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ラスベガスでHR Technology Conferenceに参加した話

こんにちは。株式会社Mierba代表の丸山です。

就職活動を通して、履歴書と面接という選考フローでは一側面しか見られていないということと、結局は企業側も候補者側も「入社してみないと分からない」ということに課題を感じ、現在は入社前に実際の仕事をオンラインにて簡易的に体験し、適性を評価するサービスを運営しております。



グローバルでも直感的で属人的な採用を脱却し、データドリブンな採用を実現するためにアセスメントサービスが各国で台頭しています。
僕自身もアセスメント領域でサービスをやるにあたって、各国のスタートアップが「どのようにアセスメントをどのように作って、候補者を評価しているのか?」を学ぶために、
9月13~16日にラスベガスで開催されたHR Technology Conference 2022に初めて参加して来ました。

HR Technology Conferenceとは、毎年開催される世界最大級のHRテクノロジーのイベントで、IndeedやServiceNowなどの業界の大企業からスタートアップまで多くの企業が出展しているものです。
今回、現地で参加してみての感想や詳細を教えてほしいと人事の方や人事系サービスをやられている方に、お声がけ頂いたので、現地の様子や世界のHRテクノロジーのトレンドや流れについてなど下記の3つを中心に書きたいと思います。


  1. HR Technology Conference 2022 in Las Vegasの概要

  2. セッションや出展企業から見る、世界のHR業界のトレンド

  3. 実際参加してみてどうだったか?


世界のHR業界がどのような方向に向かっているかなど、大きな流れを把握するために少しでも参考になれば幸いです。


HR Technology Conference 2022 in Las Vegasの概要

会場の入口に大きなHR Techの文字


今年のHR Technology Conferenceは、ラスベガスのマンダレイ・ベイで行われ、400以上の企業が出展しました。
カンファレンス全体での、今年のフォーカスエリアは以下の10個でした。

-コアHR
コアとなる人事機能(福利厚生管理、給与計算、登録データ、コンプライアンスなど)にテクノロジーを活用することで、ビジネス成果を上げ、基本的な人事機能を戦略的優位に導くための戦略

-DEI(多様性、平等性、インクルーシブ)
組織のDEIイニシアチブの効果を測定し、DEI関連の課題に対処し、より多様で包括的な職場文化を構築する持続可能な戦略を展開するための革新的なツールやソリューション

-従業員の体験
テクノロジーを活用して従業員体験戦略を強化し、ポジティブな従業員旅行を実現する新しい方法

-HRのDX
AI、クラウド、モバイルなどの最新HRテクノロジーに支えられた自動化、インテリジェント化、データドリブンなプロセスへの移行により、HRがどのように独自のデジタル変革を遂げ、ビジネス成果を向上させているのか

-リスキリング
今日の変化する仕事において従業員を支援するために不可欠なツールを実現し、スキルギャップに対応し、個人と会社のパフォーマンスを向上させるテクノロジーソリューションを設計・カスタマイズする方法

-ピープルアナリティクス
高度化し、利用しやすくなった人事・人材分析テクノロジーを導入し、強力なインサイトとビジネス価値を生み出す方法

-人材獲得
柔軟で創造的なツールで候補者層を拡大し、候補者がどこにいても対応できるようにすることで、組織に有能な人材を確保し、この現代の人材市場で優位に立つ方法

-タレントマネジメント
社内移動、従業員開発、エンゲージメントなどのテクノロジー対応ソリューションが、変化の激しい時代に従業員を管理し、維持するためにどのように役立つか

-新しい時代の仕事
革新的なHRとワークプレイステクノロジーが、分散したデジタル労働環境をサポートし、持続可能なビジネス成果と繁栄するワークフォースカルチャーを生み出す方法

-ウェルビーイング&メンタルヘルス
新世代のテクノロジー・ソリューションが、メンタルヘルスを含む従業員の健康状態を測定、管理、促進することで、企業の収益を向上させ、困難な時期に従業員をサポートする方法

基本的にカンファレンス内で行われたセッションもこの10個のテーマに紐づいています。
中でも、メガセッションと言われる、大きいホールで行われるセッションのテーマはHRの各分野でのテクノロジー活用についてが中心でした。


メガセッション一覧

-Learning Tech Market: Get Ready for Disruption(ラーニングテック市場について)
-Exceeding Employee Expectations in the New World of Work(新しい世界の働き方で従業員の期待値をどのように超えるか) 
-How Bank of America Leverages the Technology of Tomorrow to Develop the Talent of Today(バンク・オブ・アメリカはどのように明日のテクノロジーを活用し、今日の人材を育成しているか?) 
- How CHROs Are Preparing for the New World of Work(CHROはどのように新しい世界の働き方に備えているのか?) 
-How the TA Technology Landscape Supports the Modern Recruiter(人材獲得のテクノロジーはどのように現代の採用担当者をサポートしているか?) 
-Taking Control of Your HR Technology Architecture(HRテクノロジー・アーキテクチャをコントロールする)



セッションや出展企業から見る、世界のHR業界のトレンド


セッション
セッションでも数多くのテーマがあったのですが、個人的に興味のあるダイバーシティ採用のセッションについてご紹介します。
近年、ダイバーシティ採用という言葉が広がってきています。toBサービスでもtoCサービスでも顧客が多様になっているからこそ、その顧客に対応するために自社に多様な人材がいることが年々求められているのです。

