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【千里の道も】第1節 ツエーゲン金沢【雑感】

あけましておめでとうございます。

昨シーズンに引き続き出来るだけ簡易レビューを書いていきます。当方、あくまでド素人なので小難しい話は全く分かりませんが、起きている現象を噛み砕いて分かりやすく書き残すことを目指しています。スタンスはブログ立ち上げ当初から変わってないので、あくまで生温い目で見てあげてください。

あとTwitterでも書きましたが、仕事がかなり忙しくなったので毎試合更新は難しそうです…できるだけ頑張る、の精神で書いていこうと思います。

---------ここからが本題---------

期待と不安が入り混じる開幕戦はどうしても重たくなるもので、ご多分に漏れずこの試合もお互いにギクシャク感のある試合になった。それでもキャンプで準備してきた内容を多少は披露できた時間帯もあったように思う。そこで今回は手倉森長崎と吉田長崎の違い、という視点で何が変わったのかを残しておきたい。

スタメン

長崎の新加入選手は1人、センターバックに新里が入った。同じく新加入の都倉はベンチスタートとなった。インタビューによると去年の負傷を持ち越している選手が何人かいるらしく、左サイドバックの一番手である亀川もその一人だ。ということで、本当は右サイドバックの方がやりやすい米田が左を埋める形となった。

金沢は新加入選手が7人先発と大幅に顔ぶれが変わった。ルカオ、加藤陸次樹ら一部主力がチームを離れたものの実力者の補強に成功している。特に富山から獲得した大谷、大宮からレンタルした嶋田は個で勝負できる力を持っている。

昨シーズンの金沢はJ2リーグ18位と難しい1年を過ごした。データ上はボール非保持志向で、素早いプレスとカウンターが持ち味だが失点を抑制することが出来なかった。選手の顔ぶれが変わっても、サッカーの内容は継続+αとなりそうだ。

変化その1 リトリート志向→プレス志向

長崎は開始1分で去年との違いを披露する。シーズンプレビューでも触れたとおり前線からの守備は相当変わるようで、相手のボール保持に対して積極的にプレスを掛けていく。特に動きが変わったのはルアンで、ボールを失った瞬間に切り替えてボール保持者に猛然とプレスを掛ける場面が目立った。前線からの守備はプレスに行く1人が奪いきらずともボール保持者の体勢を崩せれば御の字で、苦し紛れに出たパスやクリアを回収すれば目的達成となる。前線からのプレスを志向する場合、二の矢三の矢が届くようにディフェンスラインを高く設定する必要がある。

プレスを機能させるためには①ボールを失った瞬間の最前線(富樫ルアン)の切り替え②サイドハーフ(名倉澤田)の限定③ボランチorサイドバックが奪いきるための押し上げが必要になる。特にボランチとサイドバックは相手に入れ替わられると一転して大ピンチを招くことになり、確実に奪いきるor奪えないなら相手を遅らせながら時間を稼ぐという判断をする必要がある。今節は秋野・カイオ・毎熊のボール奪取回数が増えたように思うし、2点目はまさにプレスからの得点だった。逆に前半8分には秋野が交わされてピンチを迎えるシーンもあった。

攻撃面のスタッツを見るとパスミスが多くやや低調に見えた秋野だが、守備では存在感を出した。今年のチームはルアンやカイオが目立ちそうだが、秋野のチームであることに変わりはなさそうだ。

変化その2 右手に持ち替えた一本槍

昨シーズンの長崎は3-1-4-2可変でビルドアップして左サイドから前進することが多かった。亀川と澤田(氣田)の推進力をチームとして活かす構造になっていた。逆に右サイドは無理に前進せず、ここぞという時に毎熊がダイナミックにオーバーラップして最後の崩しに参加する、という関わり方だった。当ブログでは左サイド偏重を一本槍と表現してきたが、亀川の離脱で一気に推進力を失い、終盤は氣田のドリブル頼みになる試合が増えていった。

戦術的キーマンだった亀川の怪我が癒えないまま補強もなくシーズンインしたことで、どうなるかと思っていたが吉田監督は「一本槍を右手に持ち替えれば良いじゃん」という単純明快な答えを示した。昨シーズンまでは身体能力や負けん気の強さで存在感を示した毎熊だが、今シーズンはもう一段階上の役割、つまり右サイドで相手のプレスを剥がすパスやドリブルが求められるようだ。11分のルアンの決定機に繋がるドリブル、14分のカイオ追加点に繋がるボール奪取とスルーパス、その他にも攻守に存在感を発揮した。しかし後半にはビルドアップでボールを奪われて失点の原因となった。

パスソナーを見てもいかに攻撃が右サイドに偏っていたのかが分かる。もう一つ、名倉のポジションも去年よりタッチライン際に立つことが多かったように思う。ディフェンスラインと2列目の間でボールを受けてターンを狙った昨シーズンとは少し違うように見えたが、これが今年の戦略なのか金沢対策だったのかは今後の試合を見て確認したい。

その他の変化

他にもポジティブな変化がいくつもあった。

・ポケット(ペナルティエリア脇)に狙いを定めたフィニッシュワーク
・いよいよJリーグに適応したルアンの本領発揮
・戦術的に驚くほどフィットしたCB新里

しかし全てが順風満帆というわけにはいかず、2点リードしてからは金沢に押し込まれる時間が続いた。金沢らしい素早いプレスに手を焼いてボールを簡単に手放すシーンが増え、また前線のプレスも運動量低下とともに機能しなくなった事が要因だった。

67分には新加入の都倉が途中交代で出場。持ち前の空中戦の強さをいかんなく発揮、金沢のプレスを回避するためにロングボールで陣地回復を狙うが都倉が競り勝ったボールを上手く保持できない。プランBの予兆を感じることが出来たが、まだまだ仕込み中という感じだろうか。79分に加藤を投入して前線のプレス強度を上げてからは金沢にシュートを許さず、後半アディショナルタイムにはフレイレを投入して3バックに移行、1点差を守り切って勝点3の獲得に成功した。大竹と玉田を投入してボールの主導権を奪い返す対応もできたかもしれないが、吉田監督は思ったよりリアリスティックな判断を下した。

おわりに

初戦という事もあり課題も多く出た。押し込まれたときに主導権を握り返せない、カイオのコンディションはまだ100%には程遠い、去年よりセンターバックの持ち上がりが少なく相手の陣形を崩せない、怪我人が多くベストメンバーを組めない……

しかしそんな事は現時点では些末な問題だ。シーズンは長く、今年は超過密日程ではない。昨シーズン昇格に失敗した時点で主力が離散して別チームになる可能性もあったが、奇跡的に今年も夢の続きを見れる。このチームがどこまで伸びていくのか、この試合を見た限りでは伸びしろしかないように感じた。

千里の道も一歩から。勝点84まで残り81……果てしない道のりだが、一歩ずつ進むしかない。次節はアウェイ新潟戦、さっそくの難敵だけど現在地を知るには絶好の機会だろう。


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