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多趣味な教師になりたい、という話。

こんばんは、しめじです。

今夜は、ホテルに宿泊です。
部活動のブロック大会(東北大会とか、関東大会、みたいなやーつ)の審判として招集されて、他の都道府県に来ています。

コロナが始まって以降、妻も地元に帰省できず、私も旅行したりすることができず、ずっと毎日夫婦で寝起きしていたので、たまにはこうして二人とも一人で過ごすのも悪くない、と思います。

さてさて。

今夜は、先週の生徒との会話から。

「先生、それって万年筆ですよね」

授業中のメモ用に、いつも机の上の筆記具を適当に持っていきます。
別にこれ、と決めているわけでもなく。
ボールペンがぽんとおいてあればボールペンを、鉛筆がおいてあれば鉛筆を、万年筆がおいてあれば万年筆を、という具合です。
一度、それで何を血迷ったのか机の上にあったポスカを持っていってしまって、全く役に立たなかったこともありますが。

で、先日、ポケットに万年筆を持っていきました。
その教室の担任は出席簿をちゃんと教卓に置いている方なので、授業名と自分の名前を書いていたら、生徒が、

先生、それって万年筆ですよね。と。

ちょっとびっくりしましたが、持っていっていたのはAURORAのオプティマ。
これで紹介した一本ですね。

青いセルロイド軸(実際はアウロロイドというらしい)のペン。
キラキラしていてきれいでしょ、なんて話をしていたら、その子も万年筆が好きだそう。

しかも結構しっかり好きなようで、今朝掃除のためにぬるま湯に漬けてきた、とのこと。
チャイムがなるまで万年筆の話をしました。
他にも持っているのかと聞かれたので、普段持ち歩いている3本なら職員室にあるよと答えたところ、ぜひ見せてほしいと。

というわけで、お昼休みに職員室で万年筆談義。
女の子なので、やはりスーベレーン1000は太すぎたようでした。
さらに、そこまで見ていたのかとちょっとびっくりしたんですが。
試験の採点を多分万年筆でやっているんだと思うのだが(そのとおり、よく気づきましたね。・・・日常的に万年筆使っている人なら気づくか)、インクはどこのものをつかっているのか、とのこと。

実際のところ、赤ペンのインクって採点してから比較的すぐに自分の手元を離れていくのであんまり考えたこともなかったのですが、時間が立ってからの、ちょっとくすんだ、乾いた色味が結構好きだとのこと。

筋金入りでした。
話していて、とても楽しかったです。

趣味は、多分多ければ多いほどいい。

思えば10年近く前、某難関大の推薦入試を受ける生徒との面接練習で、面接対策そっちのけで、源氏物語と枕草子についてその生徒と語り尽くしました。(今なら多分アウトです。女子生徒と面接練習室で夜9時過ぎまで話し込んでいたわけですから)

教師みたいな仕事をしている人がスマホのゲームなんか、みたいなことを言われたりしますが、普通にゲームします。生徒が盛り上がっているので「何やってんの?」と聞いた結果、自分もやっているゲームであれば、何も隠さずに自分もやっているという話をします。
すると、今まで話しかけてきたこともなかった生徒が、授業の終わりに「先生〇〇やってるって聞いたんですけど」とかいって話しかけてきたりします。

別に、そうやって媚びようとか思っているわけではありません。
でも、「何でもいいから話しかけることができる相手」でいることは決してこの仕事をしていく上で無駄ではないと思います。
そうやってゲームやら何やらの話をしているうちに、ある時ふと真剣な相談をされるケースももちろんあります。

例えばいじめだとか、例えば進路のことで思いつめているとか、例えばもっと他のことで深刻な悩みを抱えているだとか。思春期ですから。生徒が1000人いれば最低でも1000の悩みがあるわけです。

誰にSOSを求めるかは、最終的には本人が決めればいいと思います。
話したくない相手にまで、無理やり話す必要なんてない。
だからこそ、とにかく選択肢の一人ではいたいし、そして選択肢の一人になるためには、端緒は何でもいいから会話をしたことがある相手というポジションから始めるしかないわけです。
それが万年筆の話なのか、源氏物語の話なのか、ゲームの話なのか、映画の話なのか、歌手の話なのか、掃除頑張ってるねとか言う話なのかは、手段の違いでしかなくて、本質的には大差なかろうと思います。

それに、生徒の悩みや苦しみに教師はアンテナを高くして、見つけて、寄り添えるようになんてよく言われますが。
はっきり言って、全員に対して、んなもん無理です。限度ってものがあります。だったら、向こうが教えてくれる状況を作り出していったほうが現実的に有効なのではないかと思います。

惜しむらくは、趣味の幅を広げて、楽しみ、追求するだけの時間を取ることができない、という状況に追い込まれている教師が多いこと。
でも、各教師が各々自分の趣味の時間も充実させて、「教科の人」「部活の人」以外の顔を各自が数多く持てるようになれば、いろいろな状況が変わっていくのではないかな、とは思います。

では、明日は集合時間が(アホかってほど)早いので、寝ます。
おやすみなさい。


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