅してもらいます。

次に、その各家庭に連絡しないといけません。
本来は、このような措置は、生徒が教室で授業を受ける権利をこちらの判断で奪っていることになるわけですから、ちゃんとおうちの人にも理解を得なければならないからです。生徒を信用しているしていないの問題ではなく、それはちゃんとこちらから話をするのが、ただの筋です。

というわけで電話をかけていきますが、今のご時世、家に電話しても誰もいないのは普通のこと。4軒中2軒はつながりましたが、2軒はつながりませんでした。一応、学校に申告していただいている携帯電話にかけてみます。留守電に概要を吹き込もうかと思いましたが、「また電話します」だけで切りました。

ちなみにこれ、用件言ってくれよってご意見いただくこともあるんですが、今回のようなデリケートな件の場合、万が一その携帯番号が書き間違えられていた場合や、こちらがかけ間違えた場合にそれはもう大変なことになりますので、個人的な内容を含むないようは基本的に留守電にいれないことになっています。(うちのとこでは。なんか昔それで大変なことになったことがあったとか、なかったとか)

この時点で1時間目が終了します。
2限目は授業なので、進捗を主任に話して授業に。残りの2軒は俺もかけてみるよー、と言ってもらったのでお願いをしておきます。

3限目も授業。
4限目は空きコマです。主任によると、1軒は子どもから連絡を受けた親が自ら電話してきてくださったとのこと。ありがたい限りです。

と思っていたら、昨日から欠席している生徒の家から電話が。
陽性だそうです。
そのまま電話を替わってもらって、聞き取りを行います。
欠席する前数日間の校内での行動を、事細かに聞いていきます。
無症状で元気な子だとスムーズに進みますが、この子は昨日から欠席しているとおり体調も悪く、なかなか気を遣います。ただ、それで聞き取り漏らして本来濃厚接触者に指定されるはずの人が指定されず、そして陽性だったら・・・みたいなケースがある(あとから「あ、そういえば」って話が出てきて追加で指定される場合もたくさんありますからね)ので、体調悪い中申し訳ないと思いながら聞き取りを進めます。

で、主任と教頭に報告。保健所に連絡してもらいます。

ここで午前授業終了のチャイムです。

昼休みから放課まで

昼休みは教室の巡回です。
そうしたら、この間大声でぺちゃくちゃしゃべりたくっていて主任に怒られたばかりだった子が、また同じような感じでいるのを見つけてしまいます。スルーするわけにも行かないので、呼び出します。

学校(高校)は、ほとんどの場合、1学年でも最低100人前後の生徒をあずかっています。3学年だと、例えばひと学年2クラスだとしても200人以上の生徒がいます。(ちなみに、私の職場は1000人弱の生徒がいます)
もちろん、さまざまな家庭環境の子がいます。親が医療従事者で、家族が一人でも濃厚接触者に指定された時点で仕事に行けなくなる人、入院しようにもこのような状況で入院ができず、自宅療養しなければならない他の病気を抱えたご家族がいる人、自分自身が他の要因で肺炎を発症すると特にまずい状況になりうる生徒。もちろん、それぞれの事情を鑑みて、長期的に欠席させる判断をする家庭もあって、そこにはこちらもなんとかフォローは試みてはいますが、どうしても学習の遅れが生じることは否めません。だから、徹底的に感染防止を心がけて、友達と食事中に会話をするのも自主的に徹底的に我慢して、何が何でも持ち帰らないように、と生活している生徒もいるわけです。はっきりいって、そういう人もいるということへの想像力は持てよ、と思います。という旨の話をして教室に返します。

お昼休みが終わると掃除の時間。私は担任なので教室掃除に行きます。
そのあと、私もお昼を食べます。幸い、5時間目が空きコマなので、ここを昼休みに振り替えます。

で、6、7と授業。
帰りの会をして、おしまいです。

放課から退勤まで。

さて、午前中に連絡があった、陽性の生徒。
保健所から、濃厚接触者の判断の連絡がまだ来ません。
保健所もパンクしています。
私の職場の事務の方、一人同い年がいるので結構中が良くて、プライベートでもラインとか交換してるんですが、その方は今保健所に助っ人として出向いています。その方曰く、毎日退勤が10時とかだそう。助っ人ですらそうですから、況んや本職の方をや。

教頭からは、保健所から連絡来るまで悪いけど待ってて、と言われます。まあ、言われなくてもそうしますが。
待てど暮らせど連絡が来ません。定時の5時が過ぎ、5時半が過ぎ、6時になり、6時半になり。そりゃあ、早く連絡が来てくれたらうれしいですが、保健所が大変なことになっているのは知っているので、文句じみたことは思わないようにしています。我々よりも明らかに忙しいですから。

のんびり、春休みの宿題プリントを作って過ごします。
7時40分に保健所から連絡が来ました。一人が指定されます。その家に電話をかけて、自宅待機などの協力をお願いします(ちなみに、これは強制力はありません。あくまで協力を依頼するだけです)。

で、全部終わったので帰ります。

こんな感じです。
この1ヶ月の間で、一番コロナ対応だけに追われた日のことを書き起こしてみました。
毎日毎日こんな風にコロナ対応だけに追われているわけではありませんが、そうでない日も授業の準備やテストの作成、濃厚接触者に指定されたり家庭の事情で通学を自粛している子に向けて、授業の進度に合わせて自習できるように動画を作ったりプリント作ってPDF上げたり、まあやることは色々ありますからね。(授業の中継も試みましたが、複数クラスで同時に実施したら動画がカクカクモザイクになってまともに見られたもんじゃないということが残念ながら判明してしまいました)

ただ、昨日は一切の仕事を持ち帰らずに帰宅しました。
今日は、のんびりします。
それでは、今日はこの辺で。

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