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ホームレスの二面性【ホームレス生活17日目】
昨日の夜はJR御徒町(おかちまち)駅近くの公園で寝た。屋根の無い公園だったがそろそろ梅雨明けということもあって、天気も良く、雨に濡れる心配も無しにぐっすりと眠れた。
この生活を初めてから最近になってやっと晴れ模様の空を見た気がする。今までは雨の中、靴がビショビショになりながら生活していたため随分と気が楽になった。
ふらっと公園の外を見てみると、昨日話しかけたホームレスのヤマさんが道路沿いの柵に腰掛けていた。
話を聞いてみると、どうやら今から金を稼ぐらしい。彼の稼ぎ方は他のホームレスと違い少し特殊だった。
まぁその辺は動画にしようと思います。 笑
しばらくヤマさんと話していると
「酒奢ったるから100ロー行くべ」
と誘われた。
100ローというのは100円ローソンのこと。俺の普段の生活でもよくお世話になってる。コンビニなのに貧乏人の味方と言っても過言では無い店だ。
ホームレスにとっても、100円ローソンや業務スーパーは重宝される存在らしく、その点ではかなり親近感が湧いた。
ホームレスに酒を奢ってもらうことに少し変な気持ちになる。話を聞いてみるとヤマさんは他のホームレスに比べると金を稼げているらしい。
もちろん一般感覚からすれば少ない額だ。1日の稼ぎは1,000円〜1,500円ほど。労働時間は多くみても4~5時間くらいだ。
彼の財布には1000円札が2枚入っていた。
ヤマさんはその金で120円の缶チューハイを3本俺に奢ってくれた。
それから、なんだかんだその流れで朝から夕方くらいまでヤマさんと酒を飲みながら話をした。
話をするに連れてヤマさんは昨日話しかけた時とは全く印象が違う人だということがわかった。
昨日の時点で俺が話かけた時に彼は
「職場での人間関係が上手くいかなくて路上に出てきた…」
と言っていたが、実際はむしろ対照的だった。
彼は御徒町の路上生活者界隈では顔が広く、あらゆる情報を知っていた。
「この辺は俺のシマだ」
とまで言い張るほどで、どこで誰が寝ていてその人がどんな人かまでしっかりと把握していた。一般感覚からしたら微々たる金額だが同じホームレスに金を貸したりもしているらしい。
ヤマさんは強く二面性を持った人だった。昨日の俺のような新参者や施しをしてくれる人たちに対しては、自信のない弱気な態度で接するが
同じ路上生活者としての目線で彼と話した時には、やや喧嘩っぱやさがあるような態度になる。
しかし、彼なりにも芯は持っているようで
「薬物をやってる奴には絶対に近寄らねえ」とか
「万引きだけは絶対するな、したらすぐに警察に突き出すぞ」
と言った風に路上生活者なりに自分ルールを持っている人だった。
ほいじゃあまたの。