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源氏物語を読むのに適したタイミングなんてあるのだろうか?

三十代に入ってから、源氏物語を齧るようになった。とはいえ、これでも日本文学科卒業なので(でも専門は日本語学)、学生時代に日本文学購読やら、日本語学演習と言った授業で、ちょっとは触れてたり、源氏物語の同人ゲーム作っていた友人がいたりと言う感じで知識は全くのゼロではないが、興味は薄かった。

ただ、去年の正月あたりから、源氏物語くらい頭に入れとかないとなというのと、もともと自分自身は海外文学読みであることもあり、日本文学関係には興味なかったのだけれど翻訳者とかの情報を仕入れるうちに、日本語訳者だけでなく日本文学の外国語翻訳者なんかの知識がついてきていたので、翻訳される日本文学から、訳者をさかのぼっていくうちに源氏物語に巡りついた感じだ。

最初は、著名な外国人日本文学研究家、ジャパノロジスト、日本文学翻訳者のエッセイや日本文学翻訳関係の資料を漁りつつ、大和和紀のマンガ『あさきゆめみし』を電子書籍でまとめ買いし、大まかなストーリーラインを頭に入れ、やる夫で学ぶシリーズの『やる夫が光源氏になりたまふなり』のまとめを読んだり(読んでくうちに大学時代にすでに目を通していたことを思い出した!)して、少しづつセットアップしていくことにした。

(写真:我が家の源氏物語関連本)

その後は、とりあえず読みやすいと言われるアーサー・ウェイリー訳の重訳(佐復 秀樹訳 平凡社ライブラリー版)を集め、その後もう一つのウェイリー訳(毬矢まりえ・森山恵 姉妹訳 左右社版)もその時、ちょうど出たばっかりなので集め、それと同時に英訳版ロイヤル・タイラー訳(ペンギンクラシック・デラックス・エディション→ヴァイキング・ペンギンハードカバー版に買い直し)とデニス・ウォッシュバーン訳ハードカバーを買う。

そうこうしているうちに、仕事で全く手を付けられなくなり、翌年退職することになる。その際に色々と資料を買い集め、英訳版もエドワード・サイデンステッカー訳のハードカバーとアーサー・ウェイリーのタトル社版二巻本ペーパーバックと合本版ハードカバー(George Allen & Unwin社 合本版 Third impression 流石に一番最初の六巻本は集められなかった)を手に入れたりして物だけ揃え始め、パラパラと目を通しておくうちに、読み物として左右社のアーサー・ウェイリーの重訳版を読みつつ(仕事を辞める頃には三巻まで出ていた)、リファレンスとして今泉忠義訳の講談社学術文庫版(主観が薄く癖がない、原文を逐語訳っぽく訳してある――面白いわけではない)と平凡社ライブラリー版(差異の確認のため)を使いながら読んでいる最中である。

まるで、構成の写本をいくつも集め、その異相を調べるような読み方に近い。正直なところ現代語訳というのはそれぞれの訳者の解釈が入ってしまうものだと思うので、自分が読みやすいと思った訳者を選ぶのもいいかなと最初は思ったのだけれど、とりあえず読み通さないと話しにならないということでウェイリー訳を読み通すつもりだ。

研究をしてしまうと、人生を捧げなくてはいけなくなるので、残念ながらそこまではしないつもりである。ただ、オタク体質なので、どういう方向に行ってしまうかはまだわからない。なお、源氏が終わったら次は平家物語でも読もうと思っている。

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