混沌と愛の国インド、美しき冬のラダック⑥パンゴン湖と寄り道編

　11月28日。湯たんぽの威力が絶大で、全く寒さは感じず、またも夜明け前に自然に目が覚めた（神保町に1億8千万円で一人用の家を買うという、意味わからないわりに設定が細かい夢を見た）。
　外に出ると、朝日によってオレンジに染められる山々が、レーよりもずっと綺麗だった。ここ最近毎日、「人生で見た一番綺麗な山」を更新している気がする。
　白みゆく朝日を見ながら散歩していると、遠くから犬が威勢よく吠えながら走ってきて、流石に生命の危機を感じた（近づいてみると2頭で追いかけっこをしていただけだったのだが、もし襲われていたらと思うとぞっとする）。

　朝食は再びチャパティと卵焼きであった。結構クセになるな、チャパティ。朝からteaをたんまり入れてもらい、ゆったりと出発した。
　今日は寄り道しながらレーに帰るだけだ。jemmniも、飼い猫すらも、どこかのんびりとしているように見えた。

　朝のパンゴン湖の青さたるや。この色を写真でしか記録できないことが悔しい。目に焼き付けたいと、強く思った。見る場所や角度によって、その深さや輝きはありとあらゆる表情をした。思春期の少女のように気まぐれで、老齢の男性のように奥深かった。

　パンゴン湖を後にし、多くの軍のトラックを追い越しながら、我々はひたすらレーに向かって走った。道中、いろいろな野生動物を見かけた。あまり見られないそうで、なんとなく歓迎されている気がして嬉しかった。

　再び悪路を抜け、ラダック最大というHemis ゴンパに着いた。見た目は比較的シンプルである。オフシーズンのため1箇所しか開いてなかったが、珍しく英語が話せるラマだったので、少し詳しく話を聞くことができた。deskitで見た、禍々しい見た目の像と同じ絵が飾ってあったので話を聞くと、どうやら「2nd budda」なるものがあるらしい。まあ、あとは自分で調べなさいということなんだろう。誰か教えてください。

　また、Tikseyゴンパにも立ち寄った。Tikseyゴンパは、真っ白な建物の上にピンクや黄色の建物が乗っかる形のゴンパで、diskitゴンパとはまた違ったかわいさがあった。案の定鍵がかけられているところも多かったが、neo buddaの巨大な像が安置されているお堂だけは、なんとか見ることができた。
　どこのゴンパでも、像の目線の先に窓が開けられていて、見守る形になっているのが興味深い。急な階段には細かい装飾が施され、何度も足を踏み外しそうになった。見ていて飽きないゴンパだった。

Hemis

Tiksey

Tiksey

neo budda

　Tikseyゴンパを降りた時点で、Hidden Himalayaスタッフの上甲さんから電話があり、オフシーズンで多くのゴンパに入れなかったことを踏まえ、ご厚意でレーの郊外にある観光スポットにも足を伸ばしていただけることになった（特別な対応と思うので、これから行く方がいるようであれば、有料オプションになることにご留意いただきたい）。
　翌日に足を伸ばすつもりではあったが、タクシーの交渉が億劫だったので、実にありがたい話だった。上甲さんのおすすめに倣い、まずはレーパレスをさらに登ったところにある「ツェモ・ゴンパ」に向かった。
　レーパレスも、レーの街を一望できる素晴らしい景観だったが、ツェモ・ゴンパの方が高い位置にあるだけあって、レーの街を一望するどころか、遥か高みから見下ろすことができた。たまたま夕方のお経を上げるタイミングで、ゴンパの中を覗くこともできた。ゴンパ自体は高台にあるのでかなり小さく、５人入ったらいっぱいになりそうなくらいだった。夕焼けの街にお経が粛々と鳴り響いていた。

　そこからもう一足伸ばして、日本人が建てたといわれる仏塔、shanti stupaに向かった。眺望はツェモゴンパの方が高い位置にあるので良かったが、美しさはこれまでみた中でダントツだった。丁度日が落ちる時間で、レーの街にぽつりぽつりと明かりが灯る様は、まるでファンタジーだった。

　そこから宿まで（結局変えるのもめんどうだったので、同じhostelにした）送ってもらい、ようやく解散。長かった。
　1人だったのでお値段は相当だったが、このために行ったのだと思えるほど、素晴らしい時間を過ごすことができた。

　夜ごはんは、もはや三度目となるCHIMATH TIBETAN KITCHENに。
　正直チベット料理（モモとかトゥクパ）には飽き飽きだったので、美味しいラダック料理を求めて三度の訪問である。
　一度目と二度目はThenthukを続けて頼んでしまったので、三度目は勇気を出して違うメニューとすることに。選んだのは「Chutagi」である。何かは全くわからない。
　ところが出てきたのがまたとんでもなく美味しい。何が入ってるのか全然わからないのだが、とにかく美味しい。何を頼んでも美味しい店を見つけられているのは幸せなことだなと思った。