早春の夕方、京都鴨川で野鳥観察
金曜午後から週末にかけて連休をもらえたので、午前の診療を終えてすぐに東京を飛び出した。
目指すは京都。
正月ぶりに母の顔を見に、そして早春の京都で野鳥たちを見るのが目的だ。
天気予報では本日晴れ、明日以降は天気が崩れると告げている。
晴れが今日までなら、到着後すぐに鴨川に行ってみよう。
日没までの短時間だが、どれだけ鳥たちに会えるかな。
ワクワクしながら新幹線に乗る。
京都駅には15時半に到着。
その足で高野川と賀茂川が合流して鴨川になる「鴨川デルタ」へ向かう。
春休みの学生さんや親子連れが気持ちの良い晴天を楽しんでいる。
観光客がいない、地元の風景にホッとする。
でも、こんな賑やかだと野鳥はいないだろうな。
賀茂川沿いに西岸を北上しながら野鳥を探す。
16時過ぎの賀茂川は、柔らかい日差しに包まれている。
数時間前まで東京で仕事をしていたのが嘘のようだ。
冬の鴨川は、上空をトンビが旋回している。
鴨川沿いでお弁当を広げていると、彼らが上から食べ物を虎視眈々と狙っている。
こちらはピクニック気分でリラックスしたいのに、妙な緊張感を強いられる。
餌付けしている人たち、やめてもらえないかな。
彼らが「ヒトは皆食べ物をくれる」と誤解しないように。
今日は川の流れが穏やか。
賀茂川は水鳥たちで賑わっている。
ヒドリガモ、コガモ、マガモが多め、キンクロハジロ、ハシビロガモ、オオバンがちらほら。
カイツブリはここでは少数派のようだ。
私は普段は早朝の野鳥たちしか見ていないけれど、日没を前にしたこの時間の彼らは餌探しに余念がない。
寝る前に腹いっぱいにしておきたいんだろうね。
京都盆地を北から南に向かって流れるこの川は流れが結構早く、カモたちは流されないように上手にエサを探している。
滝で修行する修行僧みたい。
水が冷たいだろうに、餌がたくさんいるのかな。
注意しないと見つけられないイソシギ。
こんなかわいい鳥が水辺にいるなんて、ずっと住んでいたのに知らなかった。
川の浅瀬を器用にピコピコ歩いている。
よく流されないものだ。
流れから少し離れた茂み沿いを歩いていると、青い鳥がシュッと通り過ぎた。
以前にも鴨川でちらっと見かけたことがあるカワセミ。
周囲は散歩中の人やランナーで賑わっているが、気づく人はいない。
彼女は考え事をしているのか、じっと動かない。
彼女の鮮やかな青に目が癒される。
のどはふわふわな白。
いつ見ても可愛いなあ。
賀茂川が滔々と流れる音で声がかき消されがちな小鳥たち。
空を見上げると、元気に飛び回っている。
出町柳から鳥を見つつ北大路橋までやってきた。
日の入りが近いがもう少し、北山大橋まで足を延ばしてから帰ろう。
さらに歩いていくと、水辺を細長いカモがスイーッと下流へ泳いでいく。
茶色い頭は、カワアイサのメスだ。
緑の頭のオスは実家近くで見たことがあるが、メスは初めて。
カワアイサは潜りが得意。
潜りながらあっという間に下流へ去ってしまった。
残念、また明後日確認に来よう。
北山大橋に到着。
ふと流れに目をやると、小さい鳥がいる。
コチドリとイカルチドリと迷うが、いずれにせよ初めまして。
昔、鴨川にはたくさんいたというチドリ。
古くから「鴨川(加茂川)や 清き流れに 千鳥すむ」と詠まれ、先斗町の紋章のモチーフにもなっているという。
今は見かけることが少ないそうだ。
1時間半ほどの散歩だったが、たくさんの野鳥に出会えた。
山に囲まれた京都盆地は野鳥にとって住みやすそうだ。
この1-2時間で頭がすっかり京都モードにギアチェンジ。
さあ、母に会いに実家へ行こう。
鴨川を後にする。