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1on1ミーティングをアウトソーシング!緊急SP:″静かな退職”を防ぐために

”静かな退職”(=クワイエットクイッティング)とは?

 最近耳にする言葉に「クワイエットクイッティング(quiet quitting)」なるものがあります。直訳すると”静かな退職”という意味ですが、「理由も告げず(辞表も出さず)に、いつの間にかいなくなる」離職スタイルのことではありません。
 「会社は辞めないが、必要最低限の仕事しかしない」社員の働き方のことで、言葉の発生源であるアメリカでは、コロナによるパンデミック以来、広がりを見せるようになってきたということです。
 コロナ禍によって自分の生活を見直す機会が増えた一方、景気回復によって仕事や職場の選択肢が増えてきているという、2つの大きな変化が後押しをしていると、海の向こうの識者は分析していますが、我が国でも徐々に(それこそ静かに)広がってきているのではないでしょうか?

熱心に仕事をしない「幸福な若者たち」

 アメリカのクワイエットクイッティングな人たちは、どのような世代に特徴的なのかはわかりませんが、日本では若い世代から働き盛り世代にまで広がってきているように感じられます。というのも、「無理せずに働いて、そこそこに生活できれば満足」という若い人たちが多数いるという、13年ほど前の統計数字もあるからです。
 当時、若者の一人で気鋭の社会学者だった(と私は思っていた)古市憲寿氏の著書『絶望の国の幸福な若者たち』の中で引用されている2010年の内閣府調査では、20代の実に70.5%が「現在の生活に満足している」と答えているとの指摘がなされています。
 で、そう答えた人たちが、30代半ばから40代前半くらいの歳になり、現在も変わらず(いちおう働いて)いること考えると、いわゆる全労働力人口の中核をなす人たちのうちの相当数が、「かってはそう思っていた」もしくは「いまもそう思っている」という、少し恐ろしい事態が進行しているということになります。

キッカケはコロナだけではない難しさ

 つまり日本では、クワイエットクイッティングな人たちはかなり前から潜在的にいて、それがコロナ禍におけるリモートワークなどをキッカケにして顕在化するとともに、新しい(若い)労働力にも広がっているように思われるのです。
 「がんばって働いても給料は上がらないし、先行きも見えないから結婚もままならない。将来のことを考えても仕方がないから、とりあえず必要最小限の仕事だけはして、それで出来る生活を楽しもう」・・・こういったスタンスの社員が増えれば、当然、企業としての生産性は上がらないばかりか、ちょっとしたことですぐに休んだり、場合によっては離職してしまい、戦力ダウンにつながっていくというわけです。
 もし、会社や組織の中でそういった人たちがいるようなら、一刻も早い対策を講ずることをお勧めします。特に小規模企業の場合、代わりの人材はそれほど簡単にはみつからない、という現状にあることは皆さんご存じの通りだからです。

背伸びをしないで「ヤル気」を引き出す

 クワイエットクイッティングな人たちでも、なにかちょっとしたキッカケさえあれば、それなりの「ヤル気」を出してくれるはずです。そしてそのキッカケが何かを探るには、やはり1on1ミーティングが効果的だと思います。そしてそれは、直属の上司よりもアウトソーシングの方が良いのかもしれません。
 皆さんは”ナッジ”という言葉をご存じでしょうか? ナッジ(nudge)とは本来「肘で小突く」「軽く押して動かす」というときに使う英単語で、行動科学の分野では「他者が軽い働きかけをすることで、その人の行動変容を促す」ことを意味します。
 「いまの仕事に何か不満や問題がある?」と聞くのではなく、「何か、他にやりたいこと(仕事)とかあるの?」と第3者が聞けば、少しホンネを覗かせてくれるかもしれません。そして、「〇〇さん、(あなたの仕事の)ここがスゴイって言ってたよ」といった、仲間からのプラス評価などをさりげなく知らせるのも効果があると思います。
 さらに全体ミーティング(オフサイトミーティング)にも参加してもらえれば、他の社員がどんなことを思って仕事をしているかなどを知る良い機会になります。

 クワイエットクイッティングは、企業にとって深刻な問題ですが、本人たちにとっては、たいして深刻な状況ではないように思われます。ですから、彼らに向き合うときも、けっして大仰に構えず、軽い気持ちで”ナッジ”してあげると良いのでは、と思うのです。



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