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nostalghia
2019年8月27日 21:48
いつかのことを思い出す。 私がまだ人のふりをして生きていたときのことを。 ずっと昔、人は獣と深く結びついて生きていたのだという。野原は獣だけのものではなく、人もそこに寝そべり、獣たちと同じ世界を共有していたのだと……今ではビルが建ち並び、この一帯は見渡すばかりの舗装路だ。私の祀られているお社は山道の外れにあった。ながい戦争が終わったあと、それを不憫に思った善良な者が、然し何の勘違いか移住先の
2019年8月20日 01:37
駅ビルには決まってコスメのフロアがある。幼い私はいつも、そこを通るのが苦手だった。厚化粧のにおい。着飾った女性たちの生白い肌。降り注ぐ照明の冷たさ。そのすべてが、息苦しくて仕方がなかった。「社名にもあるFrostは……こちらの香水は創設者の思い入れがあって……」 そんな私が、どんな因果か客に香水を売りつけている。ガラス瓶に注がれたそれらには、それぞれ価格と香りのモチーフ……それと販促のた