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【貴重な勝点1】第17節 ツエーゲン金沢戦【雑感】

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アウェイ3連戦なんてただでさえ厳しいんでね。まぁ勝点1でも積み上げられたら嬉しいですよ。小さなことから、コツコツと、ということです(悔しさでゆがむ顔)(先制点取れてるだけにモヤる)

スタメン

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新潟戦ではほとんどスタメンを変えなかった長崎、今節は8人を変えて大幅ターンオーバーを敢行。これまでの平日セットをベースにしたメンバー。注目はチームの中心である秋野がベンチにも入らず完全休養になった点(まさか怪我じゃないだろうな)代わりに出場した磯村は今季初スタメンとなった。また、前回平日セットで挑んだ山形戦では左サイドをいじりすぎて機能不全に陥った反省からか、左サイドバックには米田ではなく亀川が入った。新潟戦で亀川が途中交代したのはこのためだったぽい。

対する金沢は先発を4人交代。どうやら怪我人が続出して野戦病院状態らしく、エースのルカオをはじめ相当の人数が出場できない状態のようだ。6人しかベンチ入りしていない事から台所事情の苦しさが垣間見える。金沢サポのつぶやきを見かけたが、この日メンバー入りした17人中8人がDF登録なんだとか…そういわれてみればサイドハーフに入ったホドルフォも足元はかなり怪しかった。見た目的にてっきり南米ゴリゴリドリブラーだと思ってたよ。

序盤こそ上位に食い込んでいた金沢だが、怪我人の影響もあり失速気味。それでもマンマークプレスとロングカウンターを武器にしぶとく勝点を積み上げている。前節・琉球戦では終了間際にホドルフォの劇的逆転弾で勝利した。

長崎の前進を阻む金沢のマンマーク守備

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秋野は不在でも長崎はボール保持時、ボランチ1枚落としの3-1-4-2に可変する。センターバック化するのは磯村だったり加藤だったり、明確に決まっている感じではなかった。

金沢の守備は4-4-2のようにも見えるがマンマーク気味に人を見るという特徴があった。本来は4-4-2ブロックに対して3-1-4-2に可変してウィングバックが浮かせたいというのが狙いだが、金沢のサイドハーフは外寄りに立って亀川・米田が自由にボールを受けられないような守備をしていた。このマンマーク守備を毎試合やってるのか、長崎対策だったのか分からないが長崎を大いに苦しめた。

サイドハーフが外よりに立つ分、インサイドハーフ化した名倉・吉岡へのプレッシャーは軽くなるはずだが、思ったより自由にプレーすることは許されなかった。理由は2つ、長崎のビルドアップ隊(徳永・フレイレ・磯村・加藤)が不慣れ感満載でスムーズさがなかった事、金沢のダブルボランチがインサイドハーフをマンツーマンで対応した事。名倉・吉岡が揃って先発したのは、金沢の広がったブロック間でターンして押し込みたいという狙いがあったように思うが、あまり思惑通りにはならなかった。特に吉岡は前半からボールが足元に収まらずロストを頻発(手元の集計で4回)、どうしてこうも好不調の波が激しいのか…

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金沢のハイプレスも効果的だった。長崎の3バックに対して右サイドハーフの高安、右サイドバックの長谷川が1列ずつ上がって長崎の選手が浮かないように対応。地上戦でコンビネーションを出したい長崎だが、金沢のプレスをまともに受けて中々ボールを前進できない展開が続いた。このビルドアップが上手くいかない問題は、後々大事故に繋がることになる。

なかなか安定してボールを前進できない長崎だったが、それでも玉田や名倉がボールを引き出す動きを見せ始めてからは押し込む時間も作れ、加藤大のドリブルから玉田の素晴らしいゴールが生まれた。

マズイ守備の見本市

先制点こそ挙げたものの、前半から長崎の守備は不安定そのものだった。徳重がいなければ前半で3失点して試合が壊れていた可能性もある。特にボールの奪われ方が悪く、被決定機を招くシーンが多かった。

仕掛けの部分で自分たちの広がりを見せているときの取られ方、金沢の持ち味のダイレクトプレーというところで、前半のうちに失点してもおかしくなかった。
(手倉森監督)

①一発で裏取られすぎ問題

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前半31分のシーン。左サイドを攻め込んでシュートを放ったが金沢の(たぶん)本塚にクリアされる。そのクリアボールをおそらく狙い通り加藤に当てて、引き受けた杉浦がそのままドリブルで突破して決定機を迎えた。この場面、完全に抜けられてからはDOGSO(決定機阻止)で一発レッドになる可能性が高く、早い段階でイエローカード覚悟でも止める必要があった。

また金沢の2トップは自陣に攻められているときも最前線に残っていることが多く、何度もロングカウンターの起点になった。後方からの攻め上がりを期待していないかのように、2人だけで完結する攻撃は脅威になった。後述する同点弾も2人で取りきったゴールだった。

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もう一つ、前半35分の場面。こちらは金沢の前線からのプレスにまんまと嵌められて亀川が行き詰まり、苦しいロングパスを本塚にカットされる。本塚は間髪入れずにスルーパス、杉浦が抜け出して決定機を迎えたが徳重が左手一本でセーブ。そもそも金沢が網を張っている方向に攻撃を進める事も問題、さらに雲行きが怪しくなっても磯村が杉浦を捕まえていないという準備不足も露呈する形になった。

