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私の生活はいつも音楽が一緒

「オッケー、グーグル、カフェミュージックをかけて」
「Spotifyでカフェミュージックを再生します」
こんな風に、キッチンに立つと、私はGoogleアシスタントを使って音楽を流す。食後のくつろぎの時間なども、YouTubeで気になるBGMを選んで聞いていることが多い。この習慣は、思えば子供の頃から変わっていない。

中学・高校生の頃、家に帰って自分の部屋に入ると、ステレオのスイッチを入れていた。そして、今日は何にしようか、とカセットテープの棚をじっと見つめ、よし、これだ、と思ったテープを取り出してセットする。

当時はよく、学校帰りにレンタルCDショップに立ち寄り、気になるアーティストのアルバムを借りてきては、空のカセットテープに落として聞いていた。そして、タイトルや曲目を自分で全部手書きして、アルバムのコピーを作る。気に入った音楽は、友人とカセットテープの貸し借りをし、おすすめしたりされたりと、カセットコレクションも増えていった。

友人と音楽の話をすることも楽しかった。私は中高一貫の女子校に通っていた。クラスの中では、ジャニーズなどのアイドルの話で盛り上がる輪などクラスメートの趣味は様々で、光GENJIが好きな人、とんねるずが好きな人、工藤静香が好きな人など、色々な話が飛び交った。そんなミーハーな話を聞き流しながら、私は別のジャンルにハマっていた。ニューミュージックと呼ばれた80年代の音楽。そもそも私が好きだったのは、チェッカーズ。なんだ、アイドルじゃないか、と言われることも多かったが、チェッカーズは、九州福岡で結成されたロックバンド。自分たちのオリジナルの曲を作り、昔から音楽活動をしていたのだ。チェッカーズが取り上げられる雑誌もよく読んだ。その時出会った雑誌が、『パチパチ』だった。それは、当時ニューミュージックと呼ばれたアーティストが掲載されている音楽雑誌だった。そこで気になったアーティストを見つけると、アルバムをレンタルCDショップで借りた。私が聞く音楽は、チェッカーズのおかげで、幅を広げていったのだ。米米クラブ、尾崎豊、浜田省吾、永井真理子、レベッカ、プリンセス・プリンセス、そして、BOOWYなど。その中でも、私が好きだったアーティストの方々がいた。

まずはBARBEE BOYS。KONTAさんと杏子さんの男女二人のツインボーカル。独特な掛け合いなどが楽しく、一緒に歌っていた。
「あぶないぜ、あぶないぜ、負けるもんか、負けるもんか」
女子校に通う中学・高校生の当時の私に、歌の意味など全くわかる訳もなかったが、ただバービーボーイズが奏でる音楽が好きだった。KONTAさんが吹くソプラノサックスもまた素敵だった。当時音楽部に所属してクラリネットを吹いていた私は、ソプラノサックスを吹いてみたいな、と憧れたものだ。

それから、PERSONZ。ドラマの主題歌にもなり、Dear Friendsが有名になったが、それ以外にもBE HAPPYやPRECIOUSなど、好きな曲はたくさんある。ボーカルのジルの服装がまた可愛くて、そして、心に語りかけるような歌詞が良いのだ。

好きなアーティスのアルバムは、レンタルショップではなく、ちゃんとレコード店(CDショップという方が良いのか?)に行って、お小遣いからCDを買った。CDを持っていても、相変わらずカセットテープにも落としていた。なんでか? 通学の電車の中で、ウォークマンで聞くためだった。

友人との貸し借りで、新たな音楽に出会えることもあった。私は当時邦楽ばかり聞いていたが、洋楽のハードロック好きの友達がいた。彼女のおかげで、私はハードロックの世界も少し知ることができた。ガンズ・アンド・ローゼズ、ミスター・ビッグなど。しかし、このジャンルは、友人が貸してくれたテープを聞く以外、自分からは積極的に広げていなかった。そのため、その後もあまりハードロックの世界と関わることはなかったのだ。

しかし、先日衝撃的な偶然を味わった。何気なく流れてきた音楽。澄んだギターが奏でる旋律から、聴き慣れたボーカルが始まった。私の世界は、一瞬で高校時代に戻った。ハードロックのテープを貸してくれた友人に感想を聞かれ、あの曲が好き、と伝えると、彼女も同様に好きで、サビの部分を一緒に歌った光景が思い出された。

 Don't you ever leave me baby
 Don't you ever leave me now
 Don't you ever leave me baby
 If you leave me you will kill me now

ハノイ・ロックスのバラード、Don't You Ever Leave Me。歌詞に惹かれたというより、純粋にメロディが好きだったのだ。この曲が突然私の耳に入ってきて聞き入っている間、何か話しかけられた様な気がしたが、もはやその声に答えられる余裕はなかった。

今私の生活の身近にある音楽は、多方面に渡っている。朝、仕事のメールを処理しながら聞くのはクラッシック。noteの記事を読んだり、パソコンの前に座って趣味のページを見たりする際は、明るいジャズやボサノバ、そして読書をしたり、記事を書いたりするときは、ボリュームを下げてピアノジャズを。夜、寝る前にはしっとりとサックスが響くジャズ。いつでも私の時間は、音楽と一緒に流れている。

さあ、夕食の支度を始めよう。ここで今日はなんの音楽をかけようか、と迷う。静かにクラッシックを聴くときもあれば、BGMとして流れるだけのカフェ音楽の時もある。でも、やはり一番テンションが上がるのが、昔の思い出の曲。

「オッケー、グーグル。パーソンズの音楽をかけて!」

Googleアシスタントは、Spotifyからランダムにそのアーティストの音楽を流してくれる。次にどの曲が流れるのか分からずに聴くのは、初めて買ったCDをかけているようで楽しみが増す。好きな曲が流れると、一緒になって歌い出し、歌詞が分からなくなると、ラララーで誤魔化す。また、昔大好きだったアーティストさんが、その後もずっと活躍されていると、知らない曲が流れたりもする。そうなると、真面目な顔に戻り、ひたすら料理に集中する。また、あーこの曲好きだったなあ、ゆっくり聞きたいなと思った時に、料理が出来上がってしまい音楽をストップさせなければならなかったり、結局聴きたかった曲が流れてこなかったりということもある。自分で選曲できないもどかしさもあるが、仕方がない。

noteでフォローさせてもらっている音楽記事を書かれている方々のおかげで、私の料理時間はより充実したものになる。あー、懐かしい、と思ったアーティストさんの紹介記事を読むと、早速キッチンに立ってGoogleさんにお願いする。おかげで、最近は久保田利伸やプリプリなど、忘れていた曲を聴きながら、楽しく料理をすることができた。(ありがとうございます!)

「オッケー、グーグル、バービーボーイズの音楽をかけて」

決して聞いていて心地よいものではないであろう、私の妙にノリノリな鼻歌が流れると、夫の引きつった顔がキッチンを覗く。あら、失礼、と思いながらも、やはり懐かしの音楽時間はやめられない。

#思い出の曲

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