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早朝の京都鴨川:野鳥達と父の思い出と

実家に滞在3日目。
昨晩は母と妹とでお鍋をつつきながら色んな話をした。
明日から仕事ということもあり、今日は早めに帰ろうと実家を早朝に出る。
新幹線に乗る前に、もう一度鴨川の鳥たちを見に行こう。
(滞在中の記事はコチラ↓)

実家から荷物を抱えて最寄り駅に向かっていると、薄暗い中用水路でカワセミがホバリングしている。
あら、朝からラッキー。でも急がないと電車に遅れちゃう。
カメラがすぐに撮りだせない状況に、心の中で地団太を踏みながら駅へ急ぐ。

静かな早朝の賀茂川
電柱の上でピーヒョロロロと鳴くトンビ

鴨川デルタに到着。
トンビの鳴き声をBGMに、日曜早朝の散歩を楽しむ人がちらほら。
今週末はずっと天気が悪く、時折雨がぽつぽつ落ちてくる。
一昨日と同様、今度は賀茂川の東岸を北上する。

水鳥達で賑やかな川面
人馴れしすぎなヒドリガモ達
クチバシが婚姻色となったアオサギ
じっと佇むカワウ

人がまだ寝静まる早朝から野鳥たちは元気だ。
あちこちで餌探しをしている。

川沿いの木にイカルとシメがいた

昨日琵琶湖のほとりでも見かけたイカル。
京都では御所や植物園で繁殖しているらしい。
耳を澄ませば、イカルの鳴き声が聞こえる。
私が若かった頃にもイカルが当たり前にいたんだろうか。
全然気づかなかったな。
さらに北に歩みを進める。

…へっ?

鴨川にカピパラ?

ヌートリアでした

歯がオレンジ色のヌートリア。
別名「沼狸」、外来特定生物だ。
第二次大戦中に毛皮を採取するために持ち込まれた彼ら。
鴨川でも繁殖しているらしく、京都市役所が餌付けしないよう注意喚起している。
早朝散歩は野鳥だけでなく、こういった珍客にも遭遇しやすい。
もう、びっくりさせないでよ。

一昨日カワアイサを見かけたエリアにさしかかる。

いました。カワアイサ♀

間近で見るカワアイサ。
後頭部のふんわりした羽がファンキーでカッコいい。
カワアイサは冬鳥だけど、宇治川で夏を越すものがいたとか。
夏の京都、人でも暑いのにどうしたんだろう。
ケガして北に帰れなかったのかな。

空を見上げるとすばしっこい小鳥が数羽、追いかけっこをしている。

私のカメラの限界、ピンボケツバメ
ツバメが飛び回っている

梅雨に巣を作り子育てするツバメ。
京都へは平均して3月20日前後にやってくるらしい。
あのツバメたちは恋の相手をめぐって喧嘩しているのかしら。

鴨川デルタから約3.7km、御園橋まで来ました

朝霧に包まれた北山が幻想的。
ところが、ここに来て雨が本格的に降り出す。
いずれも短時間だったけれど、2泊3日の京都滞在中に様々な野鳥たちに出会い、故郷の新たな一面を見ることができて満足。
鳥見はここまで。すぐ近くの上賀茂神社に立ち寄ってから京都駅に戻ろう。

御園橋から歩いてすぐ、上賀茂神社
京都に住んでいた頃は毎年初詣に来ていた

上賀茂神社の正式名称は「賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)」。
下鴨神社と合わせて、山城国一宮だ。
京都に住んでいた頃は、神道を信仰する父に連れられて毎年上賀茂神社に初詣していた。
この神社に来る度に亡き父のことを思い出す。
医師として働き詰めで、家族と過ごす時間が少なかった父。
料理を全くしなかったが、元旦にお屠蘇を作るのは父の役割だった。
お屠蘇で新年の挨拶を家族で交わした後に、初詣にと上賀茂神社へ車を運転してくれた。
認知症が進んだ父に上賀茂神社のお守りを持っていったら喜んでくれたっけ。
家から車で30分以上かかり遠いなあと思っていたが、この年になり意外に近いんだなと感じる。

鳥居前から遠く比叡山を拝む

幼い時代を過ごした街には、色々な思い出があちこちにつまっている。
故郷に戻ると、一瞬のうちに心が当時に帰る。
東京の自宅に戻って数日は遠い故郷の記憶が消えず、現在の私とのギャップに戸惑う。
心のふるさとはここではないんだな、と。

帰りはバスに乗り、京都駅へ向かう。

雨の日によくお世話になったバス

学生の頃は節約のため自転車移動が中心だったが、雨の日はバスにお世話になった。
バスの車中から雨に濡れる街を眺めたり、人間観察をしたり。
市内を循環するバスに乗りながらぼんやり考え事をしたりもした。
205系統、良く乗ったなあ。

日曜朝のバスは観光客がおらず、部活に出かける学生さんや休日仕事に向かう人たちが静かに座っている。
昔と異なるのは、大半の人がスマホに目を落としていること。
スマホはいつでも見られるけれど、車窓を移ろう景色はその時しか見られない。
もったいないから、私は外を眺める。
見ごたえがあるけれど混雑した観光スポットより、こういった京都の日常の風景に私は癒されている。

観光客でごった返す京都駅に降り立ち、ぐいと現実に引き戻された私。
さあ、帰って明日から仕事だ。
昼前の新幹線に乗り、京都駅を後にする。

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