何がジェーンに起こったのか。
公 開:1962年
監 督:ロバート・アルトリッチ
上映時間:134分
ジャンル:スリラー/ホラー
見どころ:料理の中身が、食べられないところ
子供のころは天才で、大人になったら只の人というのはよくある話です。
ジェーンは、ベイビー・ジェーンという愛称で人気を博していた子供でしたが、年齢を重ねるにつれて、日陰の存在になっていき、気づくとアルコールばかり飲んでいる気難しい人になってしまっています。
一方で、小さい頃はぱっとしなかった姉が、女優として人気となり、映画時代にうまく乗れなかったジェーンは、義理で出演させてもらう始末。
いわゆるバーターとしてしか仕事につかってもらえなくなってしまったことが語られた後、姉が事故にあって隠遁生活になってしまったことがわかります。
人生の絶頂期が子供のころという人も一定数いるわけですが、人生は大人になってからのほうが長かったりします。
ジェーンは、姉に対する屈折した思いをかかえながら、足の不自由な姉を軟禁し、虐待を初めます。
そのあたりの狂気は、演技力と相まって壮絶です。
私がいなくなったら困るのはあなたなのよ、と姉は言うのですが、それが妹にとって意味のあることでは既になくなっています。
ジェーンは、姉のサインを練習し、元女優という能力を発揮して声を真似して、誰でもだましてしまいます。その能力、どうして女優時代に発揮しなかったのか。
でも、本当に困ったことになったら、姉に縋りつき、助けて欲しいと泣きつきます。
その哀れさは、人間だなあと思ってしまいます。
昔はよかったねといい意味で語れる人は大人ですが、昔の出来事に囚われて生きるのは辛いものです。
子供のころの人形を見つめながら、老齢の身で幼少期を再現しようとするグロテスクさに、人間の果てなきノスタルジーの末路を感じさせる壮絶な映画でした。
何があったんですか、と問いかけたくなるでしょうけど・・・、そっとしてあげて欲しいのです。
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