労働時間とその管理(ねっとwork4月号抜粋)

4月は、つい先月の3月まで学生であった方々が新社会人として働き始めるのが多い時期。
入社した後、学生時代はあまり気にしていなかった社会のルールに直面し、考えさせられることが多く出てきます。
おそらくその中の一つであろう、「労働時間とその管理」について触れていきます。

労働時間とは?

そもそも労働時間とは何を指すのでしょう?
労働時間とは、休憩時間を除いた実労働時間であり、行政解釈によると労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを指します。
労働時間にあたるか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない、とされています。(平成12年3月9日最高裁第一小法廷判決 三菱重工長崎造船所事件)

こんなものも労働時間に含まれます

以下のようなものも、使用者の指示によるものであり、労働時間とみなされます。
①着用を義務付けられた業務に必要な服装の着替えの準備行為や業務終了後の清掃業務
②昼の電話番など即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることの出来ない手待ち時間
③業務上、参加が義務付けられている研修・教育訓練の受講

使用者の「適正な労働時間管理」の責務

使用者は、労働者の労働時間をしっかり把握する必要があります。
適正な労働時間の管理とはどのように行うのか?
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では下記のように表現されています。

①労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの 始業・終業時刻の確認・記録
②タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎とする始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
③自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置

※労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html

終わりに、新入社員の皆さんへ

以上、労働時間と一言に言っても多くの細かなルールが定められています。
 このコロナ禍で入社日から在宅勤務となっている新社会人も少なからずおり、社会生活を楽しめていないと感じている方もいるでしょう。ですが、この状況はいずれ収束に向かいます。この状況にめげず、新社会人として羽ばたき、実りある社会生活となるよう当事務所一同心から願っています。


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