見出し画像

《3》180815-16:夏祭りに参加


夏祭りを調査しにお盆の沖島へ。

堀切港にはフェリーを待つ人でいっぱいだった。

いつもの沖島つうせんの他に、もう一台のちっちゃいフェリーが待機していた。

2台に分かれて乗り込む。

甲板のところに乗って琵琶湖の水しぶきを浴びながら島へ着いた。

琵琶湖を見つめる副船長さん。
この景色を何万回見ているんだろう。
一瞬として同じ景色はないのだろうか。

画像1


帰省する家族、ボランティアの学生、若い観光客、たくさんの子供たち。

数十年前の沖島は毎日こんなに活気に溢れていたのだろうか。

沖島の三輪車で島を駆け回る子供達を見ながら、おばあちゃんたちはいつもよりも柔らかい笑顔を見せていた。

きっと私たちが話しかけて、どれだけ盛り上がっても絶対にこの笑顔は引き出せないだろうな。

サンダルや浮き輪が玄関先に干され、人が行き交う町は夏休みの空気が流れていてなんだか泣きそうにな気持ちになる。

画像3

とりあえずご挨拶にコミュニティセンターへ向かうと、人が頻繁に出入りしておりすごく忙しそうだった。

本当に島を挙げての地域全体のお祭りなんだな。

そういえば、最後に地元のお祭りに参加したのはいつだろう。

兄が付き合いで手伝いに駆り出されるのを横目に、かわいそうにと思いながら涼しい部屋でだらっとお団子を持って帰ってきてくれるのを待っていたのを思い出した。

「漁港の二階に行ってカレーを食べてこや〜みずきちゃんもおるでぇ」

とのことで、荷物を置いて漁港へ向かった。

宴会場のようになっておりテーブルの上にはお酒とちらし寿司や炊いたお魚が並んでいた。

おじさんたちの笑いに混じって若い女の子が笑う声がする。

みずきちゃん、絶対あの子だ。

以前から”みずきちゃん”というハイパー女子大生がいることを高木から聞いていた。

滋賀県立大の大学生で、授業で沖島を知り、座沖島というボランティアサークルを立ち上げ、沖島に移住した女子大生。パワフルすぎる。

私はこの時が初めましてだった。

ありがたくカレーをいただきながら、酔っぱらったみずきちゃんの話を聞いた。

彼女は大学4年生で卒論のリサーチで島外へ出た島出身者にインタビューをしているとのことだった。

いろんなお宅にお邪魔して、お盆で帰ってきている方を訪ねて回っているうちに、いろんな場所でお酒を出してもらうから酔っぱらってしまったと言っていた。

卒論とはいえ、ほろ酔い状態でリサーチする人を初めて見た。只者じゃないわと思った。


***


お祭りは漁港横の漁業会館とそのよこの倉庫内で行われた。

かなり天気が不安定だった。

雨の沖島は初めてだった。

一時スコールのような大雨に降られ、みんな花火が上がるか心配しているようだった。

画像2

提灯で赤に染まる漁港は、青や緑の多い島の景色によく映えた。

雨がパラパラと降る中、小学生による沖島太鼓が披露され、お祭りの雰囲気は高まっていた。

ボランティアの学生が屋台を手伝い、小学生たちはフランクフルトやかき氷を片手に走り、歌謡ショーの音楽が漁港に響く。

なんて豊かで、温かくて、懐かしいお盆だろう。

何だか昭和な雰囲気も漂っているのは歌謡曲の歌声のせいだろうか。

この手作り感が地元感漂う居心地のいいお祭りの雰囲気を作っているのだと感じた。

画像5

おまつりの最後、みんな漁港の階段に並んで打上げ花火をみる。

雨はパラパラと降ったり止んだりしながらも、花火は上がった。

時間にするとそう長くはないし、すっばらしい景色だ!というわけではなかったけど、実家にいるはずのお盆ど真ん中に地元でも何でもない土地で花火を見ている。不思議な縁があるもんだと思った。

みんなで雛壇みたいに同じ方向を見て並んでいる光景は何だかおかしかった。

画像4


お祭りの後は片付けもそこそこに、コミュ二ティセンターの二階の会議室で深夜の2時過ぎまで漁師さんらと学生との打ち上げに参加させてもらった。

沖島の魚の煮付け、刺身、ビワマスのちらし寿司、ゴリの佃煮、婦人会のカレー、近江八幡のお酒。

どれも美味しくて懐かしくて初めて食べるものだった。

漁師さんたちは普段シャイな人が多いが、お酒を飲むと喋る喋る。

名古屋から来たというと、興味を持ってくれる人が多かった。

画像6


準備や時々で無くなるものを用意するのはいつも女性だった。
何というかすごく亭主関白の雰囲気が残っているのを感じた。

 ***


翌日は朝9時から片付け。

夜中までお酒を飲んでいたとは思えないほど、みんなシャキシャキ働く。

倉庫に灯籠流しに使った道具やかき氷機などを片付けに行った。

11時の便ではるばる横浜から来てくれた大学時代の友人である美名子が合流。

つうせんの船長さんとコミュニティセンター長の西居さんが、手伝いをしたご褒美に「ええとこ連れてったる。」と、沖島をぐるっと一周クルージングに連れて行ってくれた。一周15分くらいだろうか。

隣で太郎さんが「あれは〇〇漁の仕掛けやで〜」「あれは去年の台風で崩れてしまってん」と解説をしてくれる。

荒々しい豪華な船旅で、心の距離が少しだけ縮まったように感じた。


その後コミュ二ティセンターの二階でお昼ご飯兼打ち上げ。

打ち上げてばっかりだけど、すごく楽しい。

この春移住して来た地域おこし協力隊の方が研究の話に興味を持って聞いてくださり、今まで沖島であまり研究内容の話をしたことがなかったが、少しだけ話をした。

漁師さんに、アユとゴリの佃煮をお土産としてもらった。

初めて来た美名子のために沖島をぐるっと周り今回の調査は終了。

何だかあまり時間がなかった。

美名子にはもっと見て欲しいものがたくさんあるのでまた来て欲しい。

三輪車が交通手段という話をしていた時に、沖島のモビリティの可能性について話をしていたのが興味深かった。

画像7


**********

何だかこの日はすごく盛り沢山で登場人物も多くて
かなり忘れてしまっていることが多いけど、
みずきちゃんとの初対面はめちゃくちゃ衝撃的だった。
調査ノート丸めて持ってるやん。すんごい飲むやん。
この時は酔っぱらってるからかと思ってたけど、
もう地がかなり面白い人でした。

あと、上に写真で上がっている「松の司」について、
滋賀県の日本酒らしく、めちゃめちゃ美味しい。
この先のリサーチで何度も飲むことになります。
(沖島の酒屋さんに置いてます)

いただいたサポートは心を優しく保つためののお茶代にします。