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進学実績が意味をなさない日が来たら。

こんばんは。しめじです。

今日は、ずっと考え続けていたことを実行に移しました。

何かというと、一種の追跡調査

以前担任をしていた生徒に連絡をとり、協力してくれる生徒とその保護者に、卒業後の生活に対する満足度や、高校で身につけてよかったこと、身につけておけば良かったと思うこと、学校で教えられていることで実際の企業での仕事や大学生活とはかけ離れていること、逆にちゃんと通用している部分、そういう物事を生徒とその保護者の視点から聞こうと考えていました。

「ガッコーのセンセー」になる前から疑問に思っていて、そしてなった後もっと疑問に思うようになったこと。

進学や就職が果たしてゴールなのか?

ということに対しての、自分なりの回答のつもりです。

自分が高校生の時のこと。

私が通った高校はいわゆる進学校。行ける限り偏差値の高い大学を目指して当たり前、センター試験でとった点数でいけそうな国公立なら多少遠くてもも勧めて当たり前、という、地方によくある進路指導のスタイルです。

私はいきたい大学が明確にありました。ただ、そこは模試を受けてもA判定。もっと上位と言われている大学もA判定かB判定。当然そっちを勧められるわけです。

でも、そこに行くと自分のしたいことはできないわけです。住みたい街でもありませんでした。結局、猛反発した私は頑なに志望校を変えず、センター試験翌日の自己採点も嘘の点数を書いて学校に提出しました。

一部の先生には、廊下で立ち話をしているときに「お前は本番で滑った」みたいなことを言われましたが、それも頑なに無視して第一希望の大学を受けました。

別にその高校に通ったことは後悔していません。むしろ、その進路指導のあり方以外は全面的にいい先生ばかりだったと思いますし、いい友人にも恵まれました。

でも、進路指導って何のためにやっているんだろう、と思うわけです。

進学校で三年担任をした時のこと。

教師として働き始めて初めて三年生を担任した時のこと。私は成績が上位の生徒を多少偏らせた「裏特進クラス」のようなクラスの担任をしました。

当然、進路指導部からは「このクラスなら国公立は○○人くらいかなあ」などとプレッシャーをかけられましたが、これもまあ(良いことなのか悪いことなのか知りませんが)スルー。

もちろん、国立を勧めるは勧めます。もしもやりたいことができるなら、学費の安い国公立の方が将来経済的な面だけ見ればペイできる可能性が高いからです。やりたい学問のジャンルくらいしか決まっていない生徒であれば、近場の国公立から、この大学ではこんな先生がこんな研究してるよーとか、そういうふうに具体性を帯びるようにしていくのはありだと思います。この段階でわざわざ学費の高い大学を勧める理由はないと思います(私たちがお金を払うわけではないので、やはりそれはできません)。

でも、明確にやりたいことがあって、それができる大学も自分で調べて、私も面談でそれを聞いたら同じようにできるだけ調べて、私が知ることができた範囲でそれが最善の選択のようであれば迷わず本人が受けたいと言った大学で背中を押しました。

結果としては進路指導部に言われていた○○人は下回りました。でも、去年、私が担任したクラスの生徒が、仮面浪人を選んだ一人を除いて誰一人中退せずに卒業したらしいと聞かされました。

もちろん、その大学で学び続けたことが正解だったのかは分かりませんが、少なくとも、本人の意向から大きく外れた大学を強く勧めて、不本意なまま四年間もしくは六年間過ごされるよりは幾分か真っ当だと自分では思います。

工業高校で三年担任をした時のこと。

工業高校に異動して、去年工業高校で初めての三年生担任を持ちました。最初の職場より進路指導は悩むことが多かったです。

進学以上に、保護者の思いや意思もはっきり聞こえてきます。大学は、言ってもたった四年間のこと。もちろんその四年間が人生に与える影響は大きいでしょうし、お金も馬鹿にできないほどかかります。でも、言い方は雑ですがそれでも四年間のことです。一番大きな方向選択はその後。

でも、工業高校は違います。多分人生に一番大きく影響するだろう選択をするわけです。親も当然一社会人なわけですから、その経験から様々なことを考えます。自分の子どものことですから、ほとんどの親がそうです。

本人の意向と保護者の意向が合わないというケースも増えました。そういう時、教師はその両者を結ぶ直線のどこに立つか迷います。結局相手によるわけですが、思い返せばやはり神経をすり減らした一年間でした。

そして気になり始めたこと。

一応これで私は2回の三年生担任を経験したわけですが、その中でだんだん気になってきたことがあるわけです。

卒業してしばらくしてから振り返った時に、高校の進路指導ってどう思われているんだろう。

多くの高校で、卒業間近のタイミングでアンケートが取られます。ただ、はっきり言って卒業目前フィルターみたいなものがあるので、苦しかったことも嫌だったこともいい思い出、みたいに思えてしまう部分はあるわけです。概ね好意的な結果が返ってきて当たり前です。

そうじゃなくて、例えば卒業して10年経った時に、20年経った時に、一人の大人としてきちんと自分(達)の力で生活を営めるようになった時に振り返って、どう思うんだろう、ということです。

それが知りたいと思って、管理職なんかにも相談して、自分が担当したクラスだけ先行実施することになりました。

とはいえいきなり10年後に連絡を取るのもあれなので、まずは1年後。次は3年後か5年後になると思います。

高校にとって、進学実績や就職実績は地域の中学生やその保護者、中学校教員に対する大事な大事な宣伝材料です。抽象的に「生徒の夢を叶えます」と言っても誰も見向きもしないのが現実です。

そうやって少しでも多くの受験生を集め、競争を発生させることで、入学してくる生徒のレベルや志を高いレベルに保っていきたい、という理由は確かに存在しています。

でも、もしも、高校選びの基準が、今年の国公立大学進学実績なんかではなくて、卒業20年後の満足度、のようなものになる日が来たら。

日本の学校教育って大きく変わると思うんですけどね。

まあ、私はただの一ヒラ教師なのでそんな大それたことをしたいわけではないのですが、細やかながら、私なりの反抗です。

では、今夜はこの辺で。

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