ダイバーシティ採用とは?
そもそも、ダイバーシティは「多様性」を意味する言葉です。ダイバーシティ採用とは、多様な人材の雇用を意識した採用活動のことを指します。
従来は、自社の風土に合う人物を採用基準にする場合がほとんどでした。しかし、従来の採用方針を続けていると、似た価値観やバックグラウンドをもつ人たちの組織になってしまいます。様々な視点をもった人材を雇用することは、組織としても重要でしょう。
そこで、様々なポテンシャルをもつ方や、性別・人種など属性の違いを超えた、多様な人材を採用する企業が増えてきました。
https://jp.indeed.com/%E6%B1%82%E4%BA%BA%E5%BA%83%E5%91%8A/c/info/what-is-the-diversity-hiring?hl=ja&co=JP
Indeedやコカコーラのグローバルのディレクターなど人材業界の様々な方が参加していました



セッションの中で印象的だったのは、「多様な人材とは、性別や人種だけではなく、前職の組織のサイズや会社の属性も含まれる」ということです。
性別や人種ももちろんダイバーシティという言葉の一部ではありますが、それだけではありません。
セッションを通して、多様な人材の意味を、今までよりも幅広い観点で捉え直すことが必要だと感じました。
また、「企業はテクノロジーを使ってバイアスをなくし、ダイバーシティ採用を実現できる」というのは、セッション中に何回も出てきた言葉です。
人材業界の大きな流れとして、多様な人材を公平に評価するためにもバイアスのかからないテクノロジーを活用していく会社が今後も増えていくのではないかと思います。



出展企業

今年は、400以上出展企業がおり、動画面接からアセスメント、エンゲージメントサーベイ、メンタルヘルスサービスなど分野は様々ですが、カンファレンスを通して個人的に感じた1番のトレンドはEmployee Experience(従業員体験)です。

Employee Experienceとは?
EX(Employee Experience)は日本では「従業員体験」と訳されます。従業員が働くことで得られる、あらゆる体験のことを指します。
これは、働くことで得られるスキルや経験のみならず、福利厚生や報酬制度など、組織内のさまざまな要素から構成されています。
EXを向上させている企業は、S&P500(アメリカの代表的な株価指数)が122%も向上したというデータもあり、企業の収益増加を図るためにはEXの向上は必要不可欠になっているといえるでしょう。
https://hrnote.jp/contents/b-contents-hitotech-employeeexperience-181225/


結局の所、組織は人で成り立っています。
その、人というリソースをテクノロジーも用いて最大化するためのサービスというのはどの出展企業も持ち合わせていた共通点です。

Employee Experience(従業員体験)のためには、「会社に合う人を採用すること」だけではなく、「個人がスキルアップをできる環境を作ること」、「適切にパフォーマンスを評価すること」、「社員のエンゲージメントを可視化すること」など幅広いアプローチが必要になります。
実際に、Elevating Employee Experience(従業員体験を高める)というセッションもありましたし、出展企業で”従業員体験の向上”を訴求として打ち出している企業も多かったです。

広い会場に幅広いジャンルの出展企業


マッキンゼーのレポートで、従業員の満足度が高い会社は生産性が高く、離職率が低いというデータもあったりします。(McKinsey, 2020)

労働力(workforce)という組織の重要なリソースをどのように最大化していくか?ということは、HRのあらゆる分野で広がっていることだと感じました。
また、AIや機械学習、VRなどのテクノロジーを用いて、人事という仕事をどのように変革していくか?テクノロジーを用いて何ができるか?という問いに対してあらゆる領域でサービスが出てきているという大きな流れを感じましたし、出展企業の各社はかなり注力している部分でした。


実際参加してみてどうだったか?

今回初めて、HR Technology Conferenceに参加して学んだ、現在のHR業界のトレンドや大きな流れは、従業員のパフォーマンスを最大化するためにテクノロジーが用いられているということです。

組織の重要なリソースのために従業員の力を最大化する
→そのために、採用から退職までの従業員のパフォーマンス・生産性を向上させる
→そのために、テクノロジーを用いて、あらゆる形で従業員の満足度・体験を上げる

「このサービス・施策は、従業員体験を向上させるか?」という観点は、人事部の方や人材業界の方は持つ必要のある視点だと思います。



また、当初の参加目的のため、3日間でアセスメント系サービスの類似企業20社に色々と質問をした結果、アセスメント作成のベストプラクティスがイメージできるようになったことが個人的には1番の収穫でした。

現地では、以前何度もお話させて頂いたことがあるVCの方とお会いして、アセスメント領域で起業し、Indeedに買収されたChrisさんをご紹介頂きました。
Chrisさんは、Interviewedというアセスメントサービスの創業者で、Indeedに買収されてからはIndeedアセスメントという名前でサービスを運営しながら、世界的なアクセラレータであるYコンビネーターのアドバイザーを務め、昨年HRテックの領域で再度起業された方です。

その方とお話させて頂き、まさに自分が知りたいアセスメントサービスをどう作ってきたか?について色々教えて頂きました。
アセスメントの作成方法が理解できたこととアセスメント領域の中でも僕達がやろうとしている部分はかなりのポテンシャルがあるとアドバイス頂けたことは大きかったです。


日本人の方の参加者は少なく、僕が出会ったのは5社の方々でした。(日本人の方を見つけると嬉しくなって、お声かけさせて頂きました。お付き合い頂き、ありがとうございました。)


最後に

HR Technology Conferenceを通して、採用についての解像度も変わりました。ダイバーシティ採用や候補者体験の向上など、まだまだもっと良くできる点はあることが明確になったので、採用が企業にとっても候補者の方にとってもより良い体験にできるようにサービスに注力していきます。

今回書ききれなかった、各領域の面白いサービスや日本にないサービスもたくさんありましたので、興味ある方はご連絡頂けますと嬉しいです。


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