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映画感想「ショコラ」 チョコレートの話、だけじゃなかった

BS3で放送(を録画)されていた「ショコラ」を鑑賞しました。
感想を書いてみようと思います。

2000年 アメリカ
監督 ラッセ・ハルストレム

古くからのしきたりに縛られたフランスの小さな村。北風とともにこの土地にやって来たヴィアンヌとその娘アヌークは、孤独な老女アルマンドから店舗を借りてチョコレート店を開く。村人たちはヴィアンヌが作るチョコレートの不思議な美味しさに魅了され、心を解きほぐされていく。しかし厳格な村長レノ伯爵はそれを快く思わず、村人たちにヴィアンヌの悪口を言いふらしてチョコレート店への出入りを禁じてしまう…
映画.comより

浅はかでした

2000年(日本公開2001年)の作品です。
以前に観たことがあって、今回久しぶりに再鑑賞しました。
なんとなく残っていた印象では、チョコレートの映画ってこと。
よし、バレンタインも近いことだし、たまには世の流れに乗っかって記事を書こうかと。

ところがどっこい、今回改めて観ると、チョコレートだけの話じゃなかった。。。

もちろん美味しそうなチョコレートもたっぷり出てくるのだけど、「チョコレートを通してのコミュニティの変化」が主題かと。
バレンタインに乗っかろうとした自分が浅はかでした。。。

あらすじを補足すると、時は1959年、シングルマザーの母娘が男尊女卑的な古い価値観の村にやってきて、チョコレートを通してその価値観を変えていく、というお話。

ジュリエット・ビノシュさん演じる主人公・ヴィアンヌが自由な価値観の善きもの、中年の村長レノが古い価値観を体現する悪しきもの、という二項対立で物語は始まります。

まあ結末までバラシてしまうと、最後には2人の仲もチョコレートの力によっておさまり、というかレノがチョコレートの美味しさに気づき、レノがヴィアンヌの存在を認め、めでたしめでたしとなります。

中年男性あるある

でもこれって、ぶっちゃけ映画によくある話ですよね。
このままだとさして面白くもないので、ちょっと視点の転換をしてみます。

観客は主人公目線で物語を眺めるから、ヴィアンヌ視点。
中年男のレノは古い価値観を押し付ける嫌なやつです。
でもレノが本当に悪い奴かというと、そうでもないんです。

レノは村の男が妻に暴力をふるっている事に気づくと、猛然とたしなめます。で、その男に紳士教育をする。
また、その男が村にやってきたジプシーたちの船に火を放ったことに関しては、「なんてことをした。この村から出ていけ!」と罵り、男を追放する。
暴力や犯罪に対して毅然とした態度を取っています。

加えて、レノの妻は、真面目すぎる夫や息苦しい村の価値観に耐えられなくなり、イタリアに逃げてしまっていました。そこで新しい男と暮らしている。
レノは向こうの気持ちがないことにうすうす感づいていながら、そんな妻の写真をけなげに机に置いている。。。

要は、レノは中年男性あるあるなのです。
村を守るという大義のもと、結局自分を守っている。
現実を見ているつもりで、実は自分だけを見ている。

一方ヴィアンヌは村の人たちをよく見ています。
積極的に話しかけ、困っていることがあれば相談に乗ろうとする。
ヴィアンヌには特技があって、お客の好きなチョコを言い当てることができる。そしてそれを差し出す。

レノに話を戻すと、レノはヴィアンヌを受け入れると、今まで自身が積み重ねたものが崩れ落ちてしまうと思い込んでいる。
だからヴィアンヌを敵視してしまう。

こういう人、周りにいませんか?
日本の政治家にもいるよなあ。

実績を守るのと、それを土台に何をするか、って違いますよね。
自分のしてきたことを大事にするのは悪いことじゃないけど、それが目的になっちゃうと他のことを排除するようになる。
何も差し出せなくなる。

他人を受け入れるって難しい。
自分も偉そうに書いてるけど、なかなかできません。

でも最終的にレノがヴィアンヌを受け入れて、村の雰囲気は一変して良きものになりました。
レノも自分の良きところを認めてくれる未亡人と結ばれます。
きっと、レノは変わるきっかけを待っていたんじゃないかなあ。

「受け入れる」って字面とか響きから受け身な感じがしちゃうけど、お互いが良いところを差し出し合う、って考えれば主体的な方に印象変わるかも。

映画だからフィクションだから、とうっちゃるのではなく、見習わなくちゃいけませんね。
というわけで、まずはチョコを食べることを見習いま~す。にっしっし。

あ、ジョニー・デップさんがジプシー役で出てます。

総合評価 ☆☆☆

☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆  →まあまあ。
☆☆   →う~ん、ちょっと。。。
☆    →ガーン!

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