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【追いつかれた7つの理由】第16節 アルビレックス新潟戦【雑感】

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本当は「追いつかれた3つの理由」とかにまとめた方が分かりやすいんだけど、まとめる時間もないので雑に書いてたら7つになっちゃった。相変わらず長いけど、諦めて読んでください)^o^(

スタメン

①スタメン

長崎は前節から2人変更。イバルボとカイオが先発メンバー入りした。新潟からレンタル移籍で加入している加藤大は契約の関係で出場不可、磯村がベンチ入りした。前回の5連戦では毎試合スタメンを7~8人程度入れ替えてコンディション維持を図ったが、今節はほとんどターンオーバーを実施しなかった。試合前のスタメン発表では澤田が先発予定だったが、どうやらアップ中に怪我をしたらしく急きょ氣田がスタメン出場した。代わりにベンチに入る選手はおらず、長崎はベンチメンバー6人で試合にのぞむ。

対する新潟も前節から変えたのは1人のみ。同じく長崎からレンタル移籍で加入している島田が契約の関係で出場不可、秋山が先発入りした。シーズン序盤こそ大量得点&複数失点という派手な試合が目立ったが、6節山形戦以降は1失点以内に抑えており守備に安定感が出てきた。例年より動きが少なかった夏の移籍期間に最も積極補強に動いており、セレッソから中島、浦和から荻原、湘南から福田とJ1クラスの選手を獲得して既にチームにフィットしている。長崎戦の直前に清水から鄭大世を獲得して選手層はいよいよJ2屈指の様相となった。

サイドに流れる新潟の攻撃

②新潟のボール保持

前半は一進一退の攻防が続く。お互いにボランチを1枚下げて3バック化してビルドアップ、サイドバックを高い位置に上げて起点にする可変システムでボールの前進を図る。

新潟の攻撃は秋山から始まる。長崎はこの日も前からのプレスを頑張る姿勢を見せ、「2度追いの鬼」こと畑の突撃を合図に新潟に圧力を掛けていく。2トップの相棒・イバルボは守備を頑張れないタイプ、「せめてアンカーの福田はケアしといてください…」という感じのタスクを与えられたが、あまり頑張れないので畑が2倍走ることになった。

イバルボの守備は終始不安定(というか頑張れない)で福田経由の中央攻撃もできそうだったが、前半はリスクを嫌ったかサイドからの攻撃が中心になった。特にウィングバック化した荻原、新井が192cmのファビオを目がけてクロスを上げる場面が多かった。長崎としてはサイドハーフ、サイドバックが縦方向にスライドしてプレスをかける事で新潟の攻撃を遅らせ、角田・二見が待ち構えて対応できることで危ないシーンを作られることはほとんどなかった。

もし、前半から福田が積極的にターンして前向きの状態でプレーしていたら試合はさらに難しくなったはず。ともあれ、前半はシュート2本に抑えて新潟の攻撃をある程度抑える事に成功した。

空母カイオ→右翼左翼に前線基地を作る長崎

③長崎のボール保持

もうこの図も作り飽きてきたが、長崎は秋野が1列降りるお馴染みの3-1-4-2に可変してボールの前進を図る。基本的に2トップでプレス、状況によってサイドハーフも加わって数的同数プレスを掛けてきた。序盤こそ新潟の圧力にボールを手離すことが多かった長崎だが、15分以降は試合を落ち着いてボールを握る時間を作れた。

この日はインサイドハーフ化した氣田・大竹に縦パスがズバズバ入るというよりはボールを受けたカイオが大外に開いている亀川・毎熊に渡して起点にする攻撃が目立った。ペナルティエリア手前までは再現性を持って侵入できるが舞行龍とマウロの壁は厚く、ゴールまでの最後の扉を開けるパス、連携、パワーが出せない前半だった。

シュートは打てていたので停滞していたわけではないが、もう一つ攻撃に厚みが出せなかった要因の一つはイバルボという武器の使い方にあった気がする。圧倒的なフィジカル、一瞬のスピード、マリカーでいえば完全にクッパタイプのイバルボだが、この日は攻撃面でさほど目立った活躍をできなかった。新潟は割とハイラインを敷いてくるのでその裏を狙うための先発起用かと思ったがそこまで裏に走るわけでもなく(裏に抜けるようなんどかコーチングの声も聞こえたが)、身体を張って空中戦に挑むわけでもない。目立ったプレーといえば6分にショートカウンターからエリア内で切替えしてシュートを打った場面とゴールから遠い場所で新潟選手を何度か吹き飛ばしたくらいだった。先制点のオウンゴールに繋がるきっかけは作ったものの、ほとんど守備免除のような形でピッチに立っている事と釣り合うのか?と問われると少し分からない。イバルボは存在自体が厄介なので、ピッチに立っているだけで相手選手には圧力になるが、この日のプレー内容は脅威にはならなかった。イバルボをどう活かすのか、切り札以外の使い方はいまだ模索中なのかもしれない。

