映画感想文「マッチ工場の少女」アキ・カウリスマキ
配信で「マッチ工場の少女」を鑑賞しました。
感想を書いてみようと思います。
はい、フィンランドの名匠、アキ・カウリスマキさんの作品(1990年)。
個人的にアキさんのファンです。好きです。
アキさんといえば、今年(2023年)2月の上旬に久しぶりにアキさんの作品を観ました。
「街のあかり」という作品。面白かった。
で、この「マッチ工場の少女」はどうたったかというと、相変わらず世界観は好きなのだけど、とにかく救いがない。。。
マッチ工場で働く女性(少女ではない。成人女性)が薄給で義父と母親を養っているのだけど、自分の楽しみのために、ドレスを買う。
と、それを知った義父はビンタするし、母親は「返品しろ」という。
でも主人公・イリスはそのドレスを着てディスコに行き、男性をゲット。
一夜を共にし赤ん坊を授かるのだけど、相手の男は「遊び」「愛がない」「始末しろ」。
怒りと悲しみで街を歩いていると、交通事故に遭い入院(赤ん坊を失う)。
病院に義父が来るのだけど、「母親が心配し過ぎで倒れた。だから家を出て行ってくれ」。
なんとか男兄弟の家に居候させてもらうも、イリスは殺鼠剤を購入して水に溶かして瓶に入れ、ディスコの男性の家を訪れ、相手が目を離したすきにその溶液を酒に入れ家を後にする。
また、実家で食事を作っているときに、義父が飲む水の瓶に溶液を入れ、自身は別の部屋のソファに座る。
後日、イリスがマッチ工場で働いていると、警察がやってくる。終わり。
珍しくあらすじを最後まで書いてしまったのだけど、もう書いているだけで気が滅入ります。。。
まあタイトルから察するに「マッチ売りの少女」の意趣返し(ブラックユーモア)なんだと思います。
「マッチ売りの~」の主人公は貧しいながらも幸せの中に死んでいくけど、イリスは現実社会で容赦なく捕まる。
ひとりの女性の「救いのない」境遇をドライに、時にユーモア(途中流れる歌が彼女の心情をあらわす)を交えて描くのがアキさんの真骨頂で、変にエンタメ(話を明るくする・盛り上げる)の方向にもっていかない世界観は好きなのだけど、それにしてもとことんかわいそう。。。はあ😮💨
元気がないときに観るのはおすすめしません。
ただ、イリスが家でアイロンをかけているところや、夜に植物園みたいなところに忍び込んで本を読むところは好き。
手紙をちゃんとペンで書くところも好き。
以前の「街のあかり」の記事でも書いたのだけど、そういうちょっとした日常描写が好きなのです。
あとオープニングで、マッチ工場でマッチができるまでの過程を淡々と映すのもよかったなあ。
総合評価 ☆☆☆(救いがなくて)
☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆ →まあまあ。
☆☆ →う~ん、ちょっと。。。
☆ →ガーン!
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