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飛ばし数えで鍛える数的感覚

4歳、5歳くらいになると、目の前の物を抽象化して数として処理することが出来るようなってきます。大きさや色、形が違うリンゴでも同じリンゴとしてカウント出来るということです。

子どもによって異なる数的感覚の習得プロセス

数的感覚の習得プロセスは子どもによって異なります。
我が家の場合、上の娘はモデル化して処理する傾向があります。
イメージとしては、こんな感じです。

3 + 3 = 6
→ ●●● ●●● 

モデル化して処理をするので、比較的早い段階で応用が利くようになります。
例えば、こんな感じです。

9 + 9 = 18
→ ●●●●●●●●●○ ●●●●●●●●●○
→ 20 - 1 - 1 = 18

一旦、モデル化することで手間の掛かる処理をスマートに行うことができますが、どうモデル化すると効率的かがすぐに浮かばない時や地道に数えた方が結果が早いような時には、その工程が裏目に出ることもあります。

変わって5歳になる下の息子は、シーケンスで考える傾向があります。
シーケンスという言葉は聞き慣れないと思いますが、直線上に順番に並んでいる状態で、イメージとしてはこうです。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 ...

先程と同じ問題でも

3 + 3 = 6
→ 1 2 3 4 5 6

という思考になります。
数が大きくなると処理が大変になりますが、数えれば済む問題は寄り道せずに数え始めるので早めに答えが出ます。
10の位、100の位になっても筆算のように10の位の数と1の位の数を分けて処理をすれば、なんとかそのやり方で処理ができます。
例えば、先程と同様の計算だとこんな感じになります。

9 + 9 = 18
→ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 , 10 11 12 13 14 15 16 17 18
→ 18

9からスタートして、9個分数列を進むイメージです。
どこかで抽象化するテクニックを覚えないと苦労すると思いますが、頭の中に必要分の数列をイメージして、順番に数えていくプロセスは、かなりのワーキングメモリを使うので、今の段階ではあまり違うやり方を強制せず、しばらくこの方向でどこまでいけるかやってみてもいいのかなと考えています。

ワーキングメモリを広げる飛ばし数え

この能力を引き上げる上で注目しているのが飛ばし数えです。
数えることが得意な下の子が始めた数遊びで、1,2,3,4といったカウントを、1,3,5,7,9と一つずつ飛ばしたり、1,4,7,10と2つずつ飛ばしたりするだけのものですが、お風呂で湯船に使っている間のカウント代わりにやるだけでかなり知的な遊びになります。大人でもやり慣れていないと2つ飛ばしくらいで既にカウントが怪しいです(笑)
これはどこでも出来る知的な遊びなので、みんなで1カウントずつ増やしながら、スピードを競っても面白いですのです。

ゲーム性を加えるならNot30

数えるだけだと飽きも早いのですが、ここに少しゲーム性を加えることで、なかなか戦略的な遊びとして楽しむことができます。
私は勝手に「Not30」、「30言ったら負けゲーム」と呼んでいますが、私が小学校の時にやっていた記憶があるので、きっとちゃんとした名前が既にあると思います。
ルールは簡単で、

2人で順番に1から数えるというもので、1人1ターン最大3つまでしか数字を言えないという制限がついており、30を言わされた方が負け

というゲームです。
紙もペンも要らないので、お風呂でも、車の中でも、電車の中でも、お出掛け中の待ち時間でも、どこでも遊ぶことができます。

子どもがカラクリに気付くまで遊べる

実はこのゲーム、シンプルな攻略法があるので、そのカラクリが分かると、先行さえ取れば必ず勝てるようになっています。
ネタバレをすると、30を言わせるためには自分が29を言う必要があり、29を言うためには相手が29を言えないように4つ手前の25を押さえなければならず、そのためには…と言った具合に、どんどん遡っていくと、最初に1を宣言したら、後は相手が1つ数字を言ったら自分は3つ、2つ言ったら2つ、3つ言ったら1つという形で、29を獲得するためのマイルストーンを維持していけば確実に勝てます。
まとめるとこんな感じです。

1〜30の数列のうち、
相手に30を言わせるためには、自分が(29)を言う必要があります。
1〜26,27,28,(29),30 
(29)を言うためには、自分が手前の(25)で止めないと相手が(29)を言う権利を手に入れてしまいます。
1〜22,23,24,(25),26,27,28,(29),30
同じように、(25)を言うためには…と遡っていくと、
(1),2,3,4,(5),6,7,8,(9),10,11,12,(13),14,15,16,(17),18,19,20,(21),22,23,24,(25),26,27,28,(29),30
上記のようにゲームをリードするために押さえておかなければならない数字(マイルストーン)が明確になり、相手との数字のキャッチボールの中で、この数字をコントロール出来れば確実に勝てます。

子ども遊ぶ際のポイントは、先行を取って、相手の数+自分の数=4になるようにカチガチに進めるのではなく、前半は相手を泳がせつつ、数字のキャッチボールの中で後半からさりげなくこのマイルストーンを掴んでゲームをリードすることが重要です。

このゲーム、上の娘とはあんまり盛り上がりませんでしたが、下の息子は結構好きみたいで、よく勝負を挑んできます。そういったところは思考の特性もあるのかなと感じます。このゲームの最終目的は、子どもがこのゲームの論理性に気付くことですので、今はそういった論理性を獲得する日が来ることを楽しみに、時には負けてあげたりしながら、子供との時間を楽しんでいます。

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