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多摩川上流で探鳥:キジカップルとツバメ
何も予定のない平日休みの朝。
これからしばらくの間は予定が入り、鳥を見に行くなら今日しかない。
しかし外はあいにくの雨。
あと数時間で上がるとの予報に、思いきってカメラを持って家を飛び出す。
目指すは多摩川上流。拝島から羽村堰まで歩いてみよう。
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JR拝島駅から多摩川にかかる睦橋へ移動し、南の昭和用水堰へ向かう。
「多摩川トライアングル」と呼ばれる野鳥の多いエリア、一度来てみたかったところだ。
曇天で時折霧雨が降る中、すっかり緑で覆われた河川敷のあちこちから鳥の鳴き声が聞こえる。
カワラヒワやシジュウカラを耳で確認しつつ歩く。
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河岸を歩いていると、目の前にガビチョウが現れる。
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東京の東側ではあまり会うことのないガビチョウ。
多摩西部ではお馴染みのようで、多摩川のあちこちで鳴き声が聞こえる。
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多摩川もこの時期あちこちでオオヨシキリの「ギョギョシ、ギョギョシ」という鳴き声が響いている。
川沿いのあちこちの木の上に、ちょこんと留まっているのが双眼鏡で確認できる。
かつて川に浮いていた水鳥達は帰ってしまい、水面は閑散としている。
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ふと草むらに目をやると、ド派手な鳥がつっ立っている。
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初めまして、キジさん。
日本の国鳥でもある。
目立つ上にあまり飛べない彼。
きらびやかな外見とは裏腹に、猛禽類や野性動物の餌食になりやすいんだろうな。
目の周りの肉垂と呼ばれる赤い部分が鮮やかとなった彼。
只今絶賛婚活中のようだ。
「ケーン、ケーン」と鳴き、羽をばたつかせる。
母衣(ホロ)打ちと呼ばれ、縄張り宣言を意味するらしい。
このキジの声や音が「けんもほろろ」の語源になっているんだそう。
知らなかった。
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そっと観察していると、茂みからキジのメスが現れた。
2羽は既にカップルであるかのように親しげだ。
メスが躊躇せずオスにすり寄っていく。
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キジ男「遅かったじゃないか」キジ子「ごめーん、羽繕いに時間がかかって」
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‥と話していたかはともかく、2羽は仲睦まじく茂みに消えていった。
キジの恋物語をのぞき見しているようでドキドキしたが、実はキジのオス、縄張りに入ってきたメスに片っ端から求婚し、メスはオスの縄張りを巡っては気に入ったオスとすぐ結婚するという。
結婚のハードルが極めて低く乱婚性のあるキジ。
乱婚は自然界ではよくあることだが、日本の国鳥であることにちょっぴり複雑な思いになる。
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多摩川沿いを歩いていると、あちこちで「ケーン」とキジが鳴いている。
多摩川はキジにとって住みやすいよう環境のようだ。
昭和用水堰から今度は北上。
川べりを歩いていると、看板が立っている。
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「関東カワウ広域協議会」たる会が存在するんだ。
調べてみると、東京都産業労働局が「健全な河川生態系の再生」目的で、鮎を定着させるためにカワウを定期的に追い払っているらしい。
鮎をたくさん食べてしまうが故に厄介者扱いされるカワウ。
何だか気の毒だ。
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イカルチドリは逃げるでもなく、私の前をうろうろ歩き回っている。
そういえば彼らは河原に卵を産み、巣に近づく敵の気をそらすために自ら敵の前に出ていくと聞いたことがある。
この辺りに巣があるのかも。
卵を踏んづけないように気をつけなきゃ。
そっと離れる。
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見ている前でボフッと膨らんだアオサギ。
警戒されているのかしら。
びっくりさせたのならごめんね。
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気が付けば7㎞近く歩いている。
羽村市に入り、羽村堰まではあと少し。
ふと電線に目をやると、可愛らしい鳥が留まっている。
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多摩川上空をすばしっこく飛び回るツバメ。
生まれた子ツバメたちがどんどん飛ぶ練習をしているんだね。
かわいいなあ。
羽村堰の南にかかる羽村大橋に差し掛かると、ツバメの数が急に増える。
沢山のツバメが空中を舞っている。
近くに巣があるんだろうか。
橋の北側に回ってみる
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てっきり彼らをツバメと思っていたが、後で写真を確認しイワツバメだったことが判明。
初めまして。すばしっこくてイワツバメだと気づかなかった。
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前回羽村堰を訪れたのは、今年の2月。
3か月の間に緑が生い茂り、堰の工事が終わっている。
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ここまで歩くこと8㎞。
多摩川沿いに3つの市を歩き、さすがに今日は疲れたな。
他に探鳥している人もおらずあまり期待していなかったけれど、たくさんの野鳥たちに会えた。
キジとイワツバメに初めて会えたし、満足だ。
今日はこれで帰ろう。
昼を前に、羽村堰を後にする。
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