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Hat toss

私達は経緯こそ特殊だったけれど、一見何処にでもいるようなハイスクール カップルだった。

それがすごく幸せな時間だった。

こっそり待ち合わせをしたのに友人に遭遇したり

分厚い教科書を持ってもらい

手を繋いで歩いたり

別れ際にさり気なく頭にキスをされ

'I love you.またあとでね'

そんな声かけ

笑い合ってはハグをして

一緒に車で帰る

一緒に帰るところを目の前で友人達に目撃される

絵に描いたような彼とのハイスクール生活は

とても短かった。

付き合い始めてわずか1ヶ月もしないうちに

彼は卒業の時を迎えた。

もう一緒に、授業を受けることもない。

クラスメイトではなくなる。

とても切なかった。

良くも悪くも彼が毎日そばにいるのが

私のアメリカ生活をスタートしてからの

日常だったから。

学校最後の日に駐車場に止めた車の中で

彼にプロムには行かないの?と聞いた。

すると'あやかがいるからいかない'と言った。

門限などが私にあることも分かっていた彼。

私がシャイだとよくわかっていた彼。

私をプロムに誘うわけでもなく、いつもと変わり無い一日として最後の日を終えた。

2001.6月彼は無事、ハイスクール を卒業した。

私は記念に彼の学生証を貰った。

その学生証は今でも私の物と一緒にとってある。


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