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【秋元を褒めよう】第3節 愛媛FC戦【雑感】

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①スタメン

①スタメン

長崎は秋野・カイオ・加藤とボランチ3人がスタメンに名前を連ねたことでアンカーを置く4-1-2-3かと思われたが蓋を開けたら加藤がトップ下の4-2-3-1だった。亀川は去年10月の大宮戦以来の復帰となった。インタビューを見る限りどうやらぶっつけ本番だったようだ。

対する愛媛はポジショナルなサッカーを志向した川井監督が退任、長沼や丹羽など一部主力も退団している。新監督を迎えてボール非保持志向に大きく舵を切っている。厳しいオフシーズンではあったが町田からリーグ屈指のゴールキーパーと言えるであろう秋元の獲得に成功、8年ぶりに帰還した守護神の働きが愛媛の行く末を大きく左右しそうである。

②吉田サッカーの理想を体現した前半32分

前節新潟戦ではJ2屈指のドリブラーである本間至恩を意識しすぎたか、3バックで試合に望んだ長崎。結果的に失点はセットプレー絡みの不運な1点に抑えたが、長崎らしいボール保持は影を潜めることになった。キーマンであった本間が退場したことで試合終盤は一方的な展開になり、結果的にゴール期待値(シュート数やシュートを放った位置から算出される妥当なゴール数)は新潟を上回ったものの、現段階ではチームの完成度という面で新潟と差があると言わざるを得ない内容だった。

②長崎のボール保持

さて、今節愛媛戦はいつもの4-2-3-1にシステムを戻した吉田監督。前からプレスを掛けてショートカウンターを仕掛けたい愛媛に対して、長崎は秋野をディフェンスラインに落とす3-1-5-1可変システムで迎撃、「いつもの長崎」と言える連動性を取り戻した。

愛媛は試合序盤こそボールを奪おうと最終ラインにプレスを掛けるが秋野が加わった3バックのパススピードは速く、時としてフリーになるカイオも加わりながら安定した組み立てを繰り返す。最終ラインで愛媛を左右に揺さぶり、左右のセンターバックである新里・二見の前方が開けたら①ドリブルで持ち上がる②高い位置取りをするサイドバック(ウィングバック)に展開する③愛媛の選手の間にポジションを取る2列目(名倉・ルアン・加藤)に縦パスを通す、という3パターンの選択肢を持って愛媛を攻略する。

--連動した守備から生まれた得点だったが?
守備では、あの得点の場面はハマったけど、試合を通して前線からのプレスが効果的にいく場面は少なかった。そこはもう少しチームとして改善しなくてはいけない。
(吉田 眞紀人)

前から連動したプレスで圧力を掛けたい愛媛だが、どうにもボールを奪いきれない。愛媛は前半20分過ぎからは全体の陣形を低めに設定、プレスを開始するラインも低くする修正を掛けたが、長崎としては逆に攻め込みやすくなりルアンや加藤を中心に何度か決定機を迎えたが決めきることが出来なかった。

新潟戦ではほとんど見られなかった「裏にボールを出す意識」が回復し、特に愛媛のサイドバックが長崎のサイドバック(毎熊・亀川)に喰いついた裏のスペースに富樫や名倉、ルアンが侵入する回数は多かった。また前節は全体として陣形が後ろに重かった影響から左サイドで米田とルアンが孤立する場面が目立ったが、今節は亀川と米田にプラス1人がフォローに入ることで崩しのバリエーションも増えた。

③トップ下・加藤大というオプション

前半の良かった時間を牽引したのは左サイドで、自由度が増して攻撃で真価を発揮しつつあるルアンと、ダイナミックなフリーランで相手を攪乱した亀川が目立っていた。

しかし、ある意味長崎サポーターに驚きを与えたのは加藤大だったかもしれない。手倉森監督の元では主に秋野・カイオのバックアップという位置づけで、時にはリードした試合を締めるために2トップの一角で途中出場してプレス要因となる事が多かった。だからライン間でボールを受けてワンタッチで繋ぐ、というのはこれまでの加藤からはあまり想像できなかったプレーだった。加藤は新潟で10番を背負っていた選手で、運動量や真面目さが注目されがちだが、元来テクニックのあるレフティーだ。この試合で記録したラストパスは5回、両チーム合わせて断トツで最多となった。

またトップ下加藤の効用は攻撃→守備の切り替え時にも発揮された。前述の通り運動量があり真面目な加藤は、とにかく切り替えが早くサボらない。吉田長崎が前面に押し出していきたいネガティブトランジションの強度という面でも相当な貢献をしていた。

選手交代の流れで試合終盤にはポジションをボランチに移し、最終ラインから組み立てに参加していたが、どちらかというとトップ下でプレーしているときの方がインパクトが大きかった。このトップ下加藤という選択肢はオプションにしておくには勿体ないというか、今後チームの主軸として組み込まれていく可能性すら感じる出来だった。

④狙われるカイオの脇

愛媛が狙っていたのかどうかは分からないが、試合を通してカイオの脇を通される場面が目についた。試合開始直後、21分、27分そして65分…もともとカイオは4-4-2でブロックを組んだ時にポジショニングが定まらない部分があり、それを驚異的なフィジカルと股下でカバーすることが多い選手である。今期はそもそもコンディションが上がってない影響もあるだろうが、チームとして前からハメていく守備の中で一瞬ポジションを見失うケースがある。

③カイオの守備

例えば65分に右サイドを崩された場面、本来ボランチをケアするべきだったのはカイオだったが注意はしておらず、事なきを得たがかなり危ないシーンだった。結局このプレーの直後、カイオが退いたことを考えると吉田監督としても下げざるを得ないという判断だったのだろう。

昨年終盤の理不尽キープや暴走ドリブル、皇帝のごとく中盤の底に鎮座したカイオの姿はまだ見られない。しかし思い返せば去年のカイオも尻上がりに良くなっていったわけで、徐々に本領を発揮するはずだ。それまで、どのようにチームを機能させるか、という点で吉田監督にはマネジメントが求められている気がする。

⑤おわりに

本当はもう少し書いておきたいことがあるけど時間がないので今回はこの辺で。失点直後に気持ちがガクっと落ちる場面とか、都倉が出場してから裏への意識が低下する事とか、玉田が無限に降りてくる影響で前線が孤立したシーンとか…

まぁ愛媛戦は勝たなければいけない試合だったし、ゴール期待値で見れば3点相当の試合にはなっていた(2失点相当でもあったけど目をつぶろう)まだ3節だから、今の段階では「秋元がヤバかった」という事にしておこう。ただアウェイ琉球、アウェイ大宮という苦手すぎる連戦を迎える吉田長崎にとっては、序盤の山となりそうだ。

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