②磯村の立ち位置はそこでいいのか問題

今季初先発となった磯村だが、攻守両面で難しい場面が多かった。ここまで出番がなかったから仕方ない部分でもあるが、だからこそ出番が少なくなるというジレンマでもある。

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人に着く守備では強さを発揮する磯村だが、この日は4-4-2ブロックの担当ゾーンを離れてしまうミスが何度が見られた。例えば前半10分の被決定機ではボランチが縦関係になっており、中盤にぽっかり開いた穴を加藤陸次樹に使われた。加藤大が左センターバック化していた事を考えても、磯村は右ボランチの位置を埋めるために走る必要があった。その為時間は十分にあった。

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次は前半37分の場面。金沢のビルドアップに対して畑が背後のボランチへのパスコースを消しながらプレス、名倉は右サイドバックの島津にプレス。磯村はボランチ本塚にプレスを掛けるが逆に高安を開けてしまいズバッと縦パスを入れられる。この場面では決定機になることはなかったが、かなり気になる場面ではあった。

4-4-2凸型ブロックで守る場合、選手間の距離が重要になる。ボールの位置に応じて前後左右にスライドすることで常に数的優位の状態で守備をできる、というのが基本的な考え方だ。正しい立ち位置を取るためにスプリントすることもハードワークということになる。ブロック守備とプレスを併用する場合、どの局面で圧力を掛けるのか、どの局面ではゾーンを離れてはいけないのか、相互理解が何より重要になる。カイオやルアンもそこまでゾーンディフェンスが得意ではないが、磯村の守備もなかなか怪しい部分が目立った。結局磯村は69分に交代することになる。

何の意味もない失点

決定機を3度迎えながら、なんとかリードを保って前半を終えた長崎。新潟戦では2点リードを守りきれない稚拙なゲーム運びとなった反省が活かされるかと思いきや、後半開始早々に今シーズンもっとも無意味な失点を喰らうことになる。

もはや作図する気にもならないが、左サイドからのスローインを亀川がサイドチェンジ。少し流れたボールをフレイレが拾い、なぜかマークの付いている中央の加藤大にパス。案の定、金沢の加藤陸次樹に掻っ攫われて失点。なんてこったい…

後方からボールを大事に繋ぐチームにとって、ビルドアップをカットされて失点するというのは避けがたい事故である。長いシーズン、42試合3800分近くも試合をしていればいつかは起きる事故であり、J1でも普通にある失点の形であり、むしろここまで16試合を無事故で迎えたことが上出来なのかもしれない。

それにしてもこの失点はあまりに無意味すぎた。何かをチャレンジした結果ではなく、単なる不注意、集中力の欠如としか言いようのないフレイレのパスミスだった。フレイレがボールを受けて3秒の余裕があり、周りのコーチングも「徳重に戻せ」という声、フレイレ寄りに立ち位置を修正する徳重。ボールを受けに来なかった米田はどうだったのか?という指摘もあるかもしれないけど、やっぱりほぼフレイレ1人のミスになってしまった。

前半からビルドアップのスムーズさがないというストレスもあったかもしれない。フレイレからのパスコースをきっちり防いだ金沢の立ち位置も、前半から継続していたが完璧だった。それでも悔やんでも悔やみきれない、リードした展開でどういう試合運びをするのか?という点ではまたしても課題を持ち越す形となってしまった。

失点してから長崎は56分に氣田・ルアン、69分にカイオ・イバルボを投入して勝ち越し弾を狙う。長崎の猛攻に対して金沢は作田を投入、本職センターバックながら中盤に立ち、カイオセザールのマンマーク役を務めてみせた。それでもルアンを中心にかなり得点に近づいたが押し切ることが出来ず、同点のまま試合終了となった。

--作田 裕次をカイオ セザールにつけた?準備していた策だった?
準備してないけど、パッとこうわれわれの選手たちを見たらパワーで運ばれてしまう。(ビクトル)イバルボはこっちのCB2人でやってくれるだろうということで、サク(作田)をカイオにつけた。相手のディフェンスラインまで入るんだったらそこは良いよと。それよりも前に来たときはマンツーマンでやりなさいと言った。
(柳下監督)

おわりに

アウェイ、連戦、中2日、大幅ターンオーバー、秋野不在…外的要因を考えれば勝点1でも御の字と考えなければならないのかもしれない。試合内容を見てもほぼ5分の内容、決定機の数でいえばむしろ劣勢だった。失点の形があまりにもお粗末だったので「勿体ない試合だった」と捉えてしまうが、そう考えるのは傲慢なのかもしれない。順位表では長崎が一番上に位置しているが、僅差の試合をコツコツ制してきた結果であり、決して盤石の強さを誇っているわけではない。2020シーズンのV・ファーレン長崎というチームはまだ発展途上である事を再認識しないといけないのかもしれない。

勝点1も失いそうなゲーム展開。最低限のコントロールをして勝点1を持ち帰れたのは良しとしなければいけない(中略)敵地でのゲームは簡単じゃないんだと思い知らされた中で勝点1は貴重。贅沢は言っていられない。
(手倉森監督)

次節は北九州を撃破した甲府。今季のJ2では珍しくなった5-4-1ブロックを組むチームの1つになる。金沢戦のような危なっかしいビルドアップを展開すればたちまちショートカウンターを喰らうことは目に見えてる。

長崎を経ってちょうど1週間。フィジカル的にもメンタル的にも疲れはピークに達しているはず。2引き分けのあとに勝つか負けるか、というのは大きな分かれ道になりそう。なんとか選手・スタッフの頑張りを報いるためにも勝点3という結果が求められる。

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