追いつかれた7つの理由

1点差を追う新潟は後半頭から鄭大世を投入。十分な練習時間は取れていないはずで、スクランブル発進のような形だが最前線のパワーをプラスした。対する長崎は大竹のゴールで期せずして追加点を奪う。

2点差がついたことで若干ギアを下げた長崎はロングカウンターから3点目を目指して止めを刺しにかかる。58分には畑が2度、62分にはイバルボ→氣田→大竹→カイオと繋がって亀川が決定機を迎えるがいずれも決めきれず。チャンスを逸した後はなぜか必ずピンチが来るもので、鄭大世に泥臭いゴールを決められたのは64分だった。

長崎は選手交代で強度を補強、なんとしても逃げ切るべく30分間サンドバッグとなったが94分、本間に同点弾を喰らってしまい勝点2を取りこぼす結果となった。振り返ってみれば追いつかれるまでの伏線はいくつか張られていたような気がする。

①前半と同じようで違うサイド攻撃

④後半の新潟

--ビハインドで入ってから攻撃の威力が上がった。
前半から気になっていたのは、相手の2トップの守備の仕方がそんなに良くなくて、FWとボランチの間にスペースはあったけれど、ウチは怖がっていたのか、サイドばかりだったから相手も読めるし、追い込まれる。(本間)至恩とか(渡邉)新太とかに、「もっと間で受けて前を見るといい」と言い続けていたら、流れが良くなったので、みんなのおかげです。
(鄭大世)

実は前半からずっと良くなかった2トップの守備、鄭大世にはずっとバレていたらしく後半からピッチ中央に起点を作られ始める。中島、本間、渡邊は狭い所でも前を向く技術があり、ボール保持者に前を向かれたらプレスに行く必要があるわけで、結果的に前半よりもサイドのスペースを大きく与えてしまう結果になった。さらに鄭大世、ファビオは上手くボールを引き出すことで繋ぎのミスが減った新潟は攻撃のギアを上げていった。

鄭大世の貢献はボールが収まる、泥臭くシュートを狙うという部分もあったが、何より大きかったのは声でチームを変えた所だった。インタビューを見ても分かるし、中継を見ていても明らかに後半から声がデカい選手が入っている。ここまで声でチームを動かせる選手はJ2には中々いない(そういえば京都にも声がデカイCBがいたな…)

--鄭 大世選手を入れて流れが変わった。
もちろんそのとおり。後半、目指していたのはサイド攻撃。彼を含めてゴール前のシュート。彼の存在は重要。ペナの中で生きる選手。幸運にも恵まれてゴールを決めることができた。それプラス、決定的なチャンスも数回あった。ペナで決定的なプレーをしてくれるFWは不足していたので、彼の加入によって補えたと思います。
(アルベルト監督)

②J2屈指のクロッサー荻原

新潟の攻撃は単純なパワープレーではなかった。中央に起点を作って、サイドの広大なスペースを活かして、角度をつけたクロスを上げてくる。単純にDFラインからポーンと放られるロングボールより、斜めから入ってくるクロスの方がディフェンダーは対応しずらい。

新潟の左サイドバック荻原はボールを扱う技術に長け、ドリブルもクロスも一級品だった。特に本間とのコンビは威力絶大で、長崎から見て右サイドは苦しかった。毎熊がなんとか頑張るが後半明らかにガス欠を起こした大竹は付いていけない場面が増えていった。

新井は9本、荻原は8本。かなり多めにクロスを上げられた。角田がいつもより早めに脚を攣ったとの、空中戦が多かったのは無関係ではないはず。

③リスクマネジメント

⑤リスクマネジメント

62分、新潟のコーナーキックを拾ってロングカウンターを発動、亀川のシュートをクリアされた瞬間の立ち位置。人数が多く絡んで決定機を作り、ここまで苦手にしていたカウンターからシュートの場面を作ったという意味では良い形を作った。が、逆の見方をすれば人数をかけすぎて瞬間的に後ろは数的同数になっている。結局ファビオの落としを本間に拾われてカウンター返しを喰らい、押し込まれて鄭大世の1点に繋がった。

鄭大世のファールじゃないのか!?という議論もあるが、それ以前にカウンター返しを喰らうような攻め方をした方が良くなかった。まして2点差が付いている中ではリスクの方が大きすぎた。リスクマネジメントという意味では水戸戦の教訓が今節は活かされなかったことになる。行くべきなのか、行かないべきなのか、常にリスクを図らなければ隙に付け入られてしまう。

④ボールを握り返せない単調なパスミス

ルアン、米田、徳永と選手交代を経るごとにボールを握り返せなくなる長崎。特に目立ったのは裏への単調なスルーパスをミスする場面。同点弾もいうなればルアンのスルーパスをカットされた事から始まっている。前線の疲労は色濃く、ボールを引き出すための動きが出来なかったこと、単純に新潟の守備が少ないのでパス一本で崩せそうに見えたこと、ボールを握り返しても繋ぎのミスでショートカウンターを喰らうリスクを回避したこと…色んな要因があった気がする。

--守りに徹するべきだったのか。中盤の運動量を上げて盛り返すべきだったのか。
攻撃の作りのところで深いところまで行って、もう一度その攻撃を続けるということが大事だったのかなと思います。3点目を取れそうなシチュエーションはカウンターで、それはパワーを使う攻撃ですけど、そこで仕留められればいいですけど、そこで仕留められなかったときに自分たちからボールを渡すようなことがないようにしなければ、結局相手は負けているのでダイレクトプレーで放り込んでくる。そうすれば空中戦をやらなければいけなくなるし、そうなってから対応するのではなくて、自分たちがボールをオンにしたときにボールや相手を動かしたりというところを踏ん張らないといけない。
(手倉森監督)

⑤澤田の怪我

4-4-2ブロックを組むとき、2トップとサイドハーフには運動量が求められる。畑と大竹は前節に続いてフル出場、体力的にはかなり厳しかった。またアップ中に澤田が怪我をしたことでベンチにサイドハーフをできる選手がルアンしかおらず、大竹を変えられなかったのも痛かった。後半の新潟を考えれば一番手当てするべきだったのは左サイドバックの荻原で、大竹のポジションに元気なルアンを当てられたら状況は変わったかもしれない。

やっぱりなんだかんだ言って2列目の運動量がわれわれの生命線なので。そこでの交代の枚数を使えないところが少し、後半に響いたのかなと。2-1で逃げ切れそうなところを追いつかれたのは。
(手倉森監督)

⑥イバルボの分まで走った畑、大竹、氣田

イバルボが諸刃の剣であることは何度も語ってるけど、今節に限って言えば前述の通り脅威にはなれなかった。イバルボの分まで守備に走った畑、大竹、氣田がガス欠するのは無理もない話な気がする。まぁ結果論だけど。

さらにターンオーバーが少なかったことも全体の運動量に響いた。なぜターンオーバーをしなかったのか?といえば分からないけど、大宮・金沢を大きな山と捉えていたのは間違いなさそう。

⑦新潟フロントが掴んだ意地の勝点1

新潟は夏の移籍期間で獲得した中島、福田、荻原、鄭大世の4人全員が欠かせない戦力だった。さらに最終盤でロメロフランクが出てくる層の厚さ。もし鄭大世がいなければ、荻原がいなければ、最後にロメロフランクが出てこなければ…1つでもピースが欠けていたら長崎は逃げ切れていたかもしれない。

ここまで長崎が追い付かれた理由を7つ挙げてみた。鄭大世を中心に新潟が攻め方を変えてきたこと、補強した選手の質の高さ、長崎のまずいリスクマネジメント、アクシデント…ではこの試合の長崎は何も良い所がなかったのか?というとそんなことはなくて、むしろポジティブになれる要素も多かった。

きっちり複数得点をできたこと、新潟の圧力にさらされても前半はボールを握って形を作れたこと、氣田がここまでで一番良いプレーを見せたこと、高卒新人の植中がデビューしたこと、苦手のロングカウンターから3度もシュートチャンスを作れたこと、毎熊の負けん気がやっぱりエグいことを再確認できたこと。なにより難しい日程で難敵新潟を相手に勝点1を確保して、大宮戦と合わせて勝点4を確保できたこと。なんだ、いいことばっかじゃん。あーよかった。

おわりに

アウェイ3連戦は引き分けスタートとなった。金沢、甲府を相手に最低でも1勝が求められる。中2日で迎える金沢戦、おそらく大幅なターンオーバーとなるだろう。新潟戦の反省は活かしつつ、ポジティブな部分をさらに増やしてもらいたい